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王都の闇編
盗賊ギルドと暗殺者ギルドに楔を打ち込む2
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「それで、ガキが一体何の用だい?アーネスト様の顔を立てて会うだけ会ってやったんだ。下らない話をしようもんなら......わかってるね?」
国から認められているとはいえ、盗賊はどこまで行っても盗賊って事か?演技でも本気でも良いが、その曇った目で見抜けなかった事を後悔させてやろう。
「......おい雌犬。一度だけチャンスをやる。跪いて許しを請え、気に入ったら今回の事は目を瞑ってやらん事もないぞ?」
ビリビリと窓が振動するほどの殺気を迸らせた俺は、ソファーに座りながらギラリとした視線を向けて威圧する。
さっきと言ってる事が違いませんかい?と顔に出しているアーネストだったが、これは相手が悪い。
笑顔を向ける相手には笑顔を返すのが当然だが、銃を向けた相手には核を落としてもブチ殺すのが今生の俺だ。
「あ......ああ、あ」
「今更、吐いた唾を呑めると思うなよ?相手が男だろうが女だろうが容赦はしねぇぞ?」
ドン!と目の前の机に足を乗せた俺は、倍プッシュと言わんばかりに殺気を強める。
常人ならば肌に突き刺さるような痛みを覚え、呼吸も満足に出来なくなる様な濃度の気配に気付いたのか、部屋にギルド員が飛び込んできた。
「何者だ!」 「マスター!無事ですか?」 「......やばい、お前らはすぐ逃げろ。死ぬぞ」
部下の方が見所あるんじゃないか?3人目なんかスカウトしても良いくらいだ。
だが、お楽しみの最中だ。ここで引いてやるわけにはいかんなぁ。
「あう、うう......うあ」
「何言ってるのかわかんねぇな。おい、そこの案内役をしてた男。そう、お前だ......そろそろ真面目にやらないとこのギルドも更地に変えるぞ?」
「ふう、参りました......私達の完敗です。今回はこれでお許しください」
初見で看破していたが、やっぱりそういう事か。
跪いて頭を垂れる男がギルドマスターだったというオチだった。
「ふん、まぁいいだろう。そこの失禁してる女は打ち合わせ通りの芝居をしただけだろう?キレイにしてやる」
パチンと指を鳴らすと、無詠唱で【清浄】【正常化】が発動する。
染みが出来た衣服とソファーが清潔な状態に戻り、恐怖で高ぶった心を正常な状態へ戻す。
「はぁ......ふう、馬鹿げた強さね。マスター!もう降伏した方が賢いわ、傘下に入りましょう」
冷静な判断というか、諦めているというのが正しいのか?至近距離で強烈な殺気を浴びたせいで、心が折れたのだろうというのが農耕だな。
「俺はギルドマスターだぞ?自分の命を引き換えにしても軽率な判断で組織を売る訳にはいかん!」
「ならば誇りを抱いて棺桶に入るか?黙って俺の言う事を聞く方が賢いぞ?」
【死神】を発動待機状態にすると、俺の背後に巨大な鎌を構えた死神が浮かび上がる。
【死神】【死神】【死神】【死神】【死神】【死神】【死神】【死神】【死神】MP消費が10000程度なのを良い事に室内が飽和するほどの死神を召喚した。
ガチガチガチと歯が鳴らす音が響く。
男と女だけでなく、アーネストまで恐怖に怯えている。『恐怖』の効果も副次的に発生する魔法が10回も発動して耐えれる方がおかしいけどな。
「さて、もう一度質問だ。俺に、『自由の鎖』に従属しないか?安心しろ。国王には上手く言っておいてやるから、下らん意地や義務感に縛られる必要は無い」
「ハンス!俺からも最後に言っておく、大人しく従っておけ!意地を張った所で、人格を破壊して人形にする事だって出来るんだ!善意で質問してくれているだけで、手段を選ばなければ組織全員の意識を掌握する事だって可能なんだ。好条件で話を収められる間に飲んでおけ!これで首を立てに振らないなら俺はもう知らんぞ!?」
アーネストの必死な説得が功を奏したのか、それでも悩む様子を見せながらも首を縦に振った。
葛藤はあったのだろうが、防ぎようが無い圧倒的な力を目にした人間は、心が折れるのも早い。
「ケイト、怖い目に合わせたのにここでこんな結末になった事を許してくれ。最初から誠実な態度で話をするのが正しい判断だった」
「いいえ、これを予想するのは無理よ。この間の武術大会で優勝した化け物と同一人物だなんて思わないわ。『神の瞳』なんて言われてても、本人までここまで非常識だなんて思わないわよ」
まぁ、確かに化け物クラスなんだがそこまで言われると悲しくなってくるな。
だが、イーリスが望んだ形で復讐する為の条件を少しでも緩和する為には、情報は不可欠だ。
俺が魔法やらアイテムをてんこ盛りで環境を整えるという最終手段もあるが、それは望んだ形ではないだろう。
一切の思い残しが無い様に、俺は俺で考えている事があるが、ここは完全な環境を作り上げる為に手駒を増やすのは重要だ。
「安心してくれて良い。俺が要求するのはそこまで難度の高い事じゃない」
「盗賊ギルドまで来て求める事だ、情報関係か貴重な物品の手配あたりだろうけどな」
「情報収集なら私が直接行っても良いわ」
聞けばこのお漏らしケイトはこれでも副ギルドマスターだったらしい。
それでも、女で副ギルドマスターまで上り詰めただけあって能力は高いらしく、気配隠蔽を初めとして聞き耳、追跡、発見、気配察知と盗賊必須スキルが高レベルで揃っている。
「最初に頼みたい事は、ガーランド・ダンケルク公爵の情報だ。これから他国の奴隷商と取引を行う予定だ。その日動向や詳細な情報を少しでも集めたい」
「ああ、あの鬼畜親父ね。それなら任せてくれて大丈夫よ。私自身も調べるけど、あそこにはうちのギルドメンバーが使用人として潜入しているわ」
それは好都合だ。その使用人が何かの理由で始末されない限りは情報の獲得は容易だろう。
ならば、次は暗殺者ギルドが邪魔をしないようにしなければな。他国との取引を仲介している可能性もあるし、ガーランド・ダンケルクと繋がっている可能性が非常に高いだろうし......潰す事も視野に入れなければならないかもな。
準備一つ取っても、公爵クラスを罠に嵌めようとするのはかなりの労力と手間が掛かるのだ。
国から認められているとはいえ、盗賊はどこまで行っても盗賊って事か?演技でも本気でも良いが、その曇った目で見抜けなかった事を後悔させてやろう。
「......おい雌犬。一度だけチャンスをやる。跪いて許しを請え、気に入ったら今回の事は目を瞑ってやらん事もないぞ?」
ビリビリと窓が振動するほどの殺気を迸らせた俺は、ソファーに座りながらギラリとした視線を向けて威圧する。
さっきと言ってる事が違いませんかい?と顔に出しているアーネストだったが、これは相手が悪い。
笑顔を向ける相手には笑顔を返すのが当然だが、銃を向けた相手には核を落としてもブチ殺すのが今生の俺だ。
「あ......ああ、あ」
「今更、吐いた唾を呑めると思うなよ?相手が男だろうが女だろうが容赦はしねぇぞ?」
ドン!と目の前の机に足を乗せた俺は、倍プッシュと言わんばかりに殺気を強める。
常人ならば肌に突き刺さるような痛みを覚え、呼吸も満足に出来なくなる様な濃度の気配に気付いたのか、部屋にギルド員が飛び込んできた。
「何者だ!」 「マスター!無事ですか?」 「......やばい、お前らはすぐ逃げろ。死ぬぞ」
部下の方が見所あるんじゃないか?3人目なんかスカウトしても良いくらいだ。
だが、お楽しみの最中だ。ここで引いてやるわけにはいかんなぁ。
「あう、うう......うあ」
「何言ってるのかわかんねぇな。おい、そこの案内役をしてた男。そう、お前だ......そろそろ真面目にやらないとこのギルドも更地に変えるぞ?」
「ふう、参りました......私達の完敗です。今回はこれでお許しください」
初見で看破していたが、やっぱりそういう事か。
跪いて頭を垂れる男がギルドマスターだったというオチだった。
「ふん、まぁいいだろう。そこの失禁してる女は打ち合わせ通りの芝居をしただけだろう?キレイにしてやる」
パチンと指を鳴らすと、無詠唱で【清浄】【正常化】が発動する。
染みが出来た衣服とソファーが清潔な状態に戻り、恐怖で高ぶった心を正常な状態へ戻す。
「はぁ......ふう、馬鹿げた強さね。マスター!もう降伏した方が賢いわ、傘下に入りましょう」
冷静な判断というか、諦めているというのが正しいのか?至近距離で強烈な殺気を浴びたせいで、心が折れたのだろうというのが農耕だな。
「俺はギルドマスターだぞ?自分の命を引き換えにしても軽率な判断で組織を売る訳にはいかん!」
「ならば誇りを抱いて棺桶に入るか?黙って俺の言う事を聞く方が賢いぞ?」
【死神】を発動待機状態にすると、俺の背後に巨大な鎌を構えた死神が浮かび上がる。
【死神】【死神】【死神】【死神】【死神】【死神】【死神】【死神】【死神】MP消費が10000程度なのを良い事に室内が飽和するほどの死神を召喚した。
ガチガチガチと歯が鳴らす音が響く。
男と女だけでなく、アーネストまで恐怖に怯えている。『恐怖』の効果も副次的に発生する魔法が10回も発動して耐えれる方がおかしいけどな。
「さて、もう一度質問だ。俺に、『自由の鎖』に従属しないか?安心しろ。国王には上手く言っておいてやるから、下らん意地や義務感に縛られる必要は無い」
「ハンス!俺からも最後に言っておく、大人しく従っておけ!意地を張った所で、人格を破壊して人形にする事だって出来るんだ!善意で質問してくれているだけで、手段を選ばなければ組織全員の意識を掌握する事だって可能なんだ。好条件で話を収められる間に飲んでおけ!これで首を立てに振らないなら俺はもう知らんぞ!?」
アーネストの必死な説得が功を奏したのか、それでも悩む様子を見せながらも首を縦に振った。
葛藤はあったのだろうが、防ぎようが無い圧倒的な力を目にした人間は、心が折れるのも早い。
「ケイト、怖い目に合わせたのにここでこんな結末になった事を許してくれ。最初から誠実な態度で話をするのが正しい判断だった」
「いいえ、これを予想するのは無理よ。この間の武術大会で優勝した化け物と同一人物だなんて思わないわ。『神の瞳』なんて言われてても、本人までここまで非常識だなんて思わないわよ」
まぁ、確かに化け物クラスなんだがそこまで言われると悲しくなってくるな。
だが、イーリスが望んだ形で復讐する為の条件を少しでも緩和する為には、情報は不可欠だ。
俺が魔法やらアイテムをてんこ盛りで環境を整えるという最終手段もあるが、それは望んだ形ではないだろう。
一切の思い残しが無い様に、俺は俺で考えている事があるが、ここは完全な環境を作り上げる為に手駒を増やすのは重要だ。
「安心してくれて良い。俺が要求するのはそこまで難度の高い事じゃない」
「盗賊ギルドまで来て求める事だ、情報関係か貴重な物品の手配あたりだろうけどな」
「情報収集なら私が直接行っても良いわ」
聞けばこのお漏らしケイトはこれでも副ギルドマスターだったらしい。
それでも、女で副ギルドマスターまで上り詰めただけあって能力は高いらしく、気配隠蔽を初めとして聞き耳、追跡、発見、気配察知と盗賊必須スキルが高レベルで揃っている。
「最初に頼みたい事は、ガーランド・ダンケルク公爵の情報だ。これから他国の奴隷商と取引を行う予定だ。その日動向や詳細な情報を少しでも集めたい」
「ああ、あの鬼畜親父ね。それなら任せてくれて大丈夫よ。私自身も調べるけど、あそこにはうちのギルドメンバーが使用人として潜入しているわ」
それは好都合だ。その使用人が何かの理由で始末されない限りは情報の獲得は容易だろう。
ならば、次は暗殺者ギルドが邪魔をしないようにしなければな。他国との取引を仲介している可能性もあるし、ガーランド・ダンケルクと繋がっている可能性が非常に高いだろうし......潰す事も視野に入れなければならないかもな。
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