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第4章 35歳にして、初のホストクラブ!!

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桜季さんに話をきいてもらった翌日、いつも通り少し早めに来て、トイレの掃除をしていると、桜季さんに「ちょっといいかなぁ」と呼びだされた。
掃除道具を仕舞って、厨房へ向かうと、そこには意外な人物がいた。

「れ、蓮さん……!」

僕は桜季さんの横に立つ蓮さんの姿に、目を丸くした。
売れっ子ホストの彼がこんな時間に店に来ていることにも驚いたが、何よりびっくりしたのは、彼の頬がりんごを彷彿させるほど赤く腫れていたことだ。
腫れのせいか、彼はむっすりと口を結んでいた。

「だ、大丈夫ですか! あ、冷蔵庫に確か保冷剤が……」
「いいよぉ、レンコンにそんな気を遣わなくてもぉ」

冷蔵庫へ向おうとする僕を、桜季さんが手を振って制した。

「でも、すごく痛そうですよ……」

ちらりと蓮さんへ目を遣ると、彼は顔を歪めて舌打ちした。

「誰のせいだと思ってるんだよ、ったく……!」

ギロリと睨まれ思わず居竦む。
すると桜季さんが勢いよく蓮さんの頭を叩いた。
傍から聞いてもいい音がしたので、相当な強さだったのだろう。
蓮さんは叩かれた箇所に手を当てながらしゃがみ込んだ。

「いっ、てぇ……!」
「こらぁ、だめでしょぉ。青りんご恐がらせたらぁ。レンコン全然反省してないねぇ。もう一発いっとこうかぁ?」

柔らかな笑みの横で、拳を握る桜季さん。
ゴツゴツとした指輪がギラリと光る。
その剣呑な光に怯んだのか、蓮さんは不承不承といった様子で口を噤んだ。
そして、立ち上がると僕の前まで来てこちらを見下ろしてきた。
身長も高い上、不機嫌な表情なので威圧感がすごい。
半分尻ごみながら彼を見上げていると、むすっと閉ざされた唇が億劫そうに開かれた。

「……この前は、悪かった」

ぼそりと蓮さんが呟いた。
プライドの隙間から何とか絞り出したような苦々しい声だった。
思わぬ謝罪に目を丸くしていると、蓮さんは眉を顰め視線をふいと逸らした。

「全然誠意が足りなぁい。やり直し~」
「ぐわっ」

桜季さんが蓮さんの頭を押さえつけ、無理矢理頭を下げさせたので、僕は慌てて止めに入った。
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