259 / 266
第3章 異世界で溺愛剣士の婚約者!?
84
しおりを挟む
「丸く収まりかけていた流れをぶっ壊すな!」
「……だが、このままでは俺の欲情の収まりがつかない」
「知るか! そんなこと!」
自分の性欲くらい自分でどうにかしろ!
「……だってあんなに可愛くソウシに好きだと言われたんだ。そう簡単に収まるわけがない。正直なところ、寝室まで理性が持つかどうかも怪しいくらいだ」
「え!? 今、そんなに激しく性欲と理性が拮抗している状況!?」
その性欲を向けられている俺としては、ある意味デッドオアアライブな状況だ。
「……もうだめだ。一刻の猶予もない」
ドゥーガルドが辛そうに顔を歪める。
顔が整っているため、とてもその苦悶の表情が性欲と理性の葛藤によるものには見えないのがまた腹立たしい。
「……このままではここでソウシを襲いそうだ……っ」
「いやいやいや! なに言ってんだ! 実家といえどここ廊下だからな!」
「……大丈夫だ、みんな俺とソウシのことを祝福してくれている」
「全然大丈夫じゃねぇ!」
よくそんなふわふわした根拠で大丈夫とか言えるな!?
「と、とにかく落ち着け! 理性、がんばれ! 負けるな! 俺は理性的なドゥーガルドの方が好きだぞ!」
「……だめだ。今の好きで完全に性欲が勝利した」
「理性弱すぎんだろぉぉぉ!」
逆に今まで性欲と拮抗できていたのが不思議なくらいだ。
「ドゥーガルド様、落ち着いてください」
完全に性欲の獣と化した主に、さすがのエリンさんも待ったをかける。
「ソウシ様を今すぐにでも抱きたい気持ちは分かりますが、今はご辛抱ください」
「……大丈夫だ、挿入剤については問題ない。匂いなど気にならないくらいに快感に溺れさせればいいだけだ」
「問題しかないですけど!?」
というか、さっきからお前の大丈夫が微塵も大丈夫な要素を含んでいないんだけど!?
「いえ、問題は挿入剤だけではありません。――ソウシ様の表情です」
「……! エリンさん……っ!」
エリンさんの言葉に俺は感激した。
顔面蒼白な俺を庇ってくれているのだ。
今まで主至上主義的な面が多々見られたが、やっぱり根は真面目でいい人なんだとエリンさんの評価を見直した。
ごめん、エリンさん……!
さっきまで、ズレた真面目さでドゥーガルドとは違う意味で厄介だとか思ってしまって……!
「……どういう意味だ?」
ドゥーガルドが訝しげに目を細める。
「言葉の通りでございます。もしお噂通り、ソウシ様の事後の表情が『劣情の底を霞ませるほどに扇情的』であるのであれば、その表情のまま晩餐会にお連れするのは危険です」
「…………え?」
とんでもない言葉が聞こえて俺はしばし固まった。
え? 今、なんかすごく不名誉なこと言われたような……。
「……確かに危険だな。情事のソウシの表情はあまりに劣情を煽り立てる。信用できる者たちばかりとはいえ、あの表情を前にしたら間違いを起こす者もいるかもし――」
「ちょっと待ったぁぁぁぁ! なに変な風に俺のこと触れ回ってんだよ! 『劣情の底を霞ませるほどに扇情的』って、どこの三流官能小説の引用だぁぁぁぁ!」
胸ぐらを掴んでブンブンと荒く揺するが、ドゥーガルドは全く動じない。
「……すまない、確かにそんな陳腐な言い回しではソウシの魅力を百分の一も表せていないな」
「いや、言い方の問題でなく内容! デタラメにもほどがあるだろ!」
「……デタラメではない。本当のことだ。今だってあの時の顔が見たくて激しい衝動に駆られている」
「よし、ぶった切ろう。そんな危険な衝動を持ったブツは俺の明るい未来のためにも今すぐぶった切ろう」
「ソウシ様、落ち着いてくださいっ。ドゥーガルド様のものを切ってしまっては大好きな中出しをしてもらえませんよっ」
エリンさんが慌てた様子で割って入り、俺への説得にかかる。とんでもない言葉でもって……。
大好きな中出し――。
その言葉に俺の中で何かがプツンと切れた。
「……ッ、ドゥーガルドぉぉぉぉぉ! テメェこの野郎ぉぉぉぉ! なにとんでもないデマを流してんだぁぁぁぁ!」
「……だが、このままでは俺の欲情の収まりがつかない」
「知るか! そんなこと!」
自分の性欲くらい自分でどうにかしろ!
「……だってあんなに可愛くソウシに好きだと言われたんだ。そう簡単に収まるわけがない。正直なところ、寝室まで理性が持つかどうかも怪しいくらいだ」
「え!? 今、そんなに激しく性欲と理性が拮抗している状況!?」
その性欲を向けられている俺としては、ある意味デッドオアアライブな状況だ。
「……もうだめだ。一刻の猶予もない」
ドゥーガルドが辛そうに顔を歪める。
顔が整っているため、とてもその苦悶の表情が性欲と理性の葛藤によるものには見えないのがまた腹立たしい。
「……このままではここでソウシを襲いそうだ……っ」
「いやいやいや! なに言ってんだ! 実家といえどここ廊下だからな!」
「……大丈夫だ、みんな俺とソウシのことを祝福してくれている」
「全然大丈夫じゃねぇ!」
よくそんなふわふわした根拠で大丈夫とか言えるな!?
「と、とにかく落ち着け! 理性、がんばれ! 負けるな! 俺は理性的なドゥーガルドの方が好きだぞ!」
「……だめだ。今の好きで完全に性欲が勝利した」
「理性弱すぎんだろぉぉぉ!」
逆に今まで性欲と拮抗できていたのが不思議なくらいだ。
「ドゥーガルド様、落ち着いてください」
完全に性欲の獣と化した主に、さすがのエリンさんも待ったをかける。
「ソウシ様を今すぐにでも抱きたい気持ちは分かりますが、今はご辛抱ください」
「……大丈夫だ、挿入剤については問題ない。匂いなど気にならないくらいに快感に溺れさせればいいだけだ」
「問題しかないですけど!?」
というか、さっきからお前の大丈夫が微塵も大丈夫な要素を含んでいないんだけど!?
「いえ、問題は挿入剤だけではありません。――ソウシ様の表情です」
「……! エリンさん……っ!」
エリンさんの言葉に俺は感激した。
顔面蒼白な俺を庇ってくれているのだ。
今まで主至上主義的な面が多々見られたが、やっぱり根は真面目でいい人なんだとエリンさんの評価を見直した。
ごめん、エリンさん……!
さっきまで、ズレた真面目さでドゥーガルドとは違う意味で厄介だとか思ってしまって……!
「……どういう意味だ?」
ドゥーガルドが訝しげに目を細める。
「言葉の通りでございます。もしお噂通り、ソウシ様の事後の表情が『劣情の底を霞ませるほどに扇情的』であるのであれば、その表情のまま晩餐会にお連れするのは危険です」
「…………え?」
とんでもない言葉が聞こえて俺はしばし固まった。
え? 今、なんかすごく不名誉なこと言われたような……。
「……確かに危険だな。情事のソウシの表情はあまりに劣情を煽り立てる。信用できる者たちばかりとはいえ、あの表情を前にしたら間違いを起こす者もいるかもし――」
「ちょっと待ったぁぁぁぁ! なに変な風に俺のこと触れ回ってんだよ! 『劣情の底を霞ませるほどに扇情的』って、どこの三流官能小説の引用だぁぁぁぁ!」
胸ぐらを掴んでブンブンと荒く揺するが、ドゥーガルドは全く動じない。
「……すまない、確かにそんな陳腐な言い回しではソウシの魅力を百分の一も表せていないな」
「いや、言い方の問題でなく内容! デタラメにもほどがあるだろ!」
「……デタラメではない。本当のことだ。今だってあの時の顔が見たくて激しい衝動に駆られている」
「よし、ぶった切ろう。そんな危険な衝動を持ったブツは俺の明るい未来のためにも今すぐぶった切ろう」
「ソウシ様、落ち着いてくださいっ。ドゥーガルド様のものを切ってしまっては大好きな中出しをしてもらえませんよっ」
エリンさんが慌てた様子で割って入り、俺への説得にかかる。とんでもない言葉でもって……。
大好きな中出し――。
その言葉に俺の中で何かがプツンと切れた。
「……ッ、ドゥーガルドぉぉぉぉぉ! テメェこの野郎ぉぉぉぉ! なにとんでもないデマを流してんだぁぁぁぁ!」
41
お気に入りに追加
2,796
あなたにおすすめの小説
【完結済】ラスボスの使い魔に転生したので世界を守るため全力でペットセラピーしてみたら……【溺愛こじらせドS攻め】
綺沙きさき(きさきさき)
BL
【溺愛ヤンデレ魔術師】×【黒猫使い魔】のドS・執着・溺愛をこじらせた攻めの話
<あらすじ>
魔術師ギディオンの使い魔であるシリルは、知っている。
この世界が前世でプレイしたゲーム『グランド・マギ』であること、そしてギディオンが世界滅亡を望む最凶のラスボスで、その先にはバッドエンドしか待っていないことも……。
そんな未来を回避すべく、シリルはギディオンの心の闇を癒やすため、猫の姿を最大限に活用してペットセラピーを行う。
その甲斐あって、ギディオンの心の闇は癒やされ、バッドエンドは回避できたと思われたが、ある日、目を覚ますと人間の姿になっていて――!?
========================
*表紙イラスト…はやし燈様(@umknb7)
*表紙デザイン…睦月様(https://mutsuki-design.tumblr.com/)
*9月23日(月)J.GARDEN56にて頒布予定の『異世界転生×執着攻め小説集』に収録している作品です。
35歳からの楽しいホストクラブ
綺沙きさき(きさきさき)
BL
『35歳、職業ホスト。指名はまだ、ありません――』
35歳で会社を辞めさせられた青葉幸助は、学生時代の後輩の紹介でホストクラブで働くことになったが……――。
慣れないホスト業界や若者たちに戸惑いつつも、35歳のおじさんが新米ホストとして奮闘する物語。
・売れっ子ホスト(22)×リストラされた元リーマン(35)
・のんびり平凡総受け
・攻めは俺様ホストやエリート親友、変人コック、オタク王子、溺愛兄など
※本編では性描写はありません。
(総受けのため、番外編のパラレル設定で性描写ありの小話をのせる予定です)
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
3人の弟に逆らえない
ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。
主人公:高校2年生の瑠璃
長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。
次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。
三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい?
3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。
しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか?
そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。
調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m
親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺
toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染)
※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。
pixivでも同タイトルで投稿しています。
https://www.pixiv.net/users/3179376
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/98346398
ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる