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第1章 異世界でも俺はこき使われる

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モンスターかと思い一瞬息が止まった。
しかし手の感触は人間のものだった。
どちらにせよ自分に害があることには変わりはない。
俺は助けを呼ぼうとしたが、布を持った手で口を塞がれてしまい、必死の叫びも手の平に吸い込まれ意味をなさなかった。
布は湿っていていやな甘い匂いを発していた。
それが鼻の奥を濡らし、徐々に頭の中にまで染み込んでいった。
その甘い匂いが濃くなるほどに目眩がして体から力が抜けた。
その隙をつくかのように、俺の口を塞いでいただけの手が、突然その指を口の中に突っ込み無理矢理こじ開けた。
抵抗しようとしたが力が入らず、開かれた口からぬるい液体が流し込まれた。

「……っ!」

喉を伝い胃の中に落ちていった液体がまるで燃え上がっているかのように、体中が熱くなってきた。
しかもただ熱いだけじゃない。
身悶えするような言いようのない焦れったさが、熱と一緒に体中に滲むのだ。

「……っ、はっ、はぁっ……」

口からこぼれ落ちる呼吸が、熱でいやらしく歪んでまるで喘ぎ声のようで、自分でも信じられなかった。

「……よし、これで準備完了だな」

拘束する奴が嬉々として呟いた。
こちらの苦しげな声など意に介さないこのクズな発言、振り向かずとも誰か分かったが、俺は信じられず思わず振り返った。

「ア、アーロン!?」

「よ! ひとりでこんな暗いところで抜いてんなよ」
「誰が抜くか! ……っ!」

にやにやと笑うアーロンに吠えるが、自分の大声が体で一番繊細な部分にまで響いて、体のバランスが崩れた。
倒れかけた俺をアーロンが笑いながら抱き止めた。

「ははは、きいてるな、媚薬」
「びやく……?」
「そうそう、媚薬」

アーロンは俺を近くにある大きな木にもたれさせて座らせると、小さな瓶を見せてきた。

「この間しぼりとった淫食花の媚薬だ」
「あ……」

そういえば高く売れるとか言って瓶に掻き集めて入れていたのを思い出した。
でもなんでそれを男の俺に使うのか全く分からなかった。

「……なんで、俺に、はぁっ、飲ませる、っんだよ?」

変な熱のせいで頭の中がくらくらする。
俺の問いにアーロンがいやな笑みを口の端に浮かべた。

「決まってるだろ? お前のケツに俺のをぶち込むためだよ」
「……え? えぇぇぇぇぇぇ!?」

いや! 何言ってんだこいつ!?
媚薬のせいで頭がおかしくなったんじゃねぇのか!?
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