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第7章 35歳にして、ご家族にご挨拶!?
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「え、いえ、決して嫌ではないんですけど、急にお邪魔してむしろ桜季さんの方が嫌じゃないですか……?」
「嫌だったら誘わないよぉ。おれ急なお泊まり慣れてるから着替えとかの準備もあるし~。だから泊まっていってよぉ」
そう言って僕の手を掴んでぶんぶんと横に揺らす桜季さんはまるで子供のようで思わず頬が緩んだ。
「ははは、じゃあお言葉に甘え……」
「甘えるな、このバカっ」
言葉尻を吹き飛ばすようにぽかっと軽く頭をはたかれる。
じ、地味に痛い……。
「す、すみません、そうですねっ。人に甘えてばっかりじゃだめですね、すみませんっ」
はたかれた頭を撫でながら謝ると、なぜか蓮さんの眉間の皺が余計に深くなった。
「そうじゃなくて……っ、あー! いい加減コイツの本性に気づけ!」
「えぇ~、その言い方だとまるでおれが裏表ある人間みたいじゃない~」
「みたいじゃなくてそうだろ! この猫かぶりがっ」
「あはは~、猫かぶりってなんか可愛いねぇ。おれ猫すきぃ。青りんごはぁ?」
「僕も好きです、可愛いですよね」
前の職場に居着いていたノラ猫を思い出してつい頬が緩む。
「ほんとぉ? じゃあおれの家に実家の猫のアルバムあるから見においでよぉ。可愛いよぉ」
「いいんですか! ぜひ……」
「だからほいほいついて行くなっ」
またぽかんと軽く頭をはたかれる。
「すっ、すみません……」
謝りつつも、どうしてここまで断固として桜季さん宅へのお泊まりをだめだと言うのか分からず僕は心の中で首を傾げた。
結局、蓮さんの家に桜季さんと一緒に泊まらせてもらうことになった。
お風呂から上がると、居間のテーブルを端に避けて布団が三枚敷かれていた。壁際の布団には横になって携帯を触る蓮さんだったが、僕に気づくと顔を上げた。
「湯加減、大丈夫だったか?」
「あ、はい、大丈夫でした! というか、すみません、泊まらせて貰う上に布団まで敷いてもらって……。あと着替えもありがとうございました。今度洗って返しますね」
「着替えくらい別にいい。川中さんに借りた布団に汚い服で寝かせるわけにいかないし」
もっともな言葉に僕は苦笑した。
「確かにそうですね」
「……というか、なんでズボン履いてないわけ?」
怪訝そうに眉をひそめて、蓮さんが僕の腰から足元を見る。
「あ、すみません、脚の長さが全然違うので、裾がすごいことになって……」
まるで遠山の金さんのように裾を引く自分の姿を思い出しながら苦笑する。
男だけなら別に問題ないだろうと思ってズボンを履かずに出てきたのだけれど、蓮さんの表情を見るに、自分で思っている以上に僕の姿は見苦しいもののようだ。
「す、すみませんっ、見苦しいですね」
「いや、見苦しいというか……」
言葉を濁して目を逸らすあたり、よっぽどのようだ。
「あ、でも、パンツはちゃんと履いてますのでっ」
シャツで隠れてしまっているので、もしかしたらノーパンと思われたのかもしれないと慌ててシャツの裾をめくり上げてパンツを見せる。
「嫌だったら誘わないよぉ。おれ急なお泊まり慣れてるから着替えとかの準備もあるし~。だから泊まっていってよぉ」
そう言って僕の手を掴んでぶんぶんと横に揺らす桜季さんはまるで子供のようで思わず頬が緩んだ。
「ははは、じゃあお言葉に甘え……」
「甘えるな、このバカっ」
言葉尻を吹き飛ばすようにぽかっと軽く頭をはたかれる。
じ、地味に痛い……。
「す、すみません、そうですねっ。人に甘えてばっかりじゃだめですね、すみませんっ」
はたかれた頭を撫でながら謝ると、なぜか蓮さんの眉間の皺が余計に深くなった。
「そうじゃなくて……っ、あー! いい加減コイツの本性に気づけ!」
「えぇ~、その言い方だとまるでおれが裏表ある人間みたいじゃない~」
「みたいじゃなくてそうだろ! この猫かぶりがっ」
「あはは~、猫かぶりってなんか可愛いねぇ。おれ猫すきぃ。青りんごはぁ?」
「僕も好きです、可愛いですよね」
前の職場に居着いていたノラ猫を思い出してつい頬が緩む。
「ほんとぉ? じゃあおれの家に実家の猫のアルバムあるから見においでよぉ。可愛いよぉ」
「いいんですか! ぜひ……」
「だからほいほいついて行くなっ」
またぽかんと軽く頭をはたかれる。
「すっ、すみません……」
謝りつつも、どうしてここまで断固として桜季さん宅へのお泊まりをだめだと言うのか分からず僕は心の中で首を傾げた。
結局、蓮さんの家に桜季さんと一緒に泊まらせてもらうことになった。
お風呂から上がると、居間のテーブルを端に避けて布団が三枚敷かれていた。壁際の布団には横になって携帯を触る蓮さんだったが、僕に気づくと顔を上げた。
「湯加減、大丈夫だったか?」
「あ、はい、大丈夫でした! というか、すみません、泊まらせて貰う上に布団まで敷いてもらって……。あと着替えもありがとうございました。今度洗って返しますね」
「着替えくらい別にいい。川中さんに借りた布団に汚い服で寝かせるわけにいかないし」
もっともな言葉に僕は苦笑した。
「確かにそうですね」
「……というか、なんでズボン履いてないわけ?」
怪訝そうに眉をひそめて、蓮さんが僕の腰から足元を見る。
「あ、すみません、脚の長さが全然違うので、裾がすごいことになって……」
まるで遠山の金さんのように裾を引く自分の姿を思い出しながら苦笑する。
男だけなら別に問題ないだろうと思ってズボンを履かずに出てきたのだけれど、蓮さんの表情を見るに、自分で思っている以上に僕の姿は見苦しいもののようだ。
「す、すみませんっ、見苦しいですね」
「いや、見苦しいというか……」
言葉を濁して目を逸らすあたり、よっぽどのようだ。
「あ、でも、パンツはちゃんと履いてますのでっ」
シャツで隠れてしまっているので、もしかしたらノーパンと思われたのかもしれないと慌ててシャツの裾をめくり上げてパンツを見せる。
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