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#6【設定】

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「本日の議題はUMAの[詳細設定]についてです。UMAさん、何か希望はありますか?」

掛けてもいない眼鏡をあげるフリをしながらUMAに問う。

『何だ、その議題は』
「だって、其の場凌ぎな設定じゃ、もうカバーし切れないんだもんっ」
『[だもん]言うな、40歳オーバーが』

UMAのノリが悪いので、早々に真面目モードを捨てる。今日は兼ねてからの懸念事項であったUMAの[詳細設定]について決めることにした。

『お前がドツボにハマり過ぎるから…はぁ~、俺としたことが…見捨てておけば良かった』
「まぁまぁまぁまぁ、これからを考えましょう」

私はニコリとUMAに微笑む。彼女と今後関わり合いたくなさそうなUMAは自分の[設定]作りに乗り気ではないようだ。だが、存在がバレた以上UMAの希望など完全無視である。

「やっぱ、小学生とかかなー?声が幼いし、なんせ体長6センチだしね」
『何だお前、小学生と暮らしていることにしたいのか?』
「ま、彼女、私が[おねショタ]嫌いだって知ってるから、万に一つも関係を疑われないで済むでしょ?」
『[おねショタ]?あぁ、へー、意外だな。何が嫌なんだ?』
「犯罪感と罪悪感が半端ないからっ!」

即座に声をあげて答える私にUMAが怪訝な顔をする。

『いや、2次元だろ?』
「嫌っ!想像するだけでもう既に罪を犯した気分になるのっ!」

「やめてっ」とUMAに向けて手をかざす。
そう、私は可愛いモノを愛でるのは大好物だが、それを恋愛対象とするのはご法度なのだ。例え2次元とは言え想像するのも悍ましい…

『まぁ、お前の嗜好はどうでも良いが』
「おい」
『小学生の子を1人残して海外赴任に行く親はモラル的にどうなんだ?』
「確かに…小学生は一緒に連れて行くよねぇ… 小6ならアリ?んー、でも、彼女的にナシだよなぁ~。」
『あぁ、あの女はお前と違ってしっかりしているようだからな』
「じゃー、中学生?」
『多感な時期だな。そんな難しい時期にお前みたいな歳と中身が伴っていない奴に任せる親がいるか?』
「あんた何なんだよ。子育て評論家?じゃ、高校生?」
『思考が安易だな。まぁ、高校生くらいなら、ある程度自立も出来ているだろうし、頼りない遠縁の[おばさん]に預けても安心だろう』

UMAの刺々しさがいつもの3割増しだ… 彼女と交流を持つのが面倒くさいのだろう…私に対する怒りを感じる。だが、そんな棘よりも私には伝えるべき事がある。

「ちょっと待って!高校生はエモい!青春感が半端ないっ!!響きだけできゅんとしちゃうっ!」

興奮した私は更に続ける。

「[高校生=青春=甘酸っぱい]の方程式は定石でしょ!そんな高校生と暮らしてるなんて[設定]だけでご飯何杯も行けちゃうでしょっ!」

私は右手で顔を覆い、左手を床に打ちつけ悶える。

『病気だな』
「いや、数十年来の類友舐めるなよ!私がこうなら、彼女もこうだよっ!!」
『同じ病気なのか』

UMAはうんざりしたように眉間に皺を寄せ、瞳を閉じる。

「しかも、[甘酸っぱい]探求については彼女の方が上っ!スッポンのように食らいつかれるよっ!根掘り葉掘り質問攻めだよっ!」

と、伝える。想像したのか明らかにUMAが一瞬怯んだ。いつも偉そうで何処か余裕があるUMAがこのような姿を見せるのは珍しい。

[UMA(ユウマ)の(架空)設定]
・中学1年生
・人見知りなので顔出しNG
・難関校を受験したい為に日本に残留
・勉学に励みたい為基本的に会話参加もNG
・親は仕事の関係(IT系)でスウェーデンに赴任中(2~3年の予定)
・兄弟なし

と言う事で落ち着いた。

よし、友よ!いつでもかかって来い!

と、私は意気込んだ。
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