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第一章 未だ見ぬ敵に備えて
強さの基準
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ライヴ聖教国を潰す為、リーンは早速鍛練を始めた。
結論から言えば、彼女のポテンシャルは尋常では無かった。
今の彼女はタム王国軍の一個小隊よりも強い。
たった半年でもう目標にした強さに到達したんだ。
「何を寝ぼけた事を言っておりますの。この程度、まだ目標に到達したとは言えませんわ。」
「なんで?うちの軍人さんよりは間違いなく強くなってるよ。この前倒した魔獣とか、ゲームだと一個小隊で倒せなかったもん。」
「遊戯の世界ではそうかもしれませんが、実際の軍隊には強さにムラがありましてよ。私は我が国軍の精鋭を殲滅できる強さが欲しいのです。」
「精鋭ってもしかしてエストルテー隊の事!?」
「解ってるじゃありませんか。」
エストルテー隊とは、タム王国の最高戦力と呼ばれる国王陛下直属の精鋭部隊だ。
その優秀さはタム王国軍の中でも突き抜けていて、出陣は国王でさえ一人で決める事ができない。
実際ゲーム中でも彼らだけ性能が異常に高く、特に初登場する中盤では主人公のランよりも活躍する程だった。
文字通り国防の要、という訳だ。
「でも貴女の話を聞く限り、ライヴの軍にはあのエストルテーさえ屠る連中もいるんでしょう。」
「聖騎士団か・・・」
エストルテー隊が居るのにゲームの中でランが戦っていた理由、それがライヴ側の最高戦力である聖騎士団。
騎士"団"と言ってもその人数は四人だけ、所謂四天王・中ボスのポジションだ。
一人一人がエストルテー隊五十人を上回る彼らの登場で、タム王国はほぼ全壊。ゲーム終盤は殆どランが一人で戦う事になる。
「腹立たしき、腹立たしき!たかだか数年そこらでひょっこり出てきた新興宗教にうつつを抜かす軟弱者に、我らがエストルテーが劣るなんて・・・!」
ライヴ信仰自体は一応古くからある設定だけれど、言わなくても良いか。
彼女の父親はこの国の軍事のトップだ。
流石にエストルテー隊に関しては全面指揮をしている訳ではないけれど、思う所はあるのだろう。
「リーン!此処にいたんだ!」
「ああ・・・ランでし、だったの・・・ん?」
「どうしたの?」
いや、本当にどうしたんだろう。
「アー、イタタ!足ヲイタメテシマイマシタワー。」
「大丈夫?!」
「大丈夫だけれど少し痛むから、湿布持ってきて頂戴な。」
「う、うん。ちょっと待ってて!」
「ええ、ありがとう・・・」
そこまで言うとリーンは気を失い、私が居る精神世界に現れた。
「え・・・死んだの!?」
「そんな訳ないでしょう!声を出したらいきなり気が遠くなってきて・・・イオ、貴女何か知らないの?」
「・・・身体強化か!」
「しんたい・・・なにそれ。」
「知らないで使ってたの!?」
身体強化はゲーム内にも登場した技で、その効果は物理ダメージと物理防御を何倍にもする代わりに呪文が使えなくなるというもの。
確か体のリミットを外す為に脳のリソースを使うから、暫く言語野が使えなくなる、みたいな設定だったような・・・
「要は戦った後には喋れなくなるし、無理に喋ろうとすると今みたいに気絶する、と言う訳ね?」
「身体強化を使わなければ大丈夫だけど・・・」
「コレどうやって切るのかしら・・・」
「うーん、どうしよう。」
「でもおかしいですわ。この前の魔獣討伐の後、貴女は話せていたじゃありませんか。」
そういえばそうだ。この前魔獣を倒した後、リーンに何かあった時の為に、私が主人格になって練習がてら色々喋って遊んでたっけ。
「リーン、湿布持って来たよー。」
まずい、ランが戻ってきた。
このままリーンを気絶させておくわけにはいかない。
一か八か、試すしかない。
「ああ、ラン。いとありがたしですだよ。少々お疲れでウトウトなんだ、です・・・」
しまった、人間に化けた宇宙人みたいになってしまった。
「・・・リーン、また何かムリしてるでしょ。」
「え?」
「全くもう。部屋、二階の奥だよね。おぶって行くから、手。」
「いやいや!あのー・・・大丈夫!歩けるますわ!あと、あなた貴族の娘だし、あれですわ、はしたなくってよ!」
「喋り方変だし絶対大丈夫じゃないでしょ。それに去年も怪我した時におんぶしてあげたじゃないの、よいしょっと・・・重!」
こうして、身体強化を使った後でも、私が主人格になれば話せる様になる事が分かった。
でも、ランに背負われてる間、リーンが凄まじい怒りを飛ばしていて怖かった。
これが「重い」と言われたからなのか、それか私の話し方のせいなのか、私には分からない・・・
「いや、多分後者だな・・・」
結論から言えば、彼女のポテンシャルは尋常では無かった。
今の彼女はタム王国軍の一個小隊よりも強い。
たった半年でもう目標にした強さに到達したんだ。
「何を寝ぼけた事を言っておりますの。この程度、まだ目標に到達したとは言えませんわ。」
「なんで?うちの軍人さんよりは間違いなく強くなってるよ。この前倒した魔獣とか、ゲームだと一個小隊で倒せなかったもん。」
「遊戯の世界ではそうかもしれませんが、実際の軍隊には強さにムラがありましてよ。私は我が国軍の精鋭を殲滅できる強さが欲しいのです。」
「精鋭ってもしかしてエストルテー隊の事!?」
「解ってるじゃありませんか。」
エストルテー隊とは、タム王国の最高戦力と呼ばれる国王陛下直属の精鋭部隊だ。
その優秀さはタム王国軍の中でも突き抜けていて、出陣は国王でさえ一人で決める事ができない。
実際ゲーム中でも彼らだけ性能が異常に高く、特に初登場する中盤では主人公のランよりも活躍する程だった。
文字通り国防の要、という訳だ。
「でも貴女の話を聞く限り、ライヴの軍にはあのエストルテーさえ屠る連中もいるんでしょう。」
「聖騎士団か・・・」
エストルテー隊が居るのにゲームの中でランが戦っていた理由、それがライヴ側の最高戦力である聖騎士団。
騎士"団"と言ってもその人数は四人だけ、所謂四天王・中ボスのポジションだ。
一人一人がエストルテー隊五十人を上回る彼らの登場で、タム王国はほぼ全壊。ゲーム終盤は殆どランが一人で戦う事になる。
「腹立たしき、腹立たしき!たかだか数年そこらでひょっこり出てきた新興宗教にうつつを抜かす軟弱者に、我らがエストルテーが劣るなんて・・・!」
ライヴ信仰自体は一応古くからある設定だけれど、言わなくても良いか。
彼女の父親はこの国の軍事のトップだ。
流石にエストルテー隊に関しては全面指揮をしている訳ではないけれど、思う所はあるのだろう。
「リーン!此処にいたんだ!」
「ああ・・・ランでし、だったの・・・ん?」
「どうしたの?」
いや、本当にどうしたんだろう。
「アー、イタタ!足ヲイタメテシマイマシタワー。」
「大丈夫?!」
「大丈夫だけれど少し痛むから、湿布持ってきて頂戴な。」
「う、うん。ちょっと待ってて!」
「ええ、ありがとう・・・」
そこまで言うとリーンは気を失い、私が居る精神世界に現れた。
「え・・・死んだの!?」
「そんな訳ないでしょう!声を出したらいきなり気が遠くなってきて・・・イオ、貴女何か知らないの?」
「・・・身体強化か!」
「しんたい・・・なにそれ。」
「知らないで使ってたの!?」
身体強化はゲーム内にも登場した技で、その効果は物理ダメージと物理防御を何倍にもする代わりに呪文が使えなくなるというもの。
確か体のリミットを外す為に脳のリソースを使うから、暫く言語野が使えなくなる、みたいな設定だったような・・・
「要は戦った後には喋れなくなるし、無理に喋ろうとすると今みたいに気絶する、と言う訳ね?」
「身体強化を使わなければ大丈夫だけど・・・」
「コレどうやって切るのかしら・・・」
「うーん、どうしよう。」
「でもおかしいですわ。この前の魔獣討伐の後、貴女は話せていたじゃありませんか。」
そういえばそうだ。この前魔獣を倒した後、リーンに何かあった時の為に、私が主人格になって練習がてら色々喋って遊んでたっけ。
「リーン、湿布持って来たよー。」
まずい、ランが戻ってきた。
このままリーンを気絶させておくわけにはいかない。
一か八か、試すしかない。
「ああ、ラン。いとありがたしですだよ。少々お疲れでウトウトなんだ、です・・・」
しまった、人間に化けた宇宙人みたいになってしまった。
「・・・リーン、また何かムリしてるでしょ。」
「え?」
「全くもう。部屋、二階の奥だよね。おぶって行くから、手。」
「いやいや!あのー・・・大丈夫!歩けるますわ!あと、あなた貴族の娘だし、あれですわ、はしたなくってよ!」
「喋り方変だし絶対大丈夫じゃないでしょ。それに去年も怪我した時におんぶしてあげたじゃないの、よいしょっと・・・重!」
こうして、身体強化を使った後でも、私が主人格になれば話せる様になる事が分かった。
でも、ランに背負われてる間、リーンが凄まじい怒りを飛ばしていて怖かった。
これが「重い」と言われたからなのか、それか私の話し方のせいなのか、私には分からない・・・
「いや、多分後者だな・・・」
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