35歳からの楽しいホストクラブ

綺沙きさき(きさきさき)

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第6章 35歳にして、初めてのメイド喫茶!

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映画が終わった後、会場を出る時に漂う興奮が冷めやらないざわめきが好きだ。

「面白かったね!」

ロビーに向かいながら、隣を歩く晴仁に同意を求めて話し掛ける。

「うん、そうだね。面白かったね」
「特に所々入るジョージの台詞が面白くって何度も笑いそうになったよ」
「ふふ、そうだね。隣からこーすけの小さな笑い声が聞こえたよ」
「え! 声に出てた? ご、ごめん、声に出して笑ってないつもりだったんだけど……」

は、恥ずかしい……!
せめて映画鑑賞中だけでもクールになりたいのに……。

「ははは、謝ることじゃないよ。むしろ自分が面白いと思ったところでこーすけの笑い声が聞こえてむしろなんか安心した」
「晴仁……!」

さすが晴仁、フォロー上手だ。
いつも僕の失態を笑顔で肯定してくれる。
晴仁はもし女性だったとしてもモテていたに違いない。

「あ! あと、メアリーを助けるシーンだけど、そこでまさか……っうわ、す、すみませんっ」

話に夢中になって周りが見えなくなるのは昔からの悪い癖だ。
ついつい興奮して身振り手振りが大きくなって通り過ぎる人に手が当たってしまった。
相手が優しそうな女性で笑顔で許してくれたけれど、これがもしヤのつく自由業のような人だったらと思うと恐ろしい。
あり得る事態を想像してぞっとしていると、不意に晴仁が僕の腕を引いて、壁側に僕を置いた。
意図が分からずきょとんとしていると、晴仁がにっこりと微笑んだ。

「これなら周りを気にせず思う存分話せるでしょ?」

し、紳士すぎる……っ!
よくカップルが道を歩くときに彼氏が道路側を歩いてさり気なく彼女を守る、というのとよく似ている。
晴仁に新しい恋人がまだできないのが不思議でたまらない。

「晴仁、絶対モテるよね。今、恋人がいないのが不思議だよ。あ、もしかしてあれかな。よく『人は自分と似た人に惹かれる』っていうから、晴仁のようなできた人がなかなか周りにいないのかもしれないね」
「あはは、買い被りすぎだよ。僕はそんな上等な人間じゃないし、モテもしないよ」
「いやいや、絶対晴仁を好きっていう女の子はいっぱいいると思うよ! 僕が女の子だったらとっくの昔に惚れて、とっくの昔に振られてたよ」

そう思うと、僕らが男同士で本当によかった。
男同士でなければこうして長く友人関係を続けることができなかったに違いない。

「あはは、ありがとう。でも僕はこーすけが女の子だったら絶対付き合っていたよ」

さすが晴仁。
褒められてもさらりと嫌みなく受け流せるところが彼がモテる所以だろう。
しかもさり気なく僕のくだらない妄想にフォローしてくれるなんて、いつも晴仁の言動はパーフェクトだ。

「へへへ、嬉しいなぁ。あ、でも少し惜しいかも。もし僕が女の子だったら将来安泰だっただろうになぁ」
「ふふ、一生大切にするよ」

僕らがふざけていると、

「あれ? もしかして、青葉?」
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