35歳からの楽しいホストクラブ

第7章 35歳にして、ご家族にご挨拶！？

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　あ！　そうだ！　さっき蓮さんに桜季さんと二人きりになるなって言われたんだった！

　でも一度お願いしますと頭を下げた矢先に「やっぱりいいです」と断るのは申し訳ないし不自然だ。
　けれど、このままだと蓮さんに呆れられて愛想を尽かされるかもしれない。せっかく距離が縮まったのにそれは嫌だ。
　どうにかいい折衷案はないかと頭をひねる。
　
　桜季さんの誘いを断らず、なおかつ蓮さんを呆れさせない方法……、そうだ！
　
　ピンとひらめいて蓮さんに向き直る。

「蓮さん！　もしよければぜひ蓮さんも僕のパンツを選んでください！」

　これなら桜季さんの厚意を無碍にせずに、なおかつ蓮さんの忠告を守れる。
　名案だと思ったのだけれど、蓮さんは目を見開き怪訝さをさらに深めて顔を顰めた。

「はぁ？　何言ってんだお前。なにが楽しくておっさんの下着を選びに行かないといけないんだよ」
「た、確かに……」

　もっともすぎる言葉に、ぐうの音も出ない。

「別にレンコンは来なくていいよぉ。おれは青りんごと二人でデートがいいもん～」

　桜季さんがぎゅっと僕の肩を抱き寄せる。すると蓮さんの眉がぴくりと動いた。

「……やっぱり俺も行く」
「ほ、ほんとですか！」
「えぇ～、来なくていいんだけどぉ」

　不承不承といった感じで呟いた蓮さんの言葉に喜ぶ僕に反して、桜季さんは明らかに不満そうに唇を尖らせた。

「あ、もしかしてレンコンも青りんごのパンツ選びたいのぉ？　レンコン意外とむっつりそうだからえげつないくらいえっちなの選びそうだよねぇ」
「そんなわけあるか！　気持ちわりいっ。ただもし何かあった時、目覚めが悪いから仕方なく一緒に行ってやるって言ってるんだよ！」

　苛立った声からは、買い物への同行が不本意なのがありありと感じられ、なんだか申し訳ない気持ちになった。

「なんか無理を言ってすみません……」
「まぁ、しょうがないからレンコンも買い物一緒に行っていいよぉ。仲間外れはかわいそうだもんねぇ」
「お前らと仲間になったつもりはないっ」
「あはは～、レンコンったらツンデレさん～」
「誰がツンデレだっ。はっ倒すぞ」

　とてもツンデレの範疇にはとてもおさまりそうにない凶器にも似た鋭い目でキッと睨みつける蓮さん。
　慌てふためく僕に反して、桜季さんは緩い笑みを崩さず「ツンデレンコン～！」とはやし立てていた。
　
　……三人で出掛けて仲を深めたい気持ちもあるけれど、僕がこの二人の一触即発な雰囲気に耐えられるか心配だ……。