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第6章 35歳にして、初めてのメイド喫茶!
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「さぁさぁ、遠慮しないで~」
無理矢理僕の手を剥がそうとする桜季さん。
その手はなかなか強く、引く気配がない。
だ、だめだ……!
このままでは本当にズボンを脱がされてコンドームの付け方を指導されてしまう……!
僕は勇気を持って桜季さんの方を振り返って言った。
「あ、あのっ、ほ、本当に、だめです! こ、こんなところで恥ずかしいですし、それに……たぶん、僕にはそれブカブカですっ」
「え?」
きょとんとなった桜季さんに恥ずかしさが倍増する。
けれどここで引くわけにもいかない。
僕は目を逸らして早口で言った。
「ぼ、僕の、その……、そっ、そんなに大きい方じゃないので、たぶん……いや絶対ブカブカになってしまうと思いますっ」
誰にも言えない、いや言うつもりもなかったコンプレックスだ。
けれど今のこの状況を打破するには、言わざるを得なかった。
優しい桜季さんだから、きっとここまで言えば、この冗談を打ち切ってくれるだろう。
そう思っていた。
桜季さんは僕の突然のカミングアウトにしばらく目を瞬かせていたけれど、突如大きくため息を吐いて僕の肩に顔を埋めた。
「さ、桜季さん……?」
「……やべぇ、超ヤリてぇ」
ぼそりと桜季さんが呟いた。
よく聞き取れなかったけれど、いつもより低く剣呑な雰囲気を纏った声に体が強ばった。
緊張する僕に気づいたのか、桜季さんが顔を上げ、にっこりと笑顔を見せた。
「分かったぁ、じゃあ青りんごには今度もっと小さいの持ってくるねぇ」
よ、よかった……!
桜季さんの言葉は若干ずれているような気はするけれど、今回は危機を脱することができた。
ほっとするのもつかの間。
「じゃあ、今回はこのゴムおれが使うねぇ。青りんご、おれのにつけてみてぇ?」
「え……えぇぇぇ!」
とんでもない方向に展開した事態に頭の理解が追いつかない。
というか、頭が理解を放棄しているといってもいい。
「いやいや! おかしいですよね!? どうして今この流れでそうなるんですか!?」
「だってヘアアレンジもまずは人ので練習してできるようになったら自分のもできるようになるじゃん? それと一緒だよぉ」
「全然一緒じゃないと思いますよ!?」
確かに人で練習した方が難易度低いものもあるけれど、これは明らかに違うものだ。
というか、そもそも人のもので練習しようという発想にまず至らない。
「まぁまぁ、細かいことを気にしないでさぁ、とりあえずやってみようよぉ」
そう言って、桜季さんが僕の手をガッと掴んだ。
「あ、あの、本当に、ちょ、ちょっと待っ……」
「ふふふ~、逃がさないよぉ」
桜季さんが僕の手を掴んでない方の手で自分のズボンに手を掛けながら、ニヤニヤと笑っている。
ど、どうしよう……!
このままだと本当に桜季さんのものを使ってコンドームのレクチャーをされるかもしれない……!
そんな展開になったら、この後普通に仕事なんてできる気がしない……。
ズボンと桜季さんの顔を交互に見ながらあわあわとなっていると、
「お疲れ様でーす」
「う、右京君……っ!」
まさに天の助けだった。
タイミングよく現れた右京君に、僕はほっと胸を撫で下ろした。
僕の顔を見て笑顔を浮かべた右京君だったけれど、僕の手を掴んで自分のズボンをおろしかけている桜季さんを見るやいなや、ピキピキとこめかみに青筋を立てた。
「……っ、さっさと幸助さんから離れやがれこの変態野郎がぁぁぁぁ!」
その華奢な体のどこから出るのか不思議なくらいの大きな怒鳴り声が更衣室に響き渡った。
無理矢理僕の手を剥がそうとする桜季さん。
その手はなかなか強く、引く気配がない。
だ、だめだ……!
このままでは本当にズボンを脱がされてコンドームの付け方を指導されてしまう……!
僕は勇気を持って桜季さんの方を振り返って言った。
「あ、あのっ、ほ、本当に、だめです! こ、こんなところで恥ずかしいですし、それに……たぶん、僕にはそれブカブカですっ」
「え?」
きょとんとなった桜季さんに恥ずかしさが倍増する。
けれどここで引くわけにもいかない。
僕は目を逸らして早口で言った。
「ぼ、僕の、その……、そっ、そんなに大きい方じゃないので、たぶん……いや絶対ブカブカになってしまうと思いますっ」
誰にも言えない、いや言うつもりもなかったコンプレックスだ。
けれど今のこの状況を打破するには、言わざるを得なかった。
優しい桜季さんだから、きっとここまで言えば、この冗談を打ち切ってくれるだろう。
そう思っていた。
桜季さんは僕の突然のカミングアウトにしばらく目を瞬かせていたけれど、突如大きくため息を吐いて僕の肩に顔を埋めた。
「さ、桜季さん……?」
「……やべぇ、超ヤリてぇ」
ぼそりと桜季さんが呟いた。
よく聞き取れなかったけれど、いつもより低く剣呑な雰囲気を纏った声に体が強ばった。
緊張する僕に気づいたのか、桜季さんが顔を上げ、にっこりと笑顔を見せた。
「分かったぁ、じゃあ青りんごには今度もっと小さいの持ってくるねぇ」
よ、よかった……!
桜季さんの言葉は若干ずれているような気はするけれど、今回は危機を脱することができた。
ほっとするのもつかの間。
「じゃあ、今回はこのゴムおれが使うねぇ。青りんご、おれのにつけてみてぇ?」
「え……えぇぇぇ!」
とんでもない方向に展開した事態に頭の理解が追いつかない。
というか、頭が理解を放棄しているといってもいい。
「いやいや! おかしいですよね!? どうして今この流れでそうなるんですか!?」
「だってヘアアレンジもまずは人ので練習してできるようになったら自分のもできるようになるじゃん? それと一緒だよぉ」
「全然一緒じゃないと思いますよ!?」
確かに人で練習した方が難易度低いものもあるけれど、これは明らかに違うものだ。
というか、そもそも人のもので練習しようという発想にまず至らない。
「まぁまぁ、細かいことを気にしないでさぁ、とりあえずやってみようよぉ」
そう言って、桜季さんが僕の手をガッと掴んだ。
「あ、あの、本当に、ちょ、ちょっと待っ……」
「ふふふ~、逃がさないよぉ」
桜季さんが僕の手を掴んでない方の手で自分のズボンに手を掛けながら、ニヤニヤと笑っている。
ど、どうしよう……!
このままだと本当に桜季さんのものを使ってコンドームのレクチャーをされるかもしれない……!
そんな展開になったら、この後普通に仕事なんてできる気がしない……。
ズボンと桜季さんの顔を交互に見ながらあわあわとなっていると、
「お疲れ様でーす」
「う、右京君……っ!」
まさに天の助けだった。
タイミングよく現れた右京君に、僕はほっと胸を撫で下ろした。
僕の顔を見て笑顔を浮かべた右京君だったけれど、僕の手を掴んで自分のズボンをおろしかけている桜季さんを見るやいなや、ピキピキとこめかみに青筋を立てた。
「……っ、さっさと幸助さんから離れやがれこの変態野郎がぁぁぁぁ!」
その華奢な体のどこから出るのか不思議なくらいの大きな怒鳴り声が更衣室に響き渡った。
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