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そんな誰からも愛されず育ってきたギディオンとって、自身の強大な魔力のみが拠り所で、唯一の誇りだった。
自身の誇りを磨くべく魔力の研鑽に励み、見事、歴代最年少の王国魔術師となったギディオンだったが、それがさらなる悲劇の始まりだった。
史上最年少の王国魔術師となれば妬みを買わないわけがなく、周囲からの当たりが強くなった。さらにはギディオンを陥れようとする者まで現れた。
飢えた心の片隅で、王国魔術師となれば誰もが自分を認めてくれるだろうと、どこか期待していたギディオンは絶望した。
長年蓄積されてきた人間不信が、人々への憎悪へと変わっていくのにそう時間はかからなかった。
そんなギディオンが封じられた禁書、災厄の魔導書と出会ったことで、彼は人の道を外れることになる……――。
それが『グランド・マギ』のラスボスキャラ、ギディオン・モーランの生い立ち、そして人類の滅亡を願うに至った理由である。
なお、このゲームにギディオン生存のハッピーエンドはない。人類滅亡か、主人公にギディオンが倒されるかのどちらかだ。
ギディオンと使い魔であるシリルは強固な主従契約が結ばれており、使い魔は主が死ぬと、一緒にこの世を去ることになる。だから、ギディオンが主人公に倒される展開は絶対に避けなければならない。
しかしだからと言って、我が身可愛さに人類滅亡を望むほど心は腐っていない。
ならば、どうするべきか?
答えは至極簡単だ。ギディオンに人類滅亡などという物騒な願いを抱かせない、これに尽きる。
そのために必要なのは、冷たい孤独にさらされ続けたギディオンの心を、温かな感情で満たすことだった。
人類滅亡を願うに至ったのも、結局は誰にも愛されない孤独感がこじれてのことだ。
現にギディオンは主人公に倒されるエンドで、母親に優しく抱きしめられる夢を死に際に見て、目を閉じている。どれだけ愛を渇望していたかは明白だ。
もちろん、猫のシリルが母親代わりになれるなど思っていない。
しかし、猫だからこそできることがある。
それが『ペットセラピー』だ。
前世のシリルは、いわゆる社畜と呼ばれるサラリーマンで、万年繁忙期というような仕事量に、心身とも疲れ切っていた。
毎朝『会社が火事でしばらく休みになればいいのに……』などという、あり得ないことを半ば本気で願うくらい、心が荒んでいた。
そんな荒んだ心を癒やしてくれたのが猫の動画だった。
その可愛さは画面越しでも容易に胸を貫くほどで、疲労のあまり表情をなくした顔に微笑みを運んでくれた。
ペット禁のアパートだったので、残念ながら猫を飼うことはできなかったが、毎日の動画と、たまの休みの猫カフェで、存分に癒やしてもらい辛い社畜生活を乗り切ることができた。
(いや、過労で死んだから乗り切れてはいないか……)
自身の誇りを磨くべく魔力の研鑽に励み、見事、歴代最年少の王国魔術師となったギディオンだったが、それがさらなる悲劇の始まりだった。
史上最年少の王国魔術師となれば妬みを買わないわけがなく、周囲からの当たりが強くなった。さらにはギディオンを陥れようとする者まで現れた。
飢えた心の片隅で、王国魔術師となれば誰もが自分を認めてくれるだろうと、どこか期待していたギディオンは絶望した。
長年蓄積されてきた人間不信が、人々への憎悪へと変わっていくのにそう時間はかからなかった。
そんなギディオンが封じられた禁書、災厄の魔導書と出会ったことで、彼は人の道を外れることになる……――。
それが『グランド・マギ』のラスボスキャラ、ギディオン・モーランの生い立ち、そして人類の滅亡を願うに至った理由である。
なお、このゲームにギディオン生存のハッピーエンドはない。人類滅亡か、主人公にギディオンが倒されるかのどちらかだ。
ギディオンと使い魔であるシリルは強固な主従契約が結ばれており、使い魔は主が死ぬと、一緒にこの世を去ることになる。だから、ギディオンが主人公に倒される展開は絶対に避けなければならない。
しかしだからと言って、我が身可愛さに人類滅亡を望むほど心は腐っていない。
ならば、どうするべきか?
答えは至極簡単だ。ギディオンに人類滅亡などという物騒な願いを抱かせない、これに尽きる。
そのために必要なのは、冷たい孤独にさらされ続けたギディオンの心を、温かな感情で満たすことだった。
人類滅亡を願うに至ったのも、結局は誰にも愛されない孤独感がこじれてのことだ。
現にギディオンは主人公に倒されるエンドで、母親に優しく抱きしめられる夢を死に際に見て、目を閉じている。どれだけ愛を渇望していたかは明白だ。
もちろん、猫のシリルが母親代わりになれるなど思っていない。
しかし、猫だからこそできることがある。
それが『ペットセラピー』だ。
前世のシリルは、いわゆる社畜と呼ばれるサラリーマンで、万年繁忙期というような仕事量に、心身とも疲れ切っていた。
毎朝『会社が火事でしばらく休みになればいいのに……』などという、あり得ないことを半ば本気で願うくらい、心が荒んでいた。
そんな荒んだ心を癒やしてくれたのが猫の動画だった。
その可愛さは画面越しでも容易に胸を貫くほどで、疲労のあまり表情をなくした顔に微笑みを運んでくれた。
ペット禁のアパートだったので、残念ながら猫を飼うことはできなかったが、毎日の動画と、たまの休みの猫カフェで、存分に癒やしてもらい辛い社畜生活を乗り切ることができた。
(いや、過労で死んだから乗り切れてはいないか……)
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