208 / 228
第7章 35歳にして、ご家族にご挨拶!?
38
しおりを挟む
「ご馳走様でした!」
桜季さんが作ってくれたご飯を平らげて、僕は両手を合わせて言った。
「桜季さんはやっぱり料理が上手ですね。すごくおいしかったです」
お店でもおいしい料理を食べさせて貰っているけれど、今日の料理は鶏肉の味噌炒めや小松の和え物など家庭的なもので、それもまたお店のものとは違った温かみのあるおいしさがあった。
料理の腕に感心して言うと、桜季さんは得意げに笑った。
「ふふふ~、料理はおれの趣味で特技だからねぇ」
「すごいですね。桜季さんと付き合う人はきっと毎日おいしいものが食べれるんでしょうね。あ、でも仕事で料理するから家では作りたくないってよく言いますよね」
前に、コックや板前の人は家では包丁にも触れない、と聞いたことがある。家でくらい人が作ったものが食べたい、ということだった。
「そういう人もいるけどぉ、おれは好きな人のためなら作ってあげたいなぁ」
和え物の最後の一口を口に運んで桜季さんが言った。
「優しいですね。桜季さんの彼女さんは幸せでしょうね」
「その代わり他のところで頑張ってもらうけどねぇ」
意味ありげに言うので僕は首を傾げた。
「他のところ……ああ! 皿洗いとかしてもらうんですね。家事分担してるとお互いに不満が溜まらなそうでよさそうですね」
「そうそう~、おれが溜まらないように頑張ってもらうのぉ」
「おい」
桜季さんと僕のとりとめのない会話に、なぜか連さんが顔を顰めて割り入ってきた。
桜季さんは唇を尖らせて連さんの方に向いた。
「なぁにぃ? 青りんごと楽しくおしゃべりしてるところにそんなこわい声で割り込まないでよぉ。あ~、もしかしてレンコン自分だけのけ者にされて僻んでるんでしょ~」
「違うっ。お前の、下ネタの意味を分かってない女の反応を楽しむセクハラ親父みたいなそのにやけ面が不快なんだよ! 今すぐやめろ!」
「ちょっとぉ、人の顔に失礼じゃない~? おれは元々こんな顔だし~。というか今の会話のどこに下ネタがあったぁ? 青りんご分かるぅ?」
「あ、いえ、僕は分かりませんでした。でも不快にさせてしまったなら、すみません」
桜季さんとの会話を振り返っても下ネタとおぼしきものは思い当たらなかったけれど、もしかすると僕が知らないだけで不快なことを言ったのかもしれない。
「ほらぁ、青りんごもこう言ってるよぉ。あ、レンコンってあれでしょ~? バナナ見ただけで卑猥なこと考える人でしょ~」
「考えるか!」
ガン、っとテーブルの下で蓮さんが桜季さんの足を蹴った。
「ちょっとぉ、暴力反対~!」
「うるせぇ、テメェが変なこと言うからだろうがっ。あとお前」
目尻を吊り上げたまま連さんがこちらに向いた。僕は思わず姿勢を正した。
「は、はいっ!」
「お前もセクハラを受けてへらへらしてんじゃねぇよ。そういう態度がこいつを調子に乗らせるんだよ」
「え、あ、はい、すみません……。でも、セクハラなんて……」
「あぁっ?」
「あ、いえ、なんでもないです……」
反射的に謝ってしまったけれど、別にセクハラなんて受けていない。ただ事実を伝えようとしただけなのに、低い声と鋭い睨みに言葉は封じ込められてしまった。
桜季さんが作ってくれたご飯を平らげて、僕は両手を合わせて言った。
「桜季さんはやっぱり料理が上手ですね。すごくおいしかったです」
お店でもおいしい料理を食べさせて貰っているけれど、今日の料理は鶏肉の味噌炒めや小松の和え物など家庭的なもので、それもまたお店のものとは違った温かみのあるおいしさがあった。
料理の腕に感心して言うと、桜季さんは得意げに笑った。
「ふふふ~、料理はおれの趣味で特技だからねぇ」
「すごいですね。桜季さんと付き合う人はきっと毎日おいしいものが食べれるんでしょうね。あ、でも仕事で料理するから家では作りたくないってよく言いますよね」
前に、コックや板前の人は家では包丁にも触れない、と聞いたことがある。家でくらい人が作ったものが食べたい、ということだった。
「そういう人もいるけどぉ、おれは好きな人のためなら作ってあげたいなぁ」
和え物の最後の一口を口に運んで桜季さんが言った。
「優しいですね。桜季さんの彼女さんは幸せでしょうね」
「その代わり他のところで頑張ってもらうけどねぇ」
意味ありげに言うので僕は首を傾げた。
「他のところ……ああ! 皿洗いとかしてもらうんですね。家事分担してるとお互いに不満が溜まらなそうでよさそうですね」
「そうそう~、おれが溜まらないように頑張ってもらうのぉ」
「おい」
桜季さんと僕のとりとめのない会話に、なぜか連さんが顔を顰めて割り入ってきた。
桜季さんは唇を尖らせて連さんの方に向いた。
「なぁにぃ? 青りんごと楽しくおしゃべりしてるところにそんなこわい声で割り込まないでよぉ。あ~、もしかしてレンコン自分だけのけ者にされて僻んでるんでしょ~」
「違うっ。お前の、下ネタの意味を分かってない女の反応を楽しむセクハラ親父みたいなそのにやけ面が不快なんだよ! 今すぐやめろ!」
「ちょっとぉ、人の顔に失礼じゃない~? おれは元々こんな顔だし~。というか今の会話のどこに下ネタがあったぁ? 青りんご分かるぅ?」
「あ、いえ、僕は分かりませんでした。でも不快にさせてしまったなら、すみません」
桜季さんとの会話を振り返っても下ネタとおぼしきものは思い当たらなかったけれど、もしかすると僕が知らないだけで不快なことを言ったのかもしれない。
「ほらぁ、青りんごもこう言ってるよぉ。あ、レンコンってあれでしょ~? バナナ見ただけで卑猥なこと考える人でしょ~」
「考えるか!」
ガン、っとテーブルの下で蓮さんが桜季さんの足を蹴った。
「ちょっとぉ、暴力反対~!」
「うるせぇ、テメェが変なこと言うからだろうがっ。あとお前」
目尻を吊り上げたまま連さんがこちらに向いた。僕は思わず姿勢を正した。
「は、はいっ!」
「お前もセクハラを受けてへらへらしてんじゃねぇよ。そういう態度がこいつを調子に乗らせるんだよ」
「え、あ、はい、すみません……。でも、セクハラなんて……」
「あぁっ?」
「あ、いえ、なんでもないです……」
反射的に謝ってしまったけれど、別にセクハラなんて受けていない。ただ事実を伝えようとしただけなのに、低い声と鋭い睨みに言葉は封じ込められてしまった。
20
お気に入りに追加
722
あなたにおすすめの小説
片桐くんはただの幼馴染
ベポ田
BL
俺とアイツは同小同中ってだけなので、そのチョコは直接片桐くんに渡してあげてください。
藤白侑希
バレー部。眠そうな地味顔。知らないうちに部屋に置かれていた水槽にいつの間にか住み着いていた亀が、気付いたらいなくなっていた。
右成夕陽
バレー部。精悍な顔つきの黒髪美形。特に親しくない人の水筒から無断で茶を飲む。
片桐秀司
バスケ部。爽やかな風が吹く黒髪美形。部活生の9割は黒髪か坊主。
佐伯浩平
こーくん。キリッとした塩顔。藤白のジュニアからの先輩。藤白を先輩離れさせようと努力していたが、ちゃんと高校まで追ってきて涙ぐんだ。
多分前世から続いているふたりの追いかけっこ
雨宮里玖
BL
執着ヤバめの美形攻め×絆されノンケ受け
《あらすじ》
高校に入って初日から桐野がやたらと蒼井に迫ってくる。うわ、こいつヤバい奴だ。関わってはいけないと蒼井は逃げる——。
桐野柊(17)高校三年生。風紀委員。芸能人。
蒼井(15)高校一年生。あだ名『アオ』。
目が覚めたらαのアイドルだった
アシタカ
BL
高校教師だった。
三十路も半ば、彼女はいなかったが平凡で良い人生を送っていた。
ある真夏の日、倒れてから俺の人生は平凡なんかじゃなくなった__
オメガバースの世界?!
俺がアイドル?!
しかもメンバーからめちゃくちゃ構われるんだけど、
俺ら全員αだよな?!
「大好きだよ♡」
「お前のコーディネートは、俺が一生してやるよ。」
「ずっと俺が守ってあげるよ。リーダーだもん。」
____
(※以下の内容は本編に関係あったりなかったり)
____
ドラマCD化もされた今話題のBL漫画!
『トップアイドル目指してます!』
主人公の成宮麟太郎(β)が所属するグループ"SCREAM(スクリーム)"。
そんな俺らの(社長が勝手に決めた)ライバルは、"2人組"のトップアイドルユニット"Opera(オペラ)"。
持ち前のポジティブで乗り切る麟太郎の前に、そんなトップアイドルの1人がレギュラーを務める番組に出させてもらい……?
「面白いね。本当にトップアイドルになれると思ってるの?」
憧れのトップアイドルからの厳しい言葉と現実……
だけどたまに優しくて?
「そんなに危なっかしくて…怪我でもしたらどうする。全く、ほっとけないな…」
先輩、その笑顔を俺に見せていいんですか?!
____
『続!トップアイドル目指してます!』
憧れの人との仲が深まり、最近仕事も増えてきた!
言葉にはしてないけど、俺たち恋人ってことなのかな?
なんて幸せ真っ只中!暗雲が立ち込める?!
「何で何で何で???何でお前らは笑ってられるの?あいつのこと忘れて?過去の話にして終わりってか?ふざけんじゃねぇぞ!!!こんなβなんかとつるんでるから!!」
誰?!え?先輩のグループの元メンバー?
いやいやいや変わり過ぎでしょ!!
ーーーーーーーーーー
亀更新中、頑張ります。
コパスな殺人鬼の兄に転生したのでどうにか生き延びたい
ベポ田
BL
高倉陽介
前世見ていた「降霊ゲーム」の世界に転生した(享年25歳)、元会社員。弟が作中の黒幕殺人鬼で日々胃痛に悩まされている。
高倉明希
「降霊ゲーム」の黒幕殺人鬼となる予定の男。頭脳明晰、容姿端麗、篤実温厚の三拍子揃った優等生と評価されるが、実態は共感性に欠けたサイコパス野郎。
彼はオレを推しているらしい
まと
BL
クラスのイケメン男子が、なぜか平凡男子のオレに視線を向けてくる。
どうせ絶対に嫌われているのだと思っていたんだけど...?
きっかけは突然の雨。
ほのぼのした世界観が書きたくて。
4話で完結です(執筆済み)
需要がありそうでしたら続編も書いていこうかなと思っておいます(*^^*)
もし良ければコメントお待ちしております。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる