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27.5・過去の話(コンラッドとオリヴィア)
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「ねえ!みて、こんらーと!」
オリヴィアは友人の妹だった。友人は幼いながらに赤く燃える様な髪と瞳を持った女児、それと夕日の様なオレンジの髪と赤い瞳の男児。中々にヤンチャな双子である。子爵家の嫡男と長女であり、冒険者ギルドの顧問のイーサン・ワンフルールの子ども達であった。
7歳の頃から、ギルドに通い始めた俺は、度々ワンフルール子爵に晩餐やお茶会に招待してもらい、邸に訪れていた。
訓練所で双子と訓練したり、部屋で魔法の勉強をしたりと、今思えば両親を亡くした俺を自分の子供の様に愛してくれていたのだと思う。
双子の母親でイーサン子爵の妻であるシトロンは霞んだ、トロリとした金髪に薄く、透き通る様な金の瞳が印象的な美人だった。
しかし、つい最近18くらいの頃に本人から聞いた話では彼女は帝国の諜報部の元諜報員であり密かに俺に目をつけていて、ワンフルール子爵を巧みに操り、この家へ誘き寄せていたというから驚いた。
「訓練すれば光ると思って」と誤魔化していたが、彼女も優しい人だ、きっと俺の両親に頼まれて面倒を見てくれていたんだと思う。
そんな彼女のそばには、いつも輝きすぎて透けてしまいそうな小さな女の子がちょこちょことくっついてきていた。ある日、庭で一人座り込んでいる女の子に話しかけると、手に小さな赤い竜を持っていた。
「とかげさん、こんなところでねてたよ!よしよししてあげたの!えらい?」
「うん、オリヴィアはやさしいね。」
ポンポンとその小さな頭を優しく撫でると、パァッと太陽の様な笑顔で、
「こんらーともやさしいから、えらいね。」
と喜んで褒めてくれる。当時、家庭がもめていて厄介者扱いされていた俺にとって、彼女は救いだった。
「こんらーとはほしのおおじさま?あたし、星の魔法をれんしゅうしてるの。おうじさまをたすけてあげたいから!!」
「オレは…王子様にはなりたくない」
「こんらーと、なかないで?もし、なっちゃってもあたしがまもってあげられるよ!みて!ほしのまほうをつかえるようになったの!」
差し出された手の中の竜をよく見ると傷だらけでグッタリしている事に気がつく。急いで大人を呼ぼうとした途端、オリヴィアの口から今はつかわれていない“旧魔法の呪文”が紡がれた。
チラチラと細かな星が散ったかと思うと竜の傷口へと舞い落ちて少しずつ治していく。
「こんらーとのいたいのも、あたしがなおすよ。だからだいじょうぶ」
それだけいうと、その場にペチャリと前倒しになりスヤスヤと眠ってしまった。
もちろん、その後、大人達で大騒ぎするわけだがこんな調子でいつもいつも俺の孤独を癒してくれるのがオリヴィアだった。
俺にとっての星の王子様はオリヴィアだったのだ。
大切な大切なオリヴィアを途中から奪い、捨てようとする、ヴィクトール・ツーデン。
彼女の輝きを消そうとする奴を絶対に許さない。俺から彼女を奪うなんて許さない。
その為なら、なりたくない物にでもなってやる。どんなに強い魔獣でも倒してやる。そう心に決めていた。
ゴトン!という車輪が石を踏む音で目を覚ますと、17歳に成長したオリヴィアがスヤスヤと気持ちよさそうに俺の膝を枕にして眠っていた。
オリヴィアは友人の妹だった。友人は幼いながらに赤く燃える様な髪と瞳を持った女児、それと夕日の様なオレンジの髪と赤い瞳の男児。中々にヤンチャな双子である。子爵家の嫡男と長女であり、冒険者ギルドの顧問のイーサン・ワンフルールの子ども達であった。
7歳の頃から、ギルドに通い始めた俺は、度々ワンフルール子爵に晩餐やお茶会に招待してもらい、邸に訪れていた。
訓練所で双子と訓練したり、部屋で魔法の勉強をしたりと、今思えば両親を亡くした俺を自分の子供の様に愛してくれていたのだと思う。
双子の母親でイーサン子爵の妻であるシトロンは霞んだ、トロリとした金髪に薄く、透き通る様な金の瞳が印象的な美人だった。
しかし、つい最近18くらいの頃に本人から聞いた話では彼女は帝国の諜報部の元諜報員であり密かに俺に目をつけていて、ワンフルール子爵を巧みに操り、この家へ誘き寄せていたというから驚いた。
「訓練すれば光ると思って」と誤魔化していたが、彼女も優しい人だ、きっと俺の両親に頼まれて面倒を見てくれていたんだと思う。
そんな彼女のそばには、いつも輝きすぎて透けてしまいそうな小さな女の子がちょこちょことくっついてきていた。ある日、庭で一人座り込んでいる女の子に話しかけると、手に小さな赤い竜を持っていた。
「とかげさん、こんなところでねてたよ!よしよししてあげたの!えらい?」
「うん、オリヴィアはやさしいね。」
ポンポンとその小さな頭を優しく撫でると、パァッと太陽の様な笑顔で、
「こんらーともやさしいから、えらいね。」
と喜んで褒めてくれる。当時、家庭がもめていて厄介者扱いされていた俺にとって、彼女は救いだった。
「こんらーとはほしのおおじさま?あたし、星の魔法をれんしゅうしてるの。おうじさまをたすけてあげたいから!!」
「オレは…王子様にはなりたくない」
「こんらーと、なかないで?もし、なっちゃってもあたしがまもってあげられるよ!みて!ほしのまほうをつかえるようになったの!」
差し出された手の中の竜をよく見ると傷だらけでグッタリしている事に気がつく。急いで大人を呼ぼうとした途端、オリヴィアの口から今はつかわれていない“旧魔法の呪文”が紡がれた。
チラチラと細かな星が散ったかと思うと竜の傷口へと舞い落ちて少しずつ治していく。
「こんらーとのいたいのも、あたしがなおすよ。だからだいじょうぶ」
それだけいうと、その場にペチャリと前倒しになりスヤスヤと眠ってしまった。
もちろん、その後、大人達で大騒ぎするわけだがこんな調子でいつもいつも俺の孤独を癒してくれるのがオリヴィアだった。
俺にとっての星の王子様はオリヴィアだったのだ。
大切な大切なオリヴィアを途中から奪い、捨てようとする、ヴィクトール・ツーデン。
彼女の輝きを消そうとする奴を絶対に許さない。俺から彼女を奪うなんて許さない。
その為なら、なりたくない物にでもなってやる。どんなに強い魔獣でも倒してやる。そう心に決めていた。
ゴトン!という車輪が石を踏む音で目を覚ますと、17歳に成長したオリヴィアがスヤスヤと気持ちよさそうに俺の膝を枕にして眠っていた。
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