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第一章 未だ見ぬ敵に備えて
遭遇、未来の敵2
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「聖女を迎えに来た」
そう告げると、男は私達を見てこう言った。
「おっと、これは都合がいい。二人ともいらっしゃる。」
"二人"?と言うことは、リーンも標的に入っているという事?
これだけ早く仕掛けて来た事といい、何か違和感がある・・・
「それにしても、司祭様も人使いが荒い。諜報員の私をこんな昼日中に働かせるなど・・・」
何やらぶつくさと愚痴を言っている様だ。
そもそも貴族を拐いに来ているのにバレバレの登場をする辺り、相手は相当慢心しているらしい。
「舐めた真似をしてくれますわ・・・」
リーンが精神世界に現れた。
既に臨戦態勢に入っているらしい。
「イオ、逃げろとだけ伝言!頼みましたわよ。」
「ラン、逃げて!」
私が言うが早いか、リーンは即座に主導権を切り替えて攻撃を仕掛ける。
瞬きする間に繰り出された蹴りは確かに命中!
人であれば、これで戦闘不能のはず・・・
ドン!
直後、凄まじい音を立てて吹き飛んだのは・・・攻撃したリーンだった。
「感心しませんね。考え事をしているのですよ、私は。」
確かに命中した筈なのに・・・
いや、そもそも当たった筈なのにどうして何の音も出なかったの?
(何故・・・)
リーンも混乱している。
一体、相手は何をしたのか?
「ふむ、貴方はルール司令官の御令嬢でしたね、実に見事な蹴り。流石軍人の娘さんです。」
以前相手は落ち着いたまま、窓枠から動かずにこちらを見下ろしている。
リーンはというと、衣装棚に突っ込んだので半分服に埋もれている。
「ですが、まだまだ甘いですね。力には流れがあるのですよ、リーン嬢。見えたならば、少しそれをずらすだけ。」
どうやら蹴りを受け流されたらしい。
ゲームでもやたら高かった回避の正体はこれか!
でも、岩に真円の穴が開く程の蹴りを受け流すなんて・・・。
「リーン、あいつ攻撃を受け流したんだ!」
「その様ですね。でも、話が違いますわよ、イオ!聖騎士以外もべらぼうに強いではありませんの・・・」
頭の中で愚痴ったリーンだけれど、表情は間違いなく喜びに満ちていた。
ホントにこの子は・・・
「リーン!開かないわ、ノブが壊されてる!」
「!」
声の方を見やると、半泣きのランが扉を指差して呆然としている。
ノブに鉄球が埋まっていて、回せなくなっているみたい・・・
受け流した直後にドアまで壊したなんて、なんて奴なんだ!
「ランが逃げられないなんて・・・早く、早く獲らないと!」
「落ち着いて。あいつ耐久は紙なんだ。当てさえすれば、絶対に勝てる!」
「ふ、ふふ、アレに攻撃をね。でもどうやって?中途半端な目眩しは効かなさそうですわよ?」
「動きを封じれば良いんだ。相手の後ろ、見てご覧よ。」
「!なぁるほど。イオ貴女、頭良いですわね!」
起き上がったリーンは、落ちて来た服(高価)を闇雲に相手に投げつけた。
「ほう、目眩しのつもりですか。舐められたモノですね!」
服と服の間から拳を突き出すリーン。
相手はそれを払おうとした。
瞬間、拳は敵を擦り抜け、後ろへと伸びた!
「外れていますよ、キッチリ当てなさい!」
嘲笑と少し怒りが混じった愚痴を聞きながら、リーンが拳を伸ばしたその先には・・・
「カーテン・・・しまった!」
狙いに気付いた諜報員は身を躱そうとしたけれど・・・速さでリーンに敵う筈もなく、一瞬でぐるぐる巻きにされた。
「まさか私がこうもあっさりと・・・司祭様の見立ては正しかったか!」
簀巻きの相手に乗っかりながら、リーンは一言私に台詞の注文をして来た。
「別に良いけど、性格悪いね・・・」
「良いじゃないですか。ランを泣かしたならこの程度の辱めはしておかないと。」
逃げない様、リーンがしっかり足を潰したのを見届けた後、相手を見下ろしながら、注文通りの台詞を言い放つ。
「「まだまだ甘いです、わ!」」
そう告げると、男は私達を見てこう言った。
「おっと、これは都合がいい。二人ともいらっしゃる。」
"二人"?と言うことは、リーンも標的に入っているという事?
これだけ早く仕掛けて来た事といい、何か違和感がある・・・
「それにしても、司祭様も人使いが荒い。諜報員の私をこんな昼日中に働かせるなど・・・」
何やらぶつくさと愚痴を言っている様だ。
そもそも貴族を拐いに来ているのにバレバレの登場をする辺り、相手は相当慢心しているらしい。
「舐めた真似をしてくれますわ・・・」
リーンが精神世界に現れた。
既に臨戦態勢に入っているらしい。
「イオ、逃げろとだけ伝言!頼みましたわよ。」
「ラン、逃げて!」
私が言うが早いか、リーンは即座に主導権を切り替えて攻撃を仕掛ける。
瞬きする間に繰り出された蹴りは確かに命中!
人であれば、これで戦闘不能のはず・・・
ドン!
直後、凄まじい音を立てて吹き飛んだのは・・・攻撃したリーンだった。
「感心しませんね。考え事をしているのですよ、私は。」
確かに命中した筈なのに・・・
いや、そもそも当たった筈なのにどうして何の音も出なかったの?
(何故・・・)
リーンも混乱している。
一体、相手は何をしたのか?
「ふむ、貴方はルール司令官の御令嬢でしたね、実に見事な蹴り。流石軍人の娘さんです。」
以前相手は落ち着いたまま、窓枠から動かずにこちらを見下ろしている。
リーンはというと、衣装棚に突っ込んだので半分服に埋もれている。
「ですが、まだまだ甘いですね。力には流れがあるのですよ、リーン嬢。見えたならば、少しそれをずらすだけ。」
どうやら蹴りを受け流されたらしい。
ゲームでもやたら高かった回避の正体はこれか!
でも、岩に真円の穴が開く程の蹴りを受け流すなんて・・・。
「リーン、あいつ攻撃を受け流したんだ!」
「その様ですね。でも、話が違いますわよ、イオ!聖騎士以外もべらぼうに強いではありませんの・・・」
頭の中で愚痴ったリーンだけれど、表情は間違いなく喜びに満ちていた。
ホントにこの子は・・・
「リーン!開かないわ、ノブが壊されてる!」
「!」
声の方を見やると、半泣きのランが扉を指差して呆然としている。
ノブに鉄球が埋まっていて、回せなくなっているみたい・・・
受け流した直後にドアまで壊したなんて、なんて奴なんだ!
「ランが逃げられないなんて・・・早く、早く獲らないと!」
「落ち着いて。あいつ耐久は紙なんだ。当てさえすれば、絶対に勝てる!」
「ふ、ふふ、アレに攻撃をね。でもどうやって?中途半端な目眩しは効かなさそうですわよ?」
「動きを封じれば良いんだ。相手の後ろ、見てご覧よ。」
「!なぁるほど。イオ貴女、頭良いですわね!」
起き上がったリーンは、落ちて来た服(高価)を闇雲に相手に投げつけた。
「ほう、目眩しのつもりですか。舐められたモノですね!」
服と服の間から拳を突き出すリーン。
相手はそれを払おうとした。
瞬間、拳は敵を擦り抜け、後ろへと伸びた!
「外れていますよ、キッチリ当てなさい!」
嘲笑と少し怒りが混じった愚痴を聞きながら、リーンが拳を伸ばしたその先には・・・
「カーテン・・・しまった!」
狙いに気付いた諜報員は身を躱そうとしたけれど・・・速さでリーンに敵う筈もなく、一瞬でぐるぐる巻きにされた。
「まさか私がこうもあっさりと・・・司祭様の見立ては正しかったか!」
簀巻きの相手に乗っかりながら、リーンは一言私に台詞の注文をして来た。
「別に良いけど、性格悪いね・・・」
「良いじゃないですか。ランを泣かしたならこの程度の辱めはしておかないと。」
逃げない様、リーンがしっかり足を潰したのを見届けた後、相手を見下ろしながら、注文通りの台詞を言い放つ。
「「まだまだ甘いです、わ!」」
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