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第3章 異世界で溺愛剣士の婚約者!?
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「申し訳ございません。とどめを刺す間もなく、闇の歪みに逃げ去ってしまったのです。また私たちも崩れゆく魔獄島から逃げ出すのがやっとの状態でした」
「そうか。……邪神はどのような者だった?」
「姿は私たち人間と変わらないもので、年齢も十六、七くらいの少年でした。しかし、自身の魔力を魔王やモンスターに与えることができるようで、そのせいで私たちも苦戦を強いられました」
チェルノの報告を聞きながら、慶介の手にあった禍々しい闇色の玉から雷のような光が放たれると魔王がさらに強くなったことを思い出した。
なるほど、つまり邪神は強い魔力を供給してくれる存在なのか。一回りも二回りも大きな体格のモンスターたちが慶介を崇め奉っていたのもそれなら納得だ。
全く、厄介な奴に厄介な能力が与えられてしまったものだ……。
「今後について邪神は何か言っていたか?」
「そうですね……」
王様の質問にチェルノは少し間を置いて答えた。
「詳しくは名言していませんでしたが、邪神にはある目的があるようです」
目的、という言葉に俺の心臓がドキリと跳ね上がった。
──俺が征服した世界で、お前を完全支配する。そうすればもうお前なんかに支配されることはないからな。
慶介は、認めたくないがなぜか俺に尋常でないほどに執着していて、俺を支配したいと考えているらしい。つまりチェルノの言う邪神のある目的とはつまり俺なのだ。
人を支配するなんて元の世界では厨二病患者の妄言として鼻で笑われるものだが、邪神として崇められているこの世界ではそんなふざけた願望も途端に現実味を帯びてしまう。
図らずも異世界の世界情勢において当事者になってしまい、胃がキリキリと痛くなった。
「邪神の目的とは何だ?」
「それは私にも分かりません」
チェルノが慶介の目的について濁してくれてホッとする。
もし俺なんかのために慶介がこの世界の支配を目論んでいるなんて知られたら、俺は殺されるか、邪神への供物として差し出されるに違いない。
「目的は分かりませんが、その目的に尋常ならざる執着を見せているのは確かです。そのためには手段は選ばないかと思われます。──そしてその手段の一つが世界の征服です」
チェルノの言葉に、緊張と恐怖でその場にいる全ての人の顔が強張り、場は沈鬱な空気に満ちた。
「そうか。……邪神はどのような者だった?」
「姿は私たち人間と変わらないもので、年齢も十六、七くらいの少年でした。しかし、自身の魔力を魔王やモンスターに与えることができるようで、そのせいで私たちも苦戦を強いられました」
チェルノの報告を聞きながら、慶介の手にあった禍々しい闇色の玉から雷のような光が放たれると魔王がさらに強くなったことを思い出した。
なるほど、つまり邪神は強い魔力を供給してくれる存在なのか。一回りも二回りも大きな体格のモンスターたちが慶介を崇め奉っていたのもそれなら納得だ。
全く、厄介な奴に厄介な能力が与えられてしまったものだ……。
「今後について邪神は何か言っていたか?」
「そうですね……」
王様の質問にチェルノは少し間を置いて答えた。
「詳しくは名言していませんでしたが、邪神にはある目的があるようです」
目的、という言葉に俺の心臓がドキリと跳ね上がった。
──俺が征服した世界で、お前を完全支配する。そうすればもうお前なんかに支配されることはないからな。
慶介は、認めたくないがなぜか俺に尋常でないほどに執着していて、俺を支配したいと考えているらしい。つまりチェルノの言う邪神のある目的とはつまり俺なのだ。
人を支配するなんて元の世界では厨二病患者の妄言として鼻で笑われるものだが、邪神として崇められているこの世界ではそんなふざけた願望も途端に現実味を帯びてしまう。
図らずも異世界の世界情勢において当事者になってしまい、胃がキリキリと痛くなった。
「邪神の目的とは何だ?」
「それは私にも分かりません」
チェルノが慶介の目的について濁してくれてホッとする。
もし俺なんかのために慶介がこの世界の支配を目論んでいるなんて知られたら、俺は殺されるか、邪神への供物として差し出されるに違いない。
「目的は分かりませんが、その目的に尋常ならざる執着を見せているのは確かです。そのためには手段は選ばないかと思われます。──そしてその手段の一つが世界の征服です」
チェルノの言葉に、緊張と恐怖でその場にいる全ての人の顔が強張り、場は沈鬱な空気に満ちた。
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