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#12【友-奇襲-】
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「来ちゃった」
休日午後の昼下がり——インターホンのモニターに映る親友の姿。
Z○○M画面以外で見るのは久しぶりだなー
なんて、今は悠長なことを考えている場合ではない。
『[来ちゃった]だそうだ、どうするんだ?』
「[来ちゃった]の台詞って、すごい殺し文句なんだね……心臓止まるかと思った」
『それは物理的な方だな』
ん?まー、でもUMAの姿は見えないわけだし、「今は塾に行ってて」とか言って誤魔化せば問題ないよね?
と思い、インターホンの[応答]ボタンに手を伸ばす。
『出るのか?』
私の行動に少し驚いたようにUMAの瞳が開かれる。私とUMAの視線がぶつかる。
本当に整った顔してるよなー
などと、今は考えている場合ではない。
「え?出るよ?どうせUMAのことは見えないんでしょ?[今は居ない]って誤魔化すから」
私が何てことないように言うと、UMAは少し眉間に皺を寄せる。無言のまま、芸術品のように整った顔を向け、月の輝きのような金色の瞳で私を見てくる。
何だろう?
とは思ったが、再度インターホンが鳴った為、私は[応答]ボタンを押す。
「びっくりしたー、どうぞー」
「出るの遅いよー」
[オープン]ボタンを押して、彼女を招き入れる。
ピンポーン
内玄関のインターホンが鳴り、彼女を迎える為に玄関のドアを開けながら口を開く。
「いらっしゃーい、突然過ぎでしょー」
「はははっ。実際会うの久しぶりだね!いやー、あんたがちゃんとユーマくんのお世話出来てるのかどうしても心配でさー」
「本当に先生向けの性格してるよねっ!」
どうやら、しっかり者の彼女は私が子供(UMA)の世話をきちんとしているのか心配になり、様子を見に来たようだ。
UMAは私の肩の上辺りに浮いているが、会話がスムーズに進んでいるところを見ると、やはり彼女にUMAは見えていないのだろう。
部屋に入り、ソファに座りながら彼女は不思議そうに辺りを見渡している。その様子を見た私はUMAを探しているのだと思い、先手を打つ。
「UMA塾行ってて、今日は帰って来るの遅いんだよね」
「…………そうなんだ……」
え?何何何っ?今の間!?
彼女はあからさまに適当な返事をしながら、訝しげに部屋を見渡している。今、UMAは彼女の目の前を浮いているが……まさか、UMAの存在に気付いてる?!
「な、にか飲む?」
何となく彼女の様子を不安に思い、「何か気になる?」と聞きたかったが、直球すぎるその質問をするのが怖くなり話を逸らす。するとUMAが私の元に来て
『お前は本当に浅はかだよな』
と言ってきた。
?!
UMAの言葉に反応したかったが、被るように彼女が口を開く。
「あー、ありがとう。じゃ、コーヒーで。あ、これケーキね、あんた先週誕生日だったしょ。ホールじゃなくて悪いけど、ユーマくんの分もあるよ。」
彼女は私に手土産を渡しながら続けて言う。元旦那然り、人の誕生日を大切にしてくれる人達に囲まれたものだ。有難い。
「ね、ユーマくんの荷物は?全然見当たらないけど?」
!!しまった!!じんわりと温かな気持ちになっていたら、いきなり足元掬われた!
私の瞳がひとまわり大きくなる。
『だろうな』
UMAは彼女の疑問は当然だというように口を開き、金色の瞳が何となく愉しげに輝く。そんなUMAを私はジロリと睨みつける。
ここはどう見ても一人暮らしの一室だ。UMAめ、気付いてて何も言わなかったな!私はこの窮地を完璧に乗り切ってみせる!私は謎の闘志を燃やし、彼女を迎え撃つ。
「部屋が狭いから、もう一つの部屋に荷物は全部置いてもらってるよ。」
「ふーん、あんたここで寝てるの?」
「ソウダヨ アッチガUMAデ コッチガワタシ」
あ、ちょっとカタコトな言い方に……
「ふーん、布団は?」
「今さっき向こうの部屋に移したよ。」
「ふーん、それにしても一貫し過ぎじゃない?ユーマくんの物全然ないし、食器も最低限過ぎでしょ?ちゃんとご飯作ってあげてるの?!」
「あ、いや。ミ、ミニマリストになりまして」
「その割にはあんたの下らない物は多いようだけど」
「ミニマリストなのはUMAでして」
「ははっ、中一男子でミニマリストって!面白っ」
「は、はははは……UMAちょっと変わってるのよ」
『おい』
「あー、会話してても何となく分かるわ。歳のわりにしっかりしてるよね。それにしても、まるで一人暮らしの部屋だね。」
「ソウデスヨネ」
「洗濯は?あんたのしか干してないけど何で?ユーマくんのもちゃんとしてあげてる?」
「シテルヨ」
「ね、ちゃんと料理作ってる?成長期の男の子の世話とか本当に出来てるの?」
「ダイジョウブダヨ」
『ふっ、まるで親だな』
そう、彼女は本当に面倒見が良い…[友達]としては度が過ぎるくらいに。どうやら、彼女にとって私は相当に頼りなく見えるようで、同じ歳にもかかわらず小さい頃から私の身の回りを心配して世話してくれるのだ。なので、彼女は私の姉や親のような存在でもある。
暫く私と彼女のやりとりを聞いていたUMAがポツリと呟いた。
『やはりな』
何が?と思ったが、彼女が居るので質問出来ない。彼女からの[どのようにUMAと接しているのか?]の問答を終え、次に[どう接するべきなのか?]の講義を受けた後、彼女は一応満足した様子で彼女の脳が[常識(説教)脳]から[恋愛脳]に移行して行く……
「で?ユーマくんの写真見せてよ!」
「は?ないよ」
「は?何で?年下イケメンくんの写真ないの?可愛いもの好きなのに?絶対、撮って愛でてるでしょ?」
「いや、親類だから。一緒に暮らしてるし。そんなのしたら引くでしょ?色恋目的ではないにしても。」
「ふーん、あんたも少しは常識ついて来たのねぇ。[癒されたいだけだから]とか何とか言って、人の気持ちも考えずに絶対写メ撮ってると思ってたわ。」
確かに!UMAが未確認生物でなく、本当に親類の子供だったら「こんなに美形なんだから撮らせなさい」「SN○とかにはアップしないから」とか何とか言って、嫌がられても撮ってると思うわ!むしろ、そう言っておきながら芸能事務所とかに勝手に写真送っているかも……さすがは親友…私の性質を完璧に把握している……
「離婚で少しは成長したのかな?」
「えっ、ちょっとその言い方は酷くない!?」
「だって、あんたは…はぁ~…本当にあんたは昔から考えなしと言うか、浅はかと言うか、軽率と言うか、思慮が浅いと言うか…」
「それ全部同じ意味ですけど」
ヤバい…彼女が説教モードになって来た……
「慎重さがないだけならまだしも、人としての警戒心が皆無なのよ。その辺の3歳児の方がよっぽどちゃんとしてると思うくらいに」
ちょっと酷くないですかね!と、反論しようとしたがUMAの言葉に私は黙る。
『やはり、こいつは気付いていてお前と一緒に居るんだな』
ん?何に気付いて?彼女は私と一緒に居てくれているのか?
どいうこと?
私は首を傾けUMAに視線を向ける。
『こいつの魂はもうすぐ解脱する。今世は終盤と言ったところだな。』
「え?ここに来てスピリチュアル的な展開!?」
「は?何言ってるの?!」
あ、声に出しちゃった……
万事休す!!
休日午後の昼下がり——インターホンのモニターに映る親友の姿。
Z○○M画面以外で見るのは久しぶりだなー
なんて、今は悠長なことを考えている場合ではない。
『[来ちゃった]だそうだ、どうするんだ?』
「[来ちゃった]の台詞って、すごい殺し文句なんだね……心臓止まるかと思った」
『それは物理的な方だな』
ん?まー、でもUMAの姿は見えないわけだし、「今は塾に行ってて」とか言って誤魔化せば問題ないよね?
と思い、インターホンの[応答]ボタンに手を伸ばす。
『出るのか?』
私の行動に少し驚いたようにUMAの瞳が開かれる。私とUMAの視線がぶつかる。
本当に整った顔してるよなー
などと、今は考えている場合ではない。
「え?出るよ?どうせUMAのことは見えないんでしょ?[今は居ない]って誤魔化すから」
私が何てことないように言うと、UMAは少し眉間に皺を寄せる。無言のまま、芸術品のように整った顔を向け、月の輝きのような金色の瞳で私を見てくる。
何だろう?
とは思ったが、再度インターホンが鳴った為、私は[応答]ボタンを押す。
「びっくりしたー、どうぞー」
「出るの遅いよー」
[オープン]ボタンを押して、彼女を招き入れる。
ピンポーン
内玄関のインターホンが鳴り、彼女を迎える為に玄関のドアを開けながら口を開く。
「いらっしゃーい、突然過ぎでしょー」
「はははっ。実際会うの久しぶりだね!いやー、あんたがちゃんとユーマくんのお世話出来てるのかどうしても心配でさー」
「本当に先生向けの性格してるよねっ!」
どうやら、しっかり者の彼女は私が子供(UMA)の世話をきちんとしているのか心配になり、様子を見に来たようだ。
UMAは私の肩の上辺りに浮いているが、会話がスムーズに進んでいるところを見ると、やはり彼女にUMAは見えていないのだろう。
部屋に入り、ソファに座りながら彼女は不思議そうに辺りを見渡している。その様子を見た私はUMAを探しているのだと思い、先手を打つ。
「UMA塾行ってて、今日は帰って来るの遅いんだよね」
「…………そうなんだ……」
え?何何何っ?今の間!?
彼女はあからさまに適当な返事をしながら、訝しげに部屋を見渡している。今、UMAは彼女の目の前を浮いているが……まさか、UMAの存在に気付いてる?!
「な、にか飲む?」
何となく彼女の様子を不安に思い、「何か気になる?」と聞きたかったが、直球すぎるその質問をするのが怖くなり話を逸らす。するとUMAが私の元に来て
『お前は本当に浅はかだよな』
と言ってきた。
?!
UMAの言葉に反応したかったが、被るように彼女が口を開く。
「あー、ありがとう。じゃ、コーヒーで。あ、これケーキね、あんた先週誕生日だったしょ。ホールじゃなくて悪いけど、ユーマくんの分もあるよ。」
彼女は私に手土産を渡しながら続けて言う。元旦那然り、人の誕生日を大切にしてくれる人達に囲まれたものだ。有難い。
「ね、ユーマくんの荷物は?全然見当たらないけど?」
!!しまった!!じんわりと温かな気持ちになっていたら、いきなり足元掬われた!
私の瞳がひとまわり大きくなる。
『だろうな』
UMAは彼女の疑問は当然だというように口を開き、金色の瞳が何となく愉しげに輝く。そんなUMAを私はジロリと睨みつける。
ここはどう見ても一人暮らしの一室だ。UMAめ、気付いてて何も言わなかったな!私はこの窮地を完璧に乗り切ってみせる!私は謎の闘志を燃やし、彼女を迎え撃つ。
「部屋が狭いから、もう一つの部屋に荷物は全部置いてもらってるよ。」
「ふーん、あんたここで寝てるの?」
「ソウダヨ アッチガUMAデ コッチガワタシ」
あ、ちょっとカタコトな言い方に……
「ふーん、布団は?」
「今さっき向こうの部屋に移したよ。」
「ふーん、それにしても一貫し過ぎじゃない?ユーマくんの物全然ないし、食器も最低限過ぎでしょ?ちゃんとご飯作ってあげてるの?!」
「あ、いや。ミ、ミニマリストになりまして」
「その割にはあんたの下らない物は多いようだけど」
「ミニマリストなのはUMAでして」
「ははっ、中一男子でミニマリストって!面白っ」
「は、はははは……UMAちょっと変わってるのよ」
『おい』
「あー、会話してても何となく分かるわ。歳のわりにしっかりしてるよね。それにしても、まるで一人暮らしの部屋だね。」
「ソウデスヨネ」
「洗濯は?あんたのしか干してないけど何で?ユーマくんのもちゃんとしてあげてる?」
「シテルヨ」
「ね、ちゃんと料理作ってる?成長期の男の子の世話とか本当に出来てるの?」
「ダイジョウブダヨ」
『ふっ、まるで親だな』
そう、彼女は本当に面倒見が良い…[友達]としては度が過ぎるくらいに。どうやら、彼女にとって私は相当に頼りなく見えるようで、同じ歳にもかかわらず小さい頃から私の身の回りを心配して世話してくれるのだ。なので、彼女は私の姉や親のような存在でもある。
暫く私と彼女のやりとりを聞いていたUMAがポツリと呟いた。
『やはりな』
何が?と思ったが、彼女が居るので質問出来ない。彼女からの[どのようにUMAと接しているのか?]の問答を終え、次に[どう接するべきなのか?]の講義を受けた後、彼女は一応満足した様子で彼女の脳が[常識(説教)脳]から[恋愛脳]に移行して行く……
「で?ユーマくんの写真見せてよ!」
「は?ないよ」
「は?何で?年下イケメンくんの写真ないの?可愛いもの好きなのに?絶対、撮って愛でてるでしょ?」
「いや、親類だから。一緒に暮らしてるし。そんなのしたら引くでしょ?色恋目的ではないにしても。」
「ふーん、あんたも少しは常識ついて来たのねぇ。[癒されたいだけだから]とか何とか言って、人の気持ちも考えずに絶対写メ撮ってると思ってたわ。」
確かに!UMAが未確認生物でなく、本当に親類の子供だったら「こんなに美形なんだから撮らせなさい」「SN○とかにはアップしないから」とか何とか言って、嫌がられても撮ってると思うわ!むしろ、そう言っておきながら芸能事務所とかに勝手に写真送っているかも……さすがは親友…私の性質を完璧に把握している……
「離婚で少しは成長したのかな?」
「えっ、ちょっとその言い方は酷くない!?」
「だって、あんたは…はぁ~…本当にあんたは昔から考えなしと言うか、浅はかと言うか、軽率と言うか、思慮が浅いと言うか…」
「それ全部同じ意味ですけど」
ヤバい…彼女が説教モードになって来た……
「慎重さがないだけならまだしも、人としての警戒心が皆無なのよ。その辺の3歳児の方がよっぽどちゃんとしてると思うくらいに」
ちょっと酷くないですかね!と、反論しようとしたがUMAの言葉に私は黙る。
『やはり、こいつは気付いていてお前と一緒に居るんだな』
ん?何に気付いて?彼女は私と一緒に居てくれているのか?
どいうこと?
私は首を傾けUMAに視線を向ける。
『こいつの魂はもうすぐ解脱する。今世は終盤と言ったところだな。』
「え?ここに来てスピリチュアル的な展開!?」
「は?何言ってるの?!」
あ、声に出しちゃった……
万事休す!!
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