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第4章 35歳にして、初のホストクラブ!!
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「へぇ~、常識知らずな奴だねぇ。でもそんな奴、別にほっといていいんじゃない?」
「それがそうもいかないらしいんですよ。そいつが、なんと! あのオーナーが直々にスカウトしたらしく、オーナーからもよくしてあげるよう言われてるらしいんですよ!」
「へぇ、あのオーナーがねぇ」
興奮気味に言う右京君に、表情の動きの少ない桜季さんが片眉を上げた。
オーナーがスカウトした、という事実は、まだ見ぬ新人君を一目置かせるほどすごいことのようだ。
それにしても僕以外にも新人が今日入るとは知らなかった。
しかも、僕みたいにテツ君の優しさから入社するのではなく、能力を認められてのことだ。
同じ新入りとしては、肩身が狭い……。
「電話は繋がらないのぉ?」
「全然繋がらないらしいですよ」
それにしても出勤初日に遅刻とは度胸のある子だなぁ、とある意味感心する。
いや、でももしかすると、電話も繋がらないといことは事故にでも遭っているのかもしれない。
もしくは高熱が出て動けないとか……。
顔も知らないけれど心配だ。
「事故に遭ってたりしなければいいんですけどね……」
すると、突然厨房に店長の菱田さんが入ってきた。
「おい、右京! そろそろテーブル戻って来……、あー!!」
僕と目が合うなり、菱田さんはこちらを指差し絶叫にも近い声を上げた。
「青葉さん、ここにいたんですか! 探しましたよ~! よかったぁ、これで殺されずにすむ……」
僕の所に駆け寄ってきた菱田さんは、心底安心したように大きな溜め息を吐いた。
え? え?
もしかして探していた新人って僕のことだったのか……。
でも確か桜季さんが「店長には青リンゴが来たこと伝えといたからぁ」と言っていたのだけれど……。
ちらりと桜季さんを見遣る。
桜季さんは僕を見下ろしながら「へぇ、青りんご、ホストだったんだぁ」と目を丸くしていた。
菱田さんがすさまじい表情で桜季さんに詰め寄る。
「おい桜季! なんでテメェ青葉さんが来たこと教えなかった!」
「えぇぇ、言いましたよぉ。『厨房の新しい子来ましたよぉ』って」
「それで分かるわけないだろう!」
「でもぉ、それで店長『お前が指導しておけ』って言ってさっさと立ち去ったじゃないですかぁ」
「ああ! クソ! あの時ちゃんと名前を確認しとけば……!」
行き場のない怒りと後悔を発散するように床を踏み慣らす菱田さんに、僕は慌てて頭を下げた。
「す、すみません! 僕がちゃんと菱田さんに挨拶に行かなかったためにご迷惑をお掛けしてしまって!」
自分が挨拶に行っておけば桜季さんにも菱田さんにも迷惑をかけずにすんだのだ。
三十五にもなって初歩的なミスを犯した自分が恥ずかしい……!
申し訳なさから何度も頭を下げていると、菱田さんから「や、やめてください!」となぜか泣きつかれそうな声で止められた。
「いえ、でも僕が悪かったので……」
「いや、でも、こんな所、七橋さんに見られたら……!」
「おい、何をしている」
いつか聞いたことのあるどすの利いた声に顔を上げると、厨房の入口にテツ君が立っていた。
「それがそうもいかないらしいんですよ。そいつが、なんと! あのオーナーが直々にスカウトしたらしく、オーナーからもよくしてあげるよう言われてるらしいんですよ!」
「へぇ、あのオーナーがねぇ」
興奮気味に言う右京君に、表情の動きの少ない桜季さんが片眉を上げた。
オーナーがスカウトした、という事実は、まだ見ぬ新人君を一目置かせるほどすごいことのようだ。
それにしても僕以外にも新人が今日入るとは知らなかった。
しかも、僕みたいにテツ君の優しさから入社するのではなく、能力を認められてのことだ。
同じ新入りとしては、肩身が狭い……。
「電話は繋がらないのぉ?」
「全然繋がらないらしいですよ」
それにしても出勤初日に遅刻とは度胸のある子だなぁ、とある意味感心する。
いや、でももしかすると、電話も繋がらないといことは事故にでも遭っているのかもしれない。
もしくは高熱が出て動けないとか……。
顔も知らないけれど心配だ。
「事故に遭ってたりしなければいいんですけどね……」
すると、突然厨房に店長の菱田さんが入ってきた。
「おい、右京! そろそろテーブル戻って来……、あー!!」
僕と目が合うなり、菱田さんはこちらを指差し絶叫にも近い声を上げた。
「青葉さん、ここにいたんですか! 探しましたよ~! よかったぁ、これで殺されずにすむ……」
僕の所に駆け寄ってきた菱田さんは、心底安心したように大きな溜め息を吐いた。
え? え?
もしかして探していた新人って僕のことだったのか……。
でも確か桜季さんが「店長には青リンゴが来たこと伝えといたからぁ」と言っていたのだけれど……。
ちらりと桜季さんを見遣る。
桜季さんは僕を見下ろしながら「へぇ、青りんご、ホストだったんだぁ」と目を丸くしていた。
菱田さんがすさまじい表情で桜季さんに詰め寄る。
「おい桜季! なんでテメェ青葉さんが来たこと教えなかった!」
「えぇぇ、言いましたよぉ。『厨房の新しい子来ましたよぉ』って」
「それで分かるわけないだろう!」
「でもぉ、それで店長『お前が指導しておけ』って言ってさっさと立ち去ったじゃないですかぁ」
「ああ! クソ! あの時ちゃんと名前を確認しとけば……!」
行き場のない怒りと後悔を発散するように床を踏み慣らす菱田さんに、僕は慌てて頭を下げた。
「す、すみません! 僕がちゃんと菱田さんに挨拶に行かなかったためにご迷惑をお掛けしてしまって!」
自分が挨拶に行っておけば桜季さんにも菱田さんにも迷惑をかけずにすんだのだ。
三十五にもなって初歩的なミスを犯した自分が恥ずかしい……!
申し訳なさから何度も頭を下げていると、菱田さんから「や、やめてください!」となぜか泣きつかれそうな声で止められた。
「いえ、でも僕が悪かったので……」
「いや、でも、こんな所、七橋さんに見られたら……!」
「おい、何をしている」
いつか聞いたことのあるどすの利いた声に顔を上げると、厨房の入口にテツ君が立っていた。
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