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第4章 35歳にして、初のホストクラブ!!
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「お、お疲れさまでした!」
新人の僕に腰を直角に曲げながら挨拶をして、そそくさとスタッフルームを立ち去る年下の先輩たち。
さっきはすれ違いざまに肘がぶつかった子なんて「うわあぁぁぁ! すすすすみませんっ! 慰謝料なら払うんで、どうかオーナーには言わないでくださいぃぃぃ!」と涙ながらに謝罪してきた。
きっとテツ君は若者になめられそうな僕を案じて、あんなことを言ったのだろう。
その効果はてきめんだった。
いや、てきめんすぎるほどだ。
こんなに怯えられて、果たしてこれで明日から円滑に仕事ができるだろうか……。
「青葉さん、お疲れさまです!」
先行きの不安にため息を吐いていると、ぽんと肩を叩かれた。
振り向くと快活な右京君の笑顔があった。
「今日はゆっくり休んでくださいね。明日からはホストの仕事をビシバシ教えますから」
「う、右京君……」
ニカッと笑って、怯えなく接してくれる右京君に目が潤んだ。
よかった。右京君がいて、本当によかった。
「うん、明日からよろしくお願いします」
「任せてください!」
ドンと胸を叩く右京君に心強さと安堵を覚えた。
「時間遅いですけど、よかったら、一緒にどっかで話しません?」
「あ、実は僕まだ帰らないんだ。今から少し明日の仕込みを桜季さんがするからそれのお手伝いをと思って」
せっかくの誘いは嬉しかったが、今日お世話になった、そしてこれからお世話になる桜季さんを置いては帰れない。
何か少しでもお手伝いできればと思ったのだ。
「そうですか、なら仕方ないですけど……、でも、気をつけてくださいよ!」
ずい、と顔を近づけられる。
「もしまたピアスとかあけられそうになったら絶対電話してくださいね! 俺、飛んで来るんで!」
そう言ってぎゅっと手を握る右京君。
握られた手には、最初に右京君が書いてくれた電話番号が薄く残っている。
右京君にはずっと心配掛け通しだなぁと苦笑する。
でもその優しさがすごく嬉しい。
「ありがとう」
きっと、明日からもがんばれる!
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