110 / 266
第2章 異世界でももふもふは正義!?
40
しおりを挟む
「……じゃあ食べてくれ」
「あー……、えっと、俺一匹食べてるしせっかくだし他に食べてない奴に食べてもらった方がいいんじゃねぇ?」
助けを求めるようにちらりとチェルノ達の方を見るが、
「え~、今の話を聞いてそんな重い愛の詰まったもの食べれないよぉ」
「僕もチェルノの愛以外は口に入れられないから」
無言のSOSは無慈悲にもはね返された。
空気読めよぉぉぉ!
いや、ある意味空気を読んでいるのかもしれないけど……。
「……ソウシは優しいな。でも他の奴らはいらないそうだ。これで心置きなく食べれるぞ」
そう言うと、恋人がするように甘い空気を醸し出して魚を俺の口元まで運ぶ。
はい、あーん、とでも言い出しそうな雰囲気すらある。
……まぁ毒が入っているわけじゃないしな。
それにここで食べなかったらまた面倒なことになるかもしれない。
観念して魚を受け取ろうとした時、
「わふっ」
クロがドゥーガルドの手に握られた魚をひょいと口で咥え奪い取ると、瞬く間にぱくぱくと平らげてしまった。
「クロ!」
「わふっ!」
無邪気に尻尾を振って俺の呼びかけにクロが答えた。
まさか俺が食べたくないの察して食べてくれたのか……! ク、クロ! お前ってやつは……っ!
そこらの人間よりよっぽど察しがよく気遣いのできる俺の天使に感極まる。
「こらこら~、人の飯をとったらだめだぞ~」
「ソウシ、それ全然叱る人の顔じゃないよぉ」
チェルノに指摘されるが、にやけを止めることはできない。
だってめっちゃいい子だもん、この子!
ドゥーガルドの手前、褒めることはできないが、こんないい子を表面上だけとしても厳しく叱るなんてこともできない。
「……ソウシ」
最後の一匹を他に食べられてしまいショックで固まっていたドゥーガルドがようやく口を開いた。
「あ、えっと、ごめんな、クロが食べちゃって。でも鼻のいいクロが思わず飛びつくほどこの魚がおいしかったってことだよ」
一応謝りつつフォローすると、ドゥーガルドは力なく首を横に振った。
「……いや、いいんだ。俺がもっと速く動いてかわせていればこんなことには……っ」
自分を責めその悔しさを奥歯で噛み締めるように言葉を詰まらせるドゥーガルドに、少し申し訳ない気持ちになった。
「そんなに自分を責めるなよ。俺も一匹は食べれたしさ。すごく美味しかった。俺のいた世界にあるししゃもって魚と似ててなんか懐かしい気持ちになった」
「……っ、ソウシ」
じーんと感極まったように瞳を潤ませたドゥーガルドが腕を広げて俺に抱き付こうとした。その時、
「わふっ!」
「うわっ」
すかさずクロが飛びついてきて、俺を地面に押し倒した。そして上に覆い被さったままペロペロと顔を舐め始めた。
「あー……、えっと、俺一匹食べてるしせっかくだし他に食べてない奴に食べてもらった方がいいんじゃねぇ?」
助けを求めるようにちらりとチェルノ達の方を見るが、
「え~、今の話を聞いてそんな重い愛の詰まったもの食べれないよぉ」
「僕もチェルノの愛以外は口に入れられないから」
無言のSOSは無慈悲にもはね返された。
空気読めよぉぉぉ!
いや、ある意味空気を読んでいるのかもしれないけど……。
「……ソウシは優しいな。でも他の奴らはいらないそうだ。これで心置きなく食べれるぞ」
そう言うと、恋人がするように甘い空気を醸し出して魚を俺の口元まで運ぶ。
はい、あーん、とでも言い出しそうな雰囲気すらある。
……まぁ毒が入っているわけじゃないしな。
それにここで食べなかったらまた面倒なことになるかもしれない。
観念して魚を受け取ろうとした時、
「わふっ」
クロがドゥーガルドの手に握られた魚をひょいと口で咥え奪い取ると、瞬く間にぱくぱくと平らげてしまった。
「クロ!」
「わふっ!」
無邪気に尻尾を振って俺の呼びかけにクロが答えた。
まさか俺が食べたくないの察して食べてくれたのか……! ク、クロ! お前ってやつは……っ!
そこらの人間よりよっぽど察しがよく気遣いのできる俺の天使に感極まる。
「こらこら~、人の飯をとったらだめだぞ~」
「ソウシ、それ全然叱る人の顔じゃないよぉ」
チェルノに指摘されるが、にやけを止めることはできない。
だってめっちゃいい子だもん、この子!
ドゥーガルドの手前、褒めることはできないが、こんないい子を表面上だけとしても厳しく叱るなんてこともできない。
「……ソウシ」
最後の一匹を他に食べられてしまいショックで固まっていたドゥーガルドがようやく口を開いた。
「あ、えっと、ごめんな、クロが食べちゃって。でも鼻のいいクロが思わず飛びつくほどこの魚がおいしかったってことだよ」
一応謝りつつフォローすると、ドゥーガルドは力なく首を横に振った。
「……いや、いいんだ。俺がもっと速く動いてかわせていればこんなことには……っ」
自分を責めその悔しさを奥歯で噛み締めるように言葉を詰まらせるドゥーガルドに、少し申し訳ない気持ちになった。
「そんなに自分を責めるなよ。俺も一匹は食べれたしさ。すごく美味しかった。俺のいた世界にあるししゃもって魚と似ててなんか懐かしい気持ちになった」
「……っ、ソウシ」
じーんと感極まったように瞳を潤ませたドゥーガルドが腕を広げて俺に抱き付こうとした。その時、
「わふっ!」
「うわっ」
すかさずクロが飛びついてきて、俺を地面に押し倒した。そして上に覆い被さったままペロペロと顔を舐め始めた。
51
お気に入りに追加
2,825
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です

言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる