216 / 228
第7章 35歳にして、ご家族にご挨拶!?
46
しおりを挟む「ば……ッ、な、なに見せてんだよ!」
「あ、す、すみません……っ!」
顔を赤くして顔を思いっきり背けられ、自分の行為の恥ずかしさにハッとする。
僕の汚いパンツなんて見せられても困るし、むしろ不快に違いない。
いい歳なのに配慮が至らず恥ずかしい。桜季さんに見つかったら弄られるに違いな……。
「……って、あれ? そういえば桜季さんは……?」
ふと気付いて辺りを見回したけれど桜季さんの姿は見当たらなかった。
「タバコ買いに近くのコンビニ行った」
素っ気なく答えると、蓮さんは再び携帯をいじり始めた。
なるほど、通りで静かなはずだ、と納得したと同時に、訪れた沈黙に気付いて少し気まずさを覚える。
蓮さんとは出会った当初に比べれば随分関係が良くなったけれど、こうして二人っきりになると気まずいとまではいかないけれど、何を話していいか話題に困ってしまう。
けれど話す話題がないからといってこの場をそそくさと去るのも失礼な気がするし……。
「……あのさ」
沈黙の突破口を考えていると、気を遣ってか蓮さんが口を開いた。
それがなんだか嬉しくてしゃんと姿勢を正して向き直る。
「は、はい、なんでしょう!」
「別にそんな畏まらなくてもいいんだけど……」
ひとつ躊躇いの間を置いてから、意を決したような素振りで視線を僕の方へ向ける。
「俺が前にお前に言ったことだけど、あれ……」
「ただいまぁ!」
蓮さんの言葉を遮るように桜季さんの上機嫌な声が玄関から飛んできた。
「ごめんねぇ、遅くなってぇ。欲しい銘柄がなかったから家に取りに帰ってたぁ。ついでに明日の朝食の食材も持ってきたよぉ」
居間の戸を開けると、桜季さんは色々詰まっているのだろうカバンを持ち上げて見せた。
「いや、家に帰ったなら、こっちにわざわざ戻ってくんなよ」
桜季さんの言葉にあからさまに迷惑そうな顔をして蓮さんがじろりと睨む。
「えぇ~、だってぇ青りんごと二人っきりになったらレンコンが何するか分かんないじゃん~。おれが青りんごを守らないとぉ!」
「どの口がそれを言うか……っ」
目をきりっとさせて僕と蓮さんの間に入る桜季さんに、蓮さんが口の端を引攣らせた。
「さ、桜季さんっ、朝食のことまで考えてくださってありがとうございますっ。明日の朝食はなんですか?」
不穏な空気を散らそうと慌てて話題を変える。
「うん、いろいろ持って来たよぉ……って青りんごその格好どうしたのぉ?」
桜季さんが目を丸くして視線を腰から下を凝視する。
10
お気に入りに追加
738
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない
バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《 根暗の根本君 》である地味男である< 根本 源 >には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染< 空野 翔 >がいる。
ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない??
イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する
知世
BL
大輝は悩んでいた。
完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。
自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは?
自分は聖の邪魔なのでは?
ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。
幼なじみ離れをしよう、と。
一方で、聖もまた、悩んでいた。
彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。
自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。
心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。
大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。
だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。
それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。
小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました)
受けと攻め、交互に視点が変わります。
受けは現在、攻めは過去から現在の話です。
拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
宜しくお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる