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第4章 35歳にして、初のホストクラブ!!
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「ありがとう、すごく助かるよ。心細くてなかなか中に入れなくて。早めに来たのが無駄になるところだったよ」
「へぇ、早めに来たんですか。エライっすね。俺なんか初日から遅刻して相当怒られましたよ」
へへっと悪びれもなく笑うが、愛嬌があるため嫌な感じはしない。
むしろ少年の様で可愛らしくもある。
さっきまでは、目つきの怖さで気付かなかったが、彼は男らしい顔立ちというよりは、若い女の子たちが「かわいい!」と絶賛しそうな顔立ちをしている。
テレビに出てくる華やかなアイドルと並んでも遜色ないくらいだ。
「入ってすぐ右にある部屋がスタッフルームで、その向かいの部屋が物置部屋。んで、奥の方にある部屋が、厨房とワイン保管庫。それで、突き当たりの部屋が、俺たちの仕事場」
右京君が、誇らしげに口の端を吊り上げ、突き当たりの扉を指差す。
他の部屋の扉はアルミ製だが、突き当たりの部屋だけ木製の扉であり特別仕様だ。
あの奥が今日から僕の職場かと思うと、まだ見ぬ扉の向こうに緊張とは違った鼓動の速さを感じる。
「さて、今から青葉さんの仕事場に連れて行きますね」
「え!」
右京君の言葉に緊張が増す。
わたわたする僕など気にせず、僕の腕を引いて右京君が廊下を進んで行く。
しかし、右京君は突き当たりの部屋の前で左に曲がった。
連れて来られたのは厨房だった。
おいしそうな匂いを含んだ熱気が漂う中、包丁のリズミカルな音が響いていた。
僕はてっきり、奥の部屋へ連れられると思っていたが、考えてみると、新人が初めから表に出れるわけがないのかもしれない。
新人はまずは裏方の仕事から。
これはどこの職場でも共通なのだろう。
先走ってしまった自分が少し恥ずかしい。
「桜季(さき)さーん、新入りさんが来ましたよ!」
右京君が呼び掛けると、包丁の音がぴたりと止んだ。
そして、桜季さんと呼ばれた長身の男性が、僕らの前までやってきた。
僕は、彼の姿にぴしりと固まった。
「へぇ、早めに来たんですか。エライっすね。俺なんか初日から遅刻して相当怒られましたよ」
へへっと悪びれもなく笑うが、愛嬌があるため嫌な感じはしない。
むしろ少年の様で可愛らしくもある。
さっきまでは、目つきの怖さで気付かなかったが、彼は男らしい顔立ちというよりは、若い女の子たちが「かわいい!」と絶賛しそうな顔立ちをしている。
テレビに出てくる華やかなアイドルと並んでも遜色ないくらいだ。
「入ってすぐ右にある部屋がスタッフルームで、その向かいの部屋が物置部屋。んで、奥の方にある部屋が、厨房とワイン保管庫。それで、突き当たりの部屋が、俺たちの仕事場」
右京君が、誇らしげに口の端を吊り上げ、突き当たりの扉を指差す。
他の部屋の扉はアルミ製だが、突き当たりの部屋だけ木製の扉であり特別仕様だ。
あの奥が今日から僕の職場かと思うと、まだ見ぬ扉の向こうに緊張とは違った鼓動の速さを感じる。
「さて、今から青葉さんの仕事場に連れて行きますね」
「え!」
右京君の言葉に緊張が増す。
わたわたする僕など気にせず、僕の腕を引いて右京君が廊下を進んで行く。
しかし、右京君は突き当たりの部屋の前で左に曲がった。
連れて来られたのは厨房だった。
おいしそうな匂いを含んだ熱気が漂う中、包丁のリズミカルな音が響いていた。
僕はてっきり、奥の部屋へ連れられると思っていたが、考えてみると、新人が初めから表に出れるわけがないのかもしれない。
新人はまずは裏方の仕事から。
これはどこの職場でも共通なのだろう。
先走ってしまった自分が少し恥ずかしい。
「桜季(さき)さーん、新入りさんが来ましたよ!」
右京君が呼び掛けると、包丁の音がぴたりと止んだ。
そして、桜季さんと呼ばれた長身の男性が、僕らの前までやってきた。
僕は、彼の姿にぴしりと固まった。
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