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第7章 35歳にして、ご家族にご挨拶!?
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しおりを挟む「ば……ッ、な、なに見せてんだよ!」
「あ、す、すみません……っ!」
顔を赤くして顔を思いっきり背けられ、自分の行為の恥ずかしさにハッとする。
僕の汚いパンツなんて見せられても困るし、むしろ不快に違いない。
いい歳なのに配慮が至らず恥ずかしい。桜季さんに見つかったら弄られるに違いな……。
「……って、あれ? そういえば桜季さんは……?」
ふと気付いて辺りを見回したけれど桜季さんの姿は見当たらなかった。
「タバコ買いに近くのコンビニ行った」
素っ気なく答えると、蓮さんは再び携帯をいじり始めた。
なるほど、通りで静かなはずだ、と納得したと同時に、訪れた沈黙に気付いて少し気まずさを覚える。
蓮さんとは出会った当初に比べれば随分関係が良くなったけれど、こうして二人っきりになると気まずいとまではいかないけれど、何を話していいか話題に困ってしまう。
けれど話す話題がないからといってこの場をそそくさと去るのも失礼な気がするし……。
「……あのさ」
沈黙の突破口を考えていると、気を遣ってか蓮さんが口を開いた。
それがなんだか嬉しくてしゃんと姿勢を正して向き直る。
「は、はい、なんでしょう!」
「別にそんな畏まらなくてもいいんだけど……」
ひとつ躊躇いの間を置いてから、意を決したような素振りで視線を僕の方へ向ける。
「俺が前にお前に言ったことだけど、あれ……」
「ただいまぁ!」
蓮さんの言葉を遮るように桜季さんの上機嫌な声が玄関から飛んできた。
「ごめんねぇ、遅くなってぇ。欲しい銘柄がなかったから家に取りに帰ってたぁ。ついでに明日の朝食の食材も持ってきたよぉ」
居間の戸を開けると、桜季さんは色々詰まっているのだろうカバンを持ち上げて見せた。
「いや、家に帰ったなら、こっちにわざわざ戻ってくんなよ」
桜季さんの言葉にあからさまに迷惑そうな顔をして蓮さんがじろりと睨む。
「えぇ~、だってぇ青りんごと二人っきりになったらレンコンが何するか分かんないじゃん~。おれが青りんごを守らないとぉ!」
「どの口がそれを言うか……っ」
目をきりっとさせて僕と蓮さんの間に入る桜季さんに、蓮さんが口の端を引攣らせた。
「さ、桜季さんっ、朝食のことまで考えてくださってありがとうございますっ。明日の朝食はなんですか?」
不穏な空気を散らそうと慌てて話題を変える。
「うん、いろいろ持って来たよぉ……って青りんごその格好どうしたのぉ?」
桜季さんが目を丸くして視線を腰から下を凝視する。
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