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第7章 35歳にして、ご家族にご挨拶!?
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「っ、違いますっ、そういうことじゃなくて……!」
僕は言葉に詰まって下を向いた。
言いたいことが全く伝わらず、その上自分の言葉のせいで蓮さんの印象をさらに悪くしてしまい、自分の不甲斐なさが歯痒くて仕方なかった。
何とか言い言葉を、蓮さんのすごさが伝わるエピソードを頭の中で一生懸命組み立てていると、
「青りんごぉ、諦めなよぉ」
心の中を見透かしたような言葉が頭上をかすめ、僕は顔を上げた。
するとテーブルの上でジェンガのようにお菓子を積み上げていた桜季さんがその手を止め、にへらと笑いかけてきた。
「何言ったって無駄だよぉ。ひがみ全開の男に何言ったって通じないってぇ」
「はぁ!?」
桜季さんの言葉に凛太郎さんの怒りが瞬間発火した。
その拍子にお菓子の塔が音を立てて崩れた。
「あぁ~! ちょっとお兄さんが急に大きい声出すから崩れちゃったじゃん~」
「知るか! というより、どういう意味だ!」
「どういう意味ってぇ、だからお兄さんの声が大きいか……」
「そっちじゃない! ひがみ全開とはどういうことだ! 誰が誰をひがんでるって言うんだ!」
凛太郎さんは憤然と桜季さんに詰め寄った。しかし、桜季さんは少しの動揺も見せず笑いを浮かべたままだ。
「えぇ~、普通に考えれば分からなぁい? お兄さん、レンコンにコンプレックス感じまくりじゃん~」
「なっ!」
凛太郎さんの顔が一気に赤くなり、顔が怒りで歪んだ。
「そんなことあるわけないだろ! なんでこんな奴にコンプレックス感じなければならないんだ!」
「そんな大きい声で怒らないでよぉ。だから蘭香ちゃんも蓮太郎兄様が好き~ってなるんだよぉ」
「え?」
唐突に自分の名前が出て来てきょとんとする蘭香ちゃん。
桜季さんがにっこりと蘭香ちゃんに笑いかけた。
「ガミガミうるさいお兄さんより、そりゃあイケメンで優しいお兄ちゃんの方がいいよねぇ」
「え、えっと……」
困惑の表情で凛太郎さんを蘭香ちゃんが窺い見た。
「もしかして、凛太郎兄様が蓮太郎兄様に突っかかるのってまさか私が原因なんですか……?」
信じられないといった様子で蘭香ちゃんに問われ、凛太郎さんの顔の赤さが耳の先まで広がった。紛れもない肯定だった。
つつつ、と近寄り蘭香ちゃんが凛太郎さんの顔を下から覗き見た。
「ヤキモチ、ですか?」
「~~~っ、ち、違う! お前がいつも蓮太郎蓮太郎とうるさいから鬱陶しく思ってるだけだ!」
「それってヤキモチじゃん~」
「外野は黙っていろ!」
ケラケラと笑って茶化す桜季さんを凛太郎さんが鋭く睨み付ける。だけど不思議と怖くなかった。
蘭香ちゃんがふぅ、と大きく溜め息を吐いた。
「凛太郎兄様、私は別に蓮太郎兄様の方が好きとかそういうことは思っていません。どちらも私の大好きなお兄様です。そこに優劣はありません」
ぎゅっと凛太郎さんの手を両手で包み込んで、蘭香ちゃんが微笑んだ。
僕は言葉に詰まって下を向いた。
言いたいことが全く伝わらず、その上自分の言葉のせいで蓮さんの印象をさらに悪くしてしまい、自分の不甲斐なさが歯痒くて仕方なかった。
何とか言い言葉を、蓮さんのすごさが伝わるエピソードを頭の中で一生懸命組み立てていると、
「青りんごぉ、諦めなよぉ」
心の中を見透かしたような言葉が頭上をかすめ、僕は顔を上げた。
するとテーブルの上でジェンガのようにお菓子を積み上げていた桜季さんがその手を止め、にへらと笑いかけてきた。
「何言ったって無駄だよぉ。ひがみ全開の男に何言ったって通じないってぇ」
「はぁ!?」
桜季さんの言葉に凛太郎さんの怒りが瞬間発火した。
その拍子にお菓子の塔が音を立てて崩れた。
「あぁ~! ちょっとお兄さんが急に大きい声出すから崩れちゃったじゃん~」
「知るか! というより、どういう意味だ!」
「どういう意味ってぇ、だからお兄さんの声が大きいか……」
「そっちじゃない! ひがみ全開とはどういうことだ! 誰が誰をひがんでるって言うんだ!」
凛太郎さんは憤然と桜季さんに詰め寄った。しかし、桜季さんは少しの動揺も見せず笑いを浮かべたままだ。
「えぇ~、普通に考えれば分からなぁい? お兄さん、レンコンにコンプレックス感じまくりじゃん~」
「なっ!」
凛太郎さんの顔が一気に赤くなり、顔が怒りで歪んだ。
「そんなことあるわけないだろ! なんでこんな奴にコンプレックス感じなければならないんだ!」
「そんな大きい声で怒らないでよぉ。だから蘭香ちゃんも蓮太郎兄様が好き~ってなるんだよぉ」
「え?」
唐突に自分の名前が出て来てきょとんとする蘭香ちゃん。
桜季さんがにっこりと蘭香ちゃんに笑いかけた。
「ガミガミうるさいお兄さんより、そりゃあイケメンで優しいお兄ちゃんの方がいいよねぇ」
「え、えっと……」
困惑の表情で凛太郎さんを蘭香ちゃんが窺い見た。
「もしかして、凛太郎兄様が蓮太郎兄様に突っかかるのってまさか私が原因なんですか……?」
信じられないといった様子で蘭香ちゃんに問われ、凛太郎さんの顔の赤さが耳の先まで広がった。紛れもない肯定だった。
つつつ、と近寄り蘭香ちゃんが凛太郎さんの顔を下から覗き見た。
「ヤキモチ、ですか?」
「~~~っ、ち、違う! お前がいつも蓮太郎蓮太郎とうるさいから鬱陶しく思ってるだけだ!」
「それってヤキモチじゃん~」
「外野は黙っていろ!」
ケラケラと笑って茶化す桜季さんを凛太郎さんが鋭く睨み付ける。だけど不思議と怖くなかった。
蘭香ちゃんがふぅ、と大きく溜め息を吐いた。
「凛太郎兄様、私は別に蓮太郎兄様の方が好きとかそういうことは思っていません。どちらも私の大好きなお兄様です。そこに優劣はありません」
ぎゅっと凛太郎さんの手を両手で包み込んで、蘭香ちゃんが微笑んだ。
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