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第7章 35歳にして、ご家族にご挨拶!?
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少女は毅然と対峙しているけれど、相手は男二人だ。あまりに分が悪い。
周りを見渡す。
道行く人は周囲の騒がしさのせいで不穏な空気に気づいていないし、気づいたとしてもちらりと視線を遣るだけですぐにまた自分が行くべき先に視線を戻してしまう。
……これは、自分が行くしかない。
凄みも腕力もない僕で果たして何の役に立つかは分からないけれど、困っている人が目の前にいるのに無視することは出来なかった。
すぅ、と息を吸い込んで口を開いた。
「ゆかちゃーん! ここにいたんだね!」
ブンブンと手を振りながら少女の元へ駆けて行くと、少女も男も突然割り込んできた僕の声に目を丸くしてこちらを向いた。
「いやぁ、大きくなったねぇ。お母さんは元気にしてるかな? 駅が広いから迷っただろう?」
親戚のおじさんを頭の中でイメージしながら、少女ににこやかに話し掛けた。
少女は呆気にとられてぽかんとしている。
僕はそのまま笑顔を男たちの方に向けた。
「いやぁ、すみません、うちの姪がお世話になったようで。もう大丈夫ですので。それでは失礼します」
ぺこりと頭を下げると、僕は少女の手を掴んでそそくさとその場を立ち去った。
男たちは怪訝そうな顔をしつつも、気が削がれたのか僕らとは反対方向に歩き始めた。
人混みに消えていく彼らの背中を認めてふぅ、と胸を撫で下ろした。
「……あの、もう離して頂いてもよいですか?」
「あ、ご、ごめんねっ」
少女の声に慌てて手を離した。
少女は訝しげに眉を顰めているが、声は男たちに向けたような冷たいものではなかった。そのことにとりあえずほっとした。
「しつこそうな人たちだったから一芝居してみたけど、君からしたら突然知り合いの振りして腕を引く僕も怪しいよね」
苦笑して頭を掻くと、そこでようやく少女はふっと表情を和らげた。
「いえ、大丈夫です。貴方は変な人じゃないって雰囲気で分かります。助けてくださってありがとうございました」
「あ、いや、そんな大したことはしてないから、そんなに頭を下げないで」
深々と頭を下げてお礼を言われいたたまれなくなった僕は少女に顔を上げてもらった。
けれどお礼を言ってもらえるということはやっぱり嬉しいもので顔がついつい緩んでしまう。
「よかった、余計なお世話って思われなくて」
「とんでもありません。すごく助かりました」
顔を上げ少女が微笑んだ。高校生くらいだろうにその笑みは大人っぽく、まるで有能な美人秘書のようだった。
「もしよろしければ、何かお礼をさせてください」
「え、いや、いいよ。本当にたいしたことはしてないから……あ!」
あのくらいのことで少女にお礼をさせるなんて申し訳ないので断ろうとしたけれど、自分の困った現状を思い出して声を上げた。
少女は首を傾げた。
周りを見渡す。
道行く人は周囲の騒がしさのせいで不穏な空気に気づいていないし、気づいたとしてもちらりと視線を遣るだけですぐにまた自分が行くべき先に視線を戻してしまう。
……これは、自分が行くしかない。
凄みも腕力もない僕で果たして何の役に立つかは分からないけれど、困っている人が目の前にいるのに無視することは出来なかった。
すぅ、と息を吸い込んで口を開いた。
「ゆかちゃーん! ここにいたんだね!」
ブンブンと手を振りながら少女の元へ駆けて行くと、少女も男も突然割り込んできた僕の声に目を丸くしてこちらを向いた。
「いやぁ、大きくなったねぇ。お母さんは元気にしてるかな? 駅が広いから迷っただろう?」
親戚のおじさんを頭の中でイメージしながら、少女ににこやかに話し掛けた。
少女は呆気にとられてぽかんとしている。
僕はそのまま笑顔を男たちの方に向けた。
「いやぁ、すみません、うちの姪がお世話になったようで。もう大丈夫ですので。それでは失礼します」
ぺこりと頭を下げると、僕は少女の手を掴んでそそくさとその場を立ち去った。
男たちは怪訝そうな顔をしつつも、気が削がれたのか僕らとは反対方向に歩き始めた。
人混みに消えていく彼らの背中を認めてふぅ、と胸を撫で下ろした。
「……あの、もう離して頂いてもよいですか?」
「あ、ご、ごめんねっ」
少女の声に慌てて手を離した。
少女は訝しげに眉を顰めているが、声は男たちに向けたような冷たいものではなかった。そのことにとりあえずほっとした。
「しつこそうな人たちだったから一芝居してみたけど、君からしたら突然知り合いの振りして腕を引く僕も怪しいよね」
苦笑して頭を掻くと、そこでようやく少女はふっと表情を和らげた。
「いえ、大丈夫です。貴方は変な人じゃないって雰囲気で分かります。助けてくださってありがとうございました」
「あ、いや、そんな大したことはしてないから、そんなに頭を下げないで」
深々と頭を下げてお礼を言われいたたまれなくなった僕は少女に顔を上げてもらった。
けれどお礼を言ってもらえるということはやっぱり嬉しいもので顔がついつい緩んでしまう。
「よかった、余計なお世話って思われなくて」
「とんでもありません。すごく助かりました」
顔を上げ少女が微笑んだ。高校生くらいだろうにその笑みは大人っぽく、まるで有能な美人秘書のようだった。
「もしよろしければ、何かお礼をさせてください」
「え、いや、いいよ。本当にたいしたことはしてないから……あ!」
あのくらいのことで少女にお礼をさせるなんて申し訳ないので断ろうとしたけれど、自分の困った現状を思い出して声を上げた。
少女は首を傾げた。
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