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第5章 35歳にして、愛について知る

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「ひゃぃ!」
「あはは~、変な鳴き声~」
「だ、だっていきなり耳なんて舐められたら誰でも変な声が出ますよ! いきなりそんなことしないでくださいっ」

半分涙目になりながら抗議すると、意外にも「うん分かったぁ」とすんなり聞き入れてくれた。
なんだ本気で嫌がればちゃんと止めてくれるんだ。
しかし、ほっとしたのも束の間。

「じゃあ今から耳舐めるねぇ」

そう宣言して、また僕の耳を舐めはじめた。

「ぜ、全然分かってないじゃないですか!」
「え~、だって青りんごがいきなり舐めないでって言ったから『今から舐めるよ』って教えてあげたんじゃぁん」

日本語って難しい!

「それにこれはピアスの穴あける前の消毒だよぉ。しっかり消毒しないとバイ菌入っちゃうよ~」
「え! これが消毒なんですか!」
「うん、唾液には殺菌効果があるって聞いたことがあるから大丈夫だよぉ」
「いやいや、それ民間療法でしょ! やるならちゃんと消毒液にしてくださいっ」
「あ、青りんごもピアス乗り気になってくれたんだぁ!」
「ち、違います!」

どうしよう、話せば話すほど彼の術中にはまっているような気がしてならない。
どうにか抜けられないものか考えている間にも、彼の舌は僕の耳を好きに舐めまわしている。
耳の裏や中にまで舌が伸びてきて、背筋に鳥肌が走った。

「う、うぅ……」

蛇のように割れた舌は、動きも蛇のようだった。
割れた舌先で耳たぶを挟んで舐めあげられた時は、思わず小さく悲鳴をあげてしまった。
気持ち悪いとくすぐったいが混ざりあったような変な感覚が体中に広がる。
それはやがて下半身まで集まってきて……。

「さ、桜季さん、あの……」
「んー? なぁに?」
「も、漏れそうですっ」

涙目になりながら僕は訴えた。
妙な感覚に尿意が迫ってきたのだ。
僕の訴えに桜季さんは目をパチパチとしばたかせたが、すぐににんまりと目を細めた。
そして、とんでもない返答をこちらに寄越してきた。

「いいよぉ、漏らしてぇ」
「……え?」
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