おとなしあたー

音無威人

文字の大きさ
上 下
10 / 45

ヒーロー面接

しおりを挟む
「君ね。ヒーローとしては不合格だ。次の機会にまたどうぞ」
「……はい」
「次の方どうぞー」

「失礼しまーす」
「……ってなんだ君は? なんだその姿は?」
 面接官の眼に飛び込んできたのは、全身が鱗で覆われた怪物の姿だった。
「僕、ヒーローになりたいんですけど。ダメですかね」
「いやいや、君どう考えたって怪人だろ」
「よく言われるんですけど、僕別に怪人じゃないですよ。見た目はちょっとアレですけど」
「怪人じゃなかったらなんなんだ」
「何って言われても、アレとしか言いようが」
「怪人だろ。怪人と言ってくれ」
「あのですね。僕ヒーロー志望なんで、怪人と言われるのは心外ですね」
「なんでヒーローなの? 見た目は怪人だよね?」
「いや、まぁ、僕だってバカじゃないんでね。最初は怪人の面接に行こうとはしましたよ。でもね、よく考えてください。ヒーローって五人組でしょ? 怪人一人でしょ? 五対一でボコられるのはちょっと。だったらヒーローになって怪人ボコりたいでしょ?」
「まぁ、そうかもしれないけど。見た目が怪人じゃ」
「あの僕思うんですけど、ヒーローが見た目で判断するのはダメじゃないですかね。ヒーローたるもの中身で勝負するべきだと思うんですよ」
「見た目がヒーローらしくないのが問題」
「最近流行のダークヒーローで売り出すのはどうですかね」
「やっぱダメだよ。ヒーローは子供に人気が出ないと」
「任しといてください」
「まぁ、子供に人気が出るなら、採用してあげてもいいよ」
「大丈夫です。僕、自信あります」
「本当かなぁ。じゃあ試しに子供を助けに登場してみてよ」
「腰抜かしますよ」
「はいはい」
「目ん玉飛び出ますよ」
「はいはい」
「口から心臓出るかもしれませんよ」
「早くしろ!」
「ケツからウ○コ出ますよ」
「うるさい!」
「というかもう出てるんですけどね」
「早く着替えてこーい!」
「それはちょっと」
「なんでだよ!?」
「だって子供って下ネタ好きでしょ」
「帰れー!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

兵頭さん

大秦頼太
ホラー
 鉄道忘れ物市で見かけた古い本皮のバッグを手に入れてから奇妙なことが起こり始める。乗る電車を間違えたり、知らず知らずのうちに廃墟のような元ニュータウンに立っていたりと。そんなある日、ニュータウンの元住人と出会いそのバッグが兵頭さんの物だったと知る。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

扉の向こうは黒い影

小野 夜
ホラー
古い校舎の3階、突き当たりの隅にある扉。それは「開かずの扉」と呼ばれ、生徒たちの間で恐れられていた。扉の向こう側には、かつて理科室として使われていた部屋があるはずだったが、今は誰も足を踏み入れない禁断の場所となっていた。 夏休みのある日、ユキは友達のケンジとタケシを誘って、学校に忍び込む。目的は、開かずの扉を開けること。好奇心と恐怖心が入り混じる中、3人はついに扉を開ける。

悪魔の家

光子
ホラー
バス事件に巻き込まれた乗客達が、生きて戻れないと噂される悪魔の森で、悲惨な事件に巻き込まれていくーー。  16歳の少女あかりは、無事にこの森から、生きて脱出出来るのかーー。  辛い悲しい人間模様が複雑に絡み合うダークな物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【失言ホラー 二言目】励ましたつもりだったのに【なずみのホラー便 第162弾】

なずみ智子
ホラー
本作は「カクヨム」「アルファポリス」「エブリスタ」の3サイトで公開中です。 【なずみのホラー便】のネタバレ倉庫も用意しています。 ⇒ https://www.alphapolis.co.jp/novel/599153088/606224994 ★リアルタイムでのネタバレ反映ではなく、ちまちま更新予定です。

もしもし、あのね。

ナカハラ
ホラー
「もしもし、あのね。」 舌足らずな言葉で一生懸命話をしてくるのは、名前も知らない女の子。 一方的に掛かってきた電話の向こうで語られる内容は、本当かどうかも分からない話だ。 それでも不思議と、電話を切ることが出来ない。 本当は着信なんて拒否してしまいたい。 しかし、何故か、この電話を切ってはいけない……と…… ただ、そんな気がするだけだ。

処理中です...