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3章
緊急クエスト発令 討伐【串刺し公】4
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「良し!ここで決着をつけるぞ!総員全力攻撃開始!」
ガゼルが全軍に指示を飛ばすと、同時に全力で駆け出す。
黒い疾風となって【串刺し公】へと突っ込んでいく。
今回の戦闘では全力を出しても壊れない、現役時代の装備を身に纏っている。
【双剣 死影・絶死】と【黒装束 朧月】を装備したガゼルは暗殺者といった風貌だが、死神といわれるだけあって、殺気に触れるだけで命を奪われそうな程の密度である。
触手が追いつける様な速度では無い為、一方的に攻撃している。
黒い疾風が放つ数え切れぬ斬撃が【串刺し公】の全身に傷を刻んでいく。
「【童子切 安綱】!はぁあああああ!せいやぁ!!」
麗覇が振るう覇拳が【串刺し公】の魂を削り取り、致命打を次々と浴びせて微笑む麗覇に続いて【九頭竜】が異能を使い傷を広げていく。
燃やし、凍てつかせ、切り裂き、削り取り、引き裂きダメージを積み重ねていく。
「【串刺し公】の最後も目前です!聖騎士隊構え!聖なる一撃!」
聖騎士達が放つ浄化の波動が放たれ、【串刺し公】に突き刺さると、沸騰するかのように泡立った体表が爆散して大穴が空く。
もう再生に回す力も無くなったのか、抵抗らしい抵抗もなくなってきた。
その油断が命取りだった。
地面から突き出す、これまでで最速最多最硬の触手の群れが、次々と討伐隊に襲い掛かる。
防壁魔法で作られた結界を易々と突破して襲い掛かる触手を受けて、スケープドール等の即死回避アイテムが次々と効果を発揮して砕け散っていく。
ヤバイ!即死レベルの連撃がここに来て不意打ちで放たれた。
援護で戦闘に参加していなかったメンバーやレベルの低いプレイヤーが次々に触手の餌食になっていく。
喰い散らかした命を糧に再生を再開する【串刺し公】は勢いを取り戻してきた。
「攻撃の手を止めるな!ここで引いたらジリ貧だぞ!押し切れ!」
ガゼルの指示が出るも、浮き足立ったプレイヤーや、死線に立った経験の浅い者から順に瓦解していく。
不味いな、参加しているAI達はベテランの王国兵ばかりだから良いが、プレイヤー陣が喰われていくのは具合が悪いな。
仕方無いな。使う事になるとは思わなかったが、俺達の出番だろう。
「行くぞ!エリー」(はい!マスター!!)
「我が力は守護」(我が力は不屈)
「不滅の魂と」(不滅の心で)
「全てを護り」(何度だろうと立ち上がる)
「「究極スキル【無限再生】」」
戦場全体に蒼いオーラが広がると、触手の攻撃を遮って壁になる。
「俺が居る限り攻撃が届く事は無い!皆、攻撃に集中するんだ!」
体勢を整え直した討伐隊は攻勢に打って出る。
勢いを取り戻した攻撃にジワジワと追い込まれていく【串刺し公】だが、プレイヤーを喰い散らかした分で結構回復したらしく、まだ再生の勢いが止まらない。
「く....スキルの維持はまだまだ大丈夫だが、最後まで耐え切れるだろうか?」
「勇人、よくやったな。何を心配そうな顔をしているのだ。すぐに決着してやるわ」
そう言うと、真紅のナックルガードを付ける。
「紅蓮よ!お前にも出番をくれてやる。全力で我に尽くせよ?」
「了解です。マスター」
「我が行く道は覇道」(我が道は王の道)
「邪魔する者は粉砕し」(その全てを打ち砕く)
「我が拳は天を貫き」(地を砕く破滅の拳)
「究極スキル【羅刹転身】」
真紅の光が麗覇を包み込み、弾け飛ぶと腰まで髪が伸びて、全体的に大人びた麗覇が現れる。
紅いオーラを全身に纏い、真紅の全身鎧を纏った麗覇が宣言する。
「これを見て生きていた奴は居らん。敵対する物は全て打ち砕く!」
言うが早いか飛び出した麗覇が拳を振るうと、今までの3倍近い拳圧の豪拳が振るわれる。
「【童子切 安綱】!【鬼丸 國綱】!!」
再生能力など何でも無いかのように貫通した拳は、反対側が見える程に大きな風穴を量産する。
「らぁああああ!!しゃ!はぁああああ!!!」
拳を振るう毎にどんどん威力が上がっている。
そうか、殴る程に威力が増加していく無限上昇が特徴か。
「倒せぬ者などこの拳には無い!だぁああららららららら!!」
連打連打連打連打!10...20...30...50...100撃と頭頂部から拳を浴びせながら落下してくる。
「これで終わりだあああああ!!!!!」
拳が灼熱して【串刺し公】の胴体に深く食い込むと炎があふれ出す。
その炎は全身に広がり【串刺し公】を多い尽くすと、吹き出す体液など関係無いと激しさを増していく。
「殴った分だけ炎も激しさを増す!この炎は敵を燃やし尽くすまで消える事は無い!」
「GYUAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!」
グズグズと炭化した体表がポロポロ落ちてくる。
胴体の内部で炎が荒れ狂っており全身が沸騰している。
炎によって焼かれた全身から異臭が漂ってくる。
ズズンと崩れ落ちた【串刺し公】はピクピクしているが、もう抵抗する力も無い様で、地面から突き出していた触手もグズグズと崩れて液状になっていく。
「【串刺し公】を討ち取ったぞ!者共!勝ち鬨を上げよ!」
「「「「「「おぉぉおおおおおお!!!!!!!!!!!」」」」」」
【【串刺し公】】の討伐を確認しました。
クエスト成功条件を達成した為、クエストを終了します。
インフォメーションが流れ、全員が勝利を確信した。
これで通常に戻れるわけだが、アルフォンス達は無事に敵を倒せただろうか?
何はともあれ【串刺し公】は無事討伐出来たし、AIに死人が出なくて済んだのは良かった。
「勇人、次に会う時はイベントになるだろうな。楽しみにしているぞ」
転移オーブを使用した麗覇が九頭竜を引き連れて消えていく。
(マスター、こちらも帰りましょう)
「そうだな。王都に帰ってゆっくりするとしようか」
「ユートさん!我々も王都へ転移しますので、ご一緒しませんか?」
「ああ、よろしく頼むよ」
ソフィアの誘いに乗った俺達は王都へ転移するのだった。
ガゼルが全軍に指示を飛ばすと、同時に全力で駆け出す。
黒い疾風となって【串刺し公】へと突っ込んでいく。
今回の戦闘では全力を出しても壊れない、現役時代の装備を身に纏っている。
【双剣 死影・絶死】と【黒装束 朧月】を装備したガゼルは暗殺者といった風貌だが、死神といわれるだけあって、殺気に触れるだけで命を奪われそうな程の密度である。
触手が追いつける様な速度では無い為、一方的に攻撃している。
黒い疾風が放つ数え切れぬ斬撃が【串刺し公】の全身に傷を刻んでいく。
「【童子切 安綱】!はぁあああああ!せいやぁ!!」
麗覇が振るう覇拳が【串刺し公】の魂を削り取り、致命打を次々と浴びせて微笑む麗覇に続いて【九頭竜】が異能を使い傷を広げていく。
燃やし、凍てつかせ、切り裂き、削り取り、引き裂きダメージを積み重ねていく。
「【串刺し公】の最後も目前です!聖騎士隊構え!聖なる一撃!」
聖騎士達が放つ浄化の波動が放たれ、【串刺し公】に突き刺さると、沸騰するかのように泡立った体表が爆散して大穴が空く。
もう再生に回す力も無くなったのか、抵抗らしい抵抗もなくなってきた。
その油断が命取りだった。
地面から突き出す、これまでで最速最多最硬の触手の群れが、次々と討伐隊に襲い掛かる。
防壁魔法で作られた結界を易々と突破して襲い掛かる触手を受けて、スケープドール等の即死回避アイテムが次々と効果を発揮して砕け散っていく。
ヤバイ!即死レベルの連撃がここに来て不意打ちで放たれた。
援護で戦闘に参加していなかったメンバーやレベルの低いプレイヤーが次々に触手の餌食になっていく。
喰い散らかした命を糧に再生を再開する【串刺し公】は勢いを取り戻してきた。
「攻撃の手を止めるな!ここで引いたらジリ貧だぞ!押し切れ!」
ガゼルの指示が出るも、浮き足立ったプレイヤーや、死線に立った経験の浅い者から順に瓦解していく。
不味いな、参加しているAI達はベテランの王国兵ばかりだから良いが、プレイヤー陣が喰われていくのは具合が悪いな。
仕方無いな。使う事になるとは思わなかったが、俺達の出番だろう。
「行くぞ!エリー」(はい!マスター!!)
「我が力は守護」(我が力は不屈)
「不滅の魂と」(不滅の心で)
「全てを護り」(何度だろうと立ち上がる)
「「究極スキル【無限再生】」」
戦場全体に蒼いオーラが広がると、触手の攻撃を遮って壁になる。
「俺が居る限り攻撃が届く事は無い!皆、攻撃に集中するんだ!」
体勢を整え直した討伐隊は攻勢に打って出る。
勢いを取り戻した攻撃にジワジワと追い込まれていく【串刺し公】だが、プレイヤーを喰い散らかした分で結構回復したらしく、まだ再生の勢いが止まらない。
「く....スキルの維持はまだまだ大丈夫だが、最後まで耐え切れるだろうか?」
「勇人、よくやったな。何を心配そうな顔をしているのだ。すぐに決着してやるわ」
そう言うと、真紅のナックルガードを付ける。
「紅蓮よ!お前にも出番をくれてやる。全力で我に尽くせよ?」
「了解です。マスター」
「我が行く道は覇道」(我が道は王の道)
「邪魔する者は粉砕し」(その全てを打ち砕く)
「我が拳は天を貫き」(地を砕く破滅の拳)
「究極スキル【羅刹転身】」
真紅の光が麗覇を包み込み、弾け飛ぶと腰まで髪が伸びて、全体的に大人びた麗覇が現れる。
紅いオーラを全身に纏い、真紅の全身鎧を纏った麗覇が宣言する。
「これを見て生きていた奴は居らん。敵対する物は全て打ち砕く!」
言うが早いか飛び出した麗覇が拳を振るうと、今までの3倍近い拳圧の豪拳が振るわれる。
「【童子切 安綱】!【鬼丸 國綱】!!」
再生能力など何でも無いかのように貫通した拳は、反対側が見える程に大きな風穴を量産する。
「らぁああああ!!しゃ!はぁああああ!!!」
拳を振るう毎にどんどん威力が上がっている。
そうか、殴る程に威力が増加していく無限上昇が特徴か。
「倒せぬ者などこの拳には無い!だぁああららららららら!!」
連打連打連打連打!10...20...30...50...100撃と頭頂部から拳を浴びせながら落下してくる。
「これで終わりだあああああ!!!!!」
拳が灼熱して【串刺し公】の胴体に深く食い込むと炎があふれ出す。
その炎は全身に広がり【串刺し公】を多い尽くすと、吹き出す体液など関係無いと激しさを増していく。
「殴った分だけ炎も激しさを増す!この炎は敵を燃やし尽くすまで消える事は無い!」
「GYUAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!」
グズグズと炭化した体表がポロポロ落ちてくる。
胴体の内部で炎が荒れ狂っており全身が沸騰している。
炎によって焼かれた全身から異臭が漂ってくる。
ズズンと崩れ落ちた【串刺し公】はピクピクしているが、もう抵抗する力も無い様で、地面から突き出していた触手もグズグズと崩れて液状になっていく。
「【串刺し公】を討ち取ったぞ!者共!勝ち鬨を上げよ!」
「「「「「「おぉぉおおおおおお!!!!!!!!!!!」」」」」」
【【串刺し公】】の討伐を確認しました。
クエスト成功条件を達成した為、クエストを終了します。
インフォメーションが流れ、全員が勝利を確信した。
これで通常に戻れるわけだが、アルフォンス達は無事に敵を倒せただろうか?
何はともあれ【串刺し公】は無事討伐出来たし、AIに死人が出なくて済んだのは良かった。
「勇人、次に会う時はイベントになるだろうな。楽しみにしているぞ」
転移オーブを使用した麗覇が九頭竜を引き連れて消えていく。
(マスター、こちらも帰りましょう)
「そうだな。王都に帰ってゆっくりするとしようか」
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