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28・帰還、そして罰
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「リヴィ、本当にどこも痛くないんだな?!」
コンラッドに抱えられ、気がついたら馬車で目を覚ました私は無事ワンフルール家まで帰ってきた。
到着するなり、お父様が馬車の中に雪崩れ込んできて怒涛の体調チェックが始まった。
私の無事を見届けると、次に転がり出る様に外へでて、お母様の無事を確認しにいく。
あの、屈強なムキムキの大柄な男からは想像できないほどの繊細さなのだ。逆にお母様は華奢で折れてしまいそうな美しい女性だが、驚くほどに豪胆というかワイルドである。
「おかえりぃ、待ってたわよ!」
と大鍋いっぱいにスープを作って待っていた。
お父様はしばらくお母様から離れないだろうから、とお兄様がギルドに今回の報告をしに行くことになった。
コンラッドも家に帰る途中でギルドによるというので、ルビィとシュバルツを連れて私も行くことにした。
辺りはもう真っ暗で急がねばギルドが閉まってしまう。
街頭やお店の電気でチカチカと光に彩られた街は久しぶりで、なんだかワクワクした。
「あぁ!!オリヴィアさまぁ!!シュバルツは役に立っていますかああああ!!」
ギルドの入り口をくぐるとすぐ、ガンナーが駆け寄ってきた。肩に乗っていたシュバルツにどんぐりを投げつけられて目の前で急ブレーキをふむ。
「ガンナー、久しぶりね。シュバルツはとても心強いわ、最高の友達を譲ってくださってありがとう」
そう言って両手をとると、信じられないほどガサガサしていて、ひび割れまで出来ていた。
薬草採取に行って毒草を掴んでみたらしい。
「やっぱり痒くなりました!!」と目を輝かせているから、おそらく実験でもしたのだろう。
少し魔力も回復したので、ひび割れが治る程度まで回復させるとガンナーは倒れそうなほど喜び、フラフラと仕事へ戻っていった。そのまま、ギルド長に挨拶に行くと救護室の方が騒がしい事に気がつく。
ギルド長のワイルダーにどうしたのか聞いてみると、先程のアンデット戦にて先に帰ってきていた兵士の者達が最寄りの冒険者ギルドの救護室であるここに運び込まれたらしい。
聞けば、女性はおらず男性ばかりらしいので、アリーナは別の場所にいるという事らしいので、入室し目が合った者達の治療を手伝っていく。
あちらである程度治していたはずだが、まだ傷が深かったり悪化していたり(アンデットのせい?)していた。
「あぁ、オリヴィア様?わざわざここまで来てくださったのですか。ありがとうございます。」
重症者のガーゼの交換をしている職員の手伝いをしていた兵士が、すれ違い様に話しかけてきた。森の中でお礼を言ってきた兵士だ。
「私はギルベルトと言います。ヴィクトール隊長の補佐をしています。あの…」
何かを聞こうとして口黙る。おそらくあのことを聞きたいんだろう。補佐というくらいだから、ベールの女を間近でみているはずだから。
「気が付いているのでしたら、そのまま気がつかなかったふりを。私は今のままが都合がいいのです。」
チラッとコンラッドの方に目配せをすると、ギルベルトは悲しそうな顔をして、コクンと頷いた。
「使用人達に奥様が酷い目に遭わされていると聞きました。私の母は…ベティと申せばわかりますか?ご飯さえ運ばれていないとか。母が仕事を終えてから運んでいる様ですが、他にもたくさん。奥様とはオリヴィア様なことですよね?」
「ベティにはとても良くしてもらってるのよ。私にはベティとアルフ、ルビィがいればそれでいいの。あと、ノウンというお友達もいるわ」
それにシュバルツもね。意外と仲間がいるもんだと少し嬉しくなる。
「引き続き隊長には進言してみます。役に立たなくて申し訳ない」
しょんぼりと肩を落としてギルベルトは再び怪我人の治療にあたる。だいぶ月も高くなってきた。そろそろツーデンの屋敷に帰らなければいけない。
トボトボと足取り重く中庭に歩いていく。先程までの騒がしさが嘘の様にしんと静まり返っている。
ちょうどコンラッドも手続きを終えた様でこちらへと歩いてくる。何やら紙を一枚手に持っている。
「オリヴィア、そろそろ戻るのか?これを持っていって欲しいんだ。」
ペラっと渡されたそれはまさしく“召喚陣”であった。
「コンラッド!こんなに高価なもの、何処で?!」
「ワイルダーに頼んでいたんだ。いいか、あちらに着いたらこれを起動して欲しい。俺が陣を通ってそちらへ行く。大丈夫、周りにバレない様な姿で行くから。じゃ、ひと足先に戻って準備してくるな。」
「まって!コンラッド!!もらえないわよ!!」
手元の魔法陣から視線をコンラッドに戻したつもりだったが、そこにいたのはニコニコ笑うリアお兄様と、竜に変身しているルビィだった。
「ラッドがそばにいれば安心だろ?大丈夫、最近暇してるんだよ。」
「ひま?え?っと、そういう問題では…」
言い返そうとしていたら、襟首を赤い竜にパクっとつままれ、そのまま上昇する。
「ルビィ、私の扱いが最近雑じゃないかしら?」
ヒョイっと放り投げられ、背中でキャッチされる。
『そんなことないわよ、お姫様。私の命より大切にしてるわぁ』
「…」
帰りたくない気持ちを胸に、星空と夜景に挟まれたロマンチックな夜の旅を楽しみながら、再びあの屋敷へと戻る。戻ったらベッドで寝よう。とても疲れた…
コンラッドに抱えられ、気がついたら馬車で目を覚ました私は無事ワンフルール家まで帰ってきた。
到着するなり、お父様が馬車の中に雪崩れ込んできて怒涛の体調チェックが始まった。
私の無事を見届けると、次に転がり出る様に外へでて、お母様の無事を確認しにいく。
あの、屈強なムキムキの大柄な男からは想像できないほどの繊細さなのだ。逆にお母様は華奢で折れてしまいそうな美しい女性だが、驚くほどに豪胆というかワイルドである。
「おかえりぃ、待ってたわよ!」
と大鍋いっぱいにスープを作って待っていた。
お父様はしばらくお母様から離れないだろうから、とお兄様がギルドに今回の報告をしに行くことになった。
コンラッドも家に帰る途中でギルドによるというので、ルビィとシュバルツを連れて私も行くことにした。
辺りはもう真っ暗で急がねばギルドが閉まってしまう。
街頭やお店の電気でチカチカと光に彩られた街は久しぶりで、なんだかワクワクした。
「あぁ!!オリヴィアさまぁ!!シュバルツは役に立っていますかああああ!!」
ギルドの入り口をくぐるとすぐ、ガンナーが駆け寄ってきた。肩に乗っていたシュバルツにどんぐりを投げつけられて目の前で急ブレーキをふむ。
「ガンナー、久しぶりね。シュバルツはとても心強いわ、最高の友達を譲ってくださってありがとう」
そう言って両手をとると、信じられないほどガサガサしていて、ひび割れまで出来ていた。
薬草採取に行って毒草を掴んでみたらしい。
「やっぱり痒くなりました!!」と目を輝かせているから、おそらく実験でもしたのだろう。
少し魔力も回復したので、ひび割れが治る程度まで回復させるとガンナーは倒れそうなほど喜び、フラフラと仕事へ戻っていった。そのまま、ギルド長に挨拶に行くと救護室の方が騒がしい事に気がつく。
ギルド長のワイルダーにどうしたのか聞いてみると、先程のアンデット戦にて先に帰ってきていた兵士の者達が最寄りの冒険者ギルドの救護室であるここに運び込まれたらしい。
聞けば、女性はおらず男性ばかりらしいので、アリーナは別の場所にいるという事らしいので、入室し目が合った者達の治療を手伝っていく。
あちらである程度治していたはずだが、まだ傷が深かったり悪化していたり(アンデットのせい?)していた。
「あぁ、オリヴィア様?わざわざここまで来てくださったのですか。ありがとうございます。」
重症者のガーゼの交換をしている職員の手伝いをしていた兵士が、すれ違い様に話しかけてきた。森の中でお礼を言ってきた兵士だ。
「私はギルベルトと言います。ヴィクトール隊長の補佐をしています。あの…」
何かを聞こうとして口黙る。おそらくあのことを聞きたいんだろう。補佐というくらいだから、ベールの女を間近でみているはずだから。
「気が付いているのでしたら、そのまま気がつかなかったふりを。私は今のままが都合がいいのです。」
チラッとコンラッドの方に目配せをすると、ギルベルトは悲しそうな顔をして、コクンと頷いた。
「使用人達に奥様が酷い目に遭わされていると聞きました。私の母は…ベティと申せばわかりますか?ご飯さえ運ばれていないとか。母が仕事を終えてから運んでいる様ですが、他にもたくさん。奥様とはオリヴィア様なことですよね?」
「ベティにはとても良くしてもらってるのよ。私にはベティとアルフ、ルビィがいればそれでいいの。あと、ノウンというお友達もいるわ」
それにシュバルツもね。意外と仲間がいるもんだと少し嬉しくなる。
「引き続き隊長には進言してみます。役に立たなくて申し訳ない」
しょんぼりと肩を落としてギルベルトは再び怪我人の治療にあたる。だいぶ月も高くなってきた。そろそろツーデンの屋敷に帰らなければいけない。
トボトボと足取り重く中庭に歩いていく。先程までの騒がしさが嘘の様にしんと静まり返っている。
ちょうどコンラッドも手続きを終えた様でこちらへと歩いてくる。何やら紙を一枚手に持っている。
「オリヴィア、そろそろ戻るのか?これを持っていって欲しいんだ。」
ペラっと渡されたそれはまさしく“召喚陣”であった。
「コンラッド!こんなに高価なもの、何処で?!」
「ワイルダーに頼んでいたんだ。いいか、あちらに着いたらこれを起動して欲しい。俺が陣を通ってそちらへ行く。大丈夫、周りにバレない様な姿で行くから。じゃ、ひと足先に戻って準備してくるな。」
「まって!コンラッド!!もらえないわよ!!」
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言い返そうとしていたら、襟首を赤い竜にパクっとつままれ、そのまま上昇する。
「ルビィ、私の扱いが最近雑じゃないかしら?」
ヒョイっと放り投げられ、背中でキャッチされる。
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