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第3章 異世界で溺愛剣士の婚約者!?
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「え、い、いや、しかし、わ、私は……」
「心配するな。白銀の翼については私が話を通しておく」
そういう問題じゃねぇ!
何が何でも辞退したいのに、自分が吐いた嘘のせいでこの場を切り抜ける言葉がなかなか出てこない。
『エグバード、本気なの?』
腕の中から目を丸くしてエグバードをダイナが見上げる。
これはチャンスだ!
さっきまで俺に妬いていたダイナが、俺を専属の世話係にするなんて許すはずがない。
いけ! ダイナ! こんな無礼者に世話係など任せられないと言ってやれ!
「ああ。私は本気だ」
『ふぅん……まぁ、いいんじゃない』
「ダイナ!?」
あっさりと世話係に賛成したダイナに俺は思わず声を上げた。
『か、勘違いするんじゃないわよっ。べ、べつに、私は弟とあなたを重ねてるわけじゃないんだからねっ。ただ、従順そうだから、それだけよ』
まさかのここにきてのツンデレ!? しかも、もはや古典的とまでいえるほどのテンプレツンデレ!
いや、猫はツンデレとはきくけど、正直なところ今このタイミングでツンデレはいらねぇ!
今こそここでツンを炸裂して世話係を断固拒否しろ!
「ダ、ダイナ、あの、でも、私さっきまでエグバード様にお姫様抱きされてたよ? そんな奴が世話係だなんて嫌じゃない?」
さっきまでの嫉妬の気持ちを思い出してもらおうと自らネガキャンを実施してみるが……、
『まぁ今回は許してあげるわ。これからしなければいいことよ』
ダイナはツンとした態度で、寛容な許しを見せた。
いや! ここで許しは不要! もっと嫉妬に狂って「二度と目の前に姿を現すな」くらい言ってくれ……!
『それと、私の世話係になるなら呼び捨てはしないように。ダイナ様か……もしくはダイナお姉様よ!』
俺の胸の内など知らないダイナは、とどめのようにツンデレの極みのようなデレを炸裂させた。
だからデレてくれるな……っ! 話がどんどん世話係決定の方向でいってしまう……!
頼みの綱のダイナまでもがまさかの賛成で、俺は頭を抱えた。
「ふふふ、どうやらダイナもソウシを相当気に入っているようだな」
『べ、べつに気に入ってなんかないわっ』
「ははは、照れているダイナも可愛いぞ。ところで制服についてだが、たった今、いい考えが浮かんだ。ダイナの世話係と一目で分かるようにダイナとおそろいの服を作らせようと思うのだが、どうだろう」
『まぁ、悪い考えではないわね。一目で他の使用人との違いが分かるのは便利だわ』
当の本人を置いて嬉々とした様子で着々と話を進めていく二人に、俺はどうやら取り返しのつかないところまできてしまったことを悟った。
うぅ……っ。だ、誰か、助けてくれ……!
もう自分ではどうにも収拾がつかないこの状況に、神にすがるような気持ちで心の中で叫んでいると――。
「ソウシー!」
「心配するな。白銀の翼については私が話を通しておく」
そういう問題じゃねぇ!
何が何でも辞退したいのに、自分が吐いた嘘のせいでこの場を切り抜ける言葉がなかなか出てこない。
『エグバード、本気なの?』
腕の中から目を丸くしてエグバードをダイナが見上げる。
これはチャンスだ!
さっきまで俺に妬いていたダイナが、俺を専属の世話係にするなんて許すはずがない。
いけ! ダイナ! こんな無礼者に世話係など任せられないと言ってやれ!
「ああ。私は本気だ」
『ふぅん……まぁ、いいんじゃない』
「ダイナ!?」
あっさりと世話係に賛成したダイナに俺は思わず声を上げた。
『か、勘違いするんじゃないわよっ。べ、べつに、私は弟とあなたを重ねてるわけじゃないんだからねっ。ただ、従順そうだから、それだけよ』
まさかのここにきてのツンデレ!? しかも、もはや古典的とまでいえるほどのテンプレツンデレ!
いや、猫はツンデレとはきくけど、正直なところ今このタイミングでツンデレはいらねぇ!
今こそここでツンを炸裂して世話係を断固拒否しろ!
「ダ、ダイナ、あの、でも、私さっきまでエグバード様にお姫様抱きされてたよ? そんな奴が世話係だなんて嫌じゃない?」
さっきまでの嫉妬の気持ちを思い出してもらおうと自らネガキャンを実施してみるが……、
『まぁ今回は許してあげるわ。これからしなければいいことよ』
ダイナはツンとした態度で、寛容な許しを見せた。
いや! ここで許しは不要! もっと嫉妬に狂って「二度と目の前に姿を現すな」くらい言ってくれ……!
『それと、私の世話係になるなら呼び捨てはしないように。ダイナ様か……もしくはダイナお姉様よ!』
俺の胸の内など知らないダイナは、とどめのようにツンデレの極みのようなデレを炸裂させた。
だからデレてくれるな……っ! 話がどんどん世話係決定の方向でいってしまう……!
頼みの綱のダイナまでもがまさかの賛成で、俺は頭を抱えた。
「ふふふ、どうやらダイナもソウシを相当気に入っているようだな」
『べ、べつに気に入ってなんかないわっ』
「ははは、照れているダイナも可愛いぞ。ところで制服についてだが、たった今、いい考えが浮かんだ。ダイナの世話係と一目で分かるようにダイナとおそろいの服を作らせようと思うのだが、どうだろう」
『まぁ、悪い考えではないわね。一目で他の使用人との違いが分かるのは便利だわ』
当の本人を置いて嬉々とした様子で着々と話を進めていく二人に、俺はどうやら取り返しのつかないところまできてしまったことを悟った。
うぅ……っ。だ、誰か、助けてくれ……!
もう自分ではどうにも収拾がつかないこの状況に、神にすがるような気持ちで心の中で叫んでいると――。
「ソウシー!」
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