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第3章 異世界で溺愛剣士の婚約者!?
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剣呑な空気に息が詰まる道のりだったが、ようやく城に到着した。
車内の空気の悪さから逃げるように馬車から降りて、俺は城を仰ぎ見た。
「おお……! すげぇでかい……!」
目の前に高く聳える白亜の城に思わず息を漏らした。
城は高いだけでなく、城壁の端が見えないほどで、恐らく城内を隅々まで歩き回ったら日が暮れてしまうに違いない。
さっきまではスカイツリーの方が大きいとか言っていた口を間抜けにぽかんと開けて圧倒されていると、
「あ~! ちぇるるんだぁ!」
声だけで美少女像が浮かび上がる可憐な声が聞こえてきたので、即座に振り返る。
すると、城の門口から可憐な声を裏切らない銀髪の美少女がこちらに向かって手を振りながら駆けて来ていた。
俺たちを城門で出迎えた男達と似た白い服に身を包んでいるが、男達とは違い魅惑の白い太ももが見えるミニスカートに、絶妙な絶対領域を作り出すロングブーツを履いている。
花が綻ぶような可憐な笑顔に、走るたびに揺れる大きすぎず小さすぎないベストサイズなおっぱい……!
俺は確信した。俺の異世界生活はこの美少女とここから始まるんだと……!
まだ名前も知らないが、こちらに向かってくる美少女を受け止めるため両手を広げた。
だが、美少女は俺の横を素通りして、後ろのチェルノに勢い良く抱きついた。
その勢いで仰向けに倒れたが、美少女は気にせずチェルノの上に覆いかぶさったまま、感極まった様子でさらにきつく抱きついた。
「ちぇるるん、おかえり! もぉ、アーシャ、待ちくたびれたんだからね!」
ぐりぐりとチェルノの胸に顔を押し付けて拗ねるように美少女が言った。
美少女とあんなに密着しているなんて羨ましい……!
突然の美少女の甘美なる襲撃に驚くよりも嫉妬混じりのみっともない羨望が心の底から湧き上がる。
美少女にこれだけ密着され好意を示されれば、男なら誰しも鼻の下を伸ばすだろうに、チェルノの表情はいつもと少しも変わらず「あははー、ただいまー」と棒読みに近い声で挨拶を返すだけだ。
「ふふふっ、ちぇるるんったら相変わらずつれないんだから。でもそういうところが大好──きゃあ!」
チェルノの胸の上でうっとりと顔をとろけさせていた美少女の体が突如、宙に浮いた。そしてそのまま勢いよく空高くに吹き飛んでいった。
「えぇぇぇぇぇ!?」
国宝級美少女に対するあまりにもひどい仕打ちに思わず俺は絶叫した。
「ははは、あの雌豚、性懲りもなくチェルノに近づいて不愉快極まりないなぁ。豚は犬と違って躾ができないから厄介だ」
空を見上げながら朗らかに笑いながらとんでもないことを口にするジェラルド。
あの子を吹き飛ばしたのはお前か! というかあんな美少女に雌豚って……!
チェルノに対する並々ならぬ好意は知っていたが、まさかあんな可憐な美少女にまで容赦ないとは……。
「……って、あの子は大丈夫なのか!? ど、どこ行った!? というかもしかして今から落ちてくるんじゃ!?」
俺は慌てて、無意味だとはわかりつつも空を見上げながら両手を広げて美少女を受け止める体勢をとった。
すると、背後でジェラルドがフッと小さく吹き出した。
「大丈夫だよ、あの女はあの程度じゃかすり傷すら負わないよ」
「いやいやいや! かすり傷どころか即死案件だと思いますけど!?」
あんなに空高く吹き飛ばされて無事なはずがない。
振り返ってジェラルドにツッコミを入れていると、
「あー、やだやだ。男の嫉妬って本当に醜いわね」
溜め息混じりの呆れた声が上から降ってきたので、驚いて空を振り仰ぐ。
そこには、さっき空高くに吹き飛ばされたはずの美少女が、両腕を組んで宙に浮かんでいた。
剣呑な空気に息が詰まる道のりだったが、ようやく城に到着した。
車内の空気の悪さから逃げるように馬車から降りて、俺は城を仰ぎ見た。
「おお……! すげぇでかい……!」
目の前に高く聳える白亜の城に思わず息を漏らした。
城は高いだけでなく、城壁の端が見えないほどで、恐らく城内を隅々まで歩き回ったら日が暮れてしまうに違いない。
さっきまではスカイツリーの方が大きいとか言っていた口を間抜けにぽかんと開けて圧倒されていると、
「あ~! ちぇるるんだぁ!」
声だけで美少女像が浮かび上がる可憐な声が聞こえてきたので、即座に振り返る。
すると、城の門口から可憐な声を裏切らない銀髪の美少女がこちらに向かって手を振りながら駆けて来ていた。
俺たちを城門で出迎えた男達と似た白い服に身を包んでいるが、男達とは違い魅惑の白い太ももが見えるミニスカートに、絶妙な絶対領域を作り出すロングブーツを履いている。
花が綻ぶような可憐な笑顔に、走るたびに揺れる大きすぎず小さすぎないベストサイズなおっぱい……!
俺は確信した。俺の異世界生活はこの美少女とここから始まるんだと……!
まだ名前も知らないが、こちらに向かってくる美少女を受け止めるため両手を広げた。
だが、美少女は俺の横を素通りして、後ろのチェルノに勢い良く抱きついた。
その勢いで仰向けに倒れたが、美少女は気にせずチェルノの上に覆いかぶさったまま、感極まった様子でさらにきつく抱きついた。
「ちぇるるん、おかえり! もぉ、アーシャ、待ちくたびれたんだからね!」
ぐりぐりとチェルノの胸に顔を押し付けて拗ねるように美少女が言った。
美少女とあんなに密着しているなんて羨ましい……!
突然の美少女の甘美なる襲撃に驚くよりも嫉妬混じりのみっともない羨望が心の底から湧き上がる。
美少女にこれだけ密着され好意を示されれば、男なら誰しも鼻の下を伸ばすだろうに、チェルノの表情はいつもと少しも変わらず「あははー、ただいまー」と棒読みに近い声で挨拶を返すだけだ。
「ふふふっ、ちぇるるんったら相変わらずつれないんだから。でもそういうところが大好──きゃあ!」
チェルノの胸の上でうっとりと顔をとろけさせていた美少女の体が突如、宙に浮いた。そしてそのまま勢いよく空高くに吹き飛んでいった。
「えぇぇぇぇぇ!?」
国宝級美少女に対するあまりにもひどい仕打ちに思わず俺は絶叫した。
「ははは、あの雌豚、性懲りもなくチェルノに近づいて不愉快極まりないなぁ。豚は犬と違って躾ができないから厄介だ」
空を見上げながら朗らかに笑いながらとんでもないことを口にするジェラルド。
あの子を吹き飛ばしたのはお前か! というかあんな美少女に雌豚って……!
チェルノに対する並々ならぬ好意は知っていたが、まさかあんな可憐な美少女にまで容赦ないとは……。
「……って、あの子は大丈夫なのか!? ど、どこ行った!? というかもしかして今から落ちてくるんじゃ!?」
俺は慌てて、無意味だとはわかりつつも空を見上げながら両手を広げて美少女を受け止める体勢をとった。
すると、背後でジェラルドがフッと小さく吹き出した。
「大丈夫だよ、あの女はあの程度じゃかすり傷すら負わないよ」
「いやいやいや! かすり傷どころか即死案件だと思いますけど!?」
あんなに空高く吹き飛ばされて無事なはずがない。
振り返ってジェラルドにツッコミを入れていると、
「あー、やだやだ。男の嫉妬って本当に醜いわね」
溜め息混じりの呆れた声が上から降ってきたので、驚いて空を振り仰ぐ。
そこには、さっき空高くに吹き飛ばされたはずの美少女が、両腕を組んで宙に浮かんでいた。
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