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SAKI

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3章

アンジェ(漢女)に遭遇する 夜のバトルドレスでイッチャイナ!

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 漢女おとめそれは、山よりも険しく、海よりも広大な道を歩む求道者が辿り着く一つの結末。
 極めようとしたが故に極められず、極めたが故に周りとのズレに煩悶するジレンマを抱える....女よりも女らしく、男よりも男らしく、辿り着くその先には一体何があるのだろうか。

【絶唱†漢女道】←1回でいいので聞いてみてください (@д@)<汚されちゃった


 ここが噂の防具屋....バトルドレス アンジェリーナ
 防具は要らないんだけど、エリーに似合う服を見繕って貰おうと思っている。
 防具だけでなく、普段着から勝負服まで扱っているから気軽にご来店くださいって看板に書いてある。

 達筆だ!剛筆と言えばいいだろうか?巨大な毛筆の男らしい字でズヴァア!っと書かれた看板....見せられないのが残念だ。
 横文字をここまで和風にアレンジして書くのは、技術だけでは無くセンスも必要だ。

 店の外観はドピンクの木造建築4階建て、案内看板には1階~3階は店舗で、4階は...オトメ喫茶『百花乱舞』って書いてある。

 扉を開いて....開い...お...重い?ふぬ....おぉおおお!!!っと....ふう、70kgってとこかな。
 入り口から難関だ、試されているんだろうか?

 扉を抜けて店内に入ると、「いらっしゃ~い♪」野太い声だが、猫撫で声というアンバランスなコラボに一瞬くらっと来るが、持ち直して正面を見据える。

 ガチムチマッチョを想像してください。 ナイススマイルでポージングしているアニキが、振り向いたかと思うとおねぇ走りで、手を振りながら駆け寄ってくる。
 胸元が開きすぎてブラがはみ出しているが、別にスイカもメロンも付いて無いので、大丈夫である。
 ...油断した、ビクンビクンと躍動する胸筋が上下にブラを揺さぶるので、まるでそこに巨乳があるかのように錯覚してしまう。落ち着け俺、きっとこれはプロローグ。

 来店直後開催された筋肉フェスティバルだったが、まだ開幕に過ぎない。
 「あら~ん?カワイイ子ねぇん。私がこの店のオーナーにして王都のファッションリーダーでもある。【耽美】のアンジェリーナよ!アンジェって呼んでおくんなまし!今日はどんな用かしら?見た所、良い体...じゃなかった良い衣を装備しているように見えるけれど?」
 厳ついモヒカンのアニキがクネクネしながら俺を品定めする様は、獲物を捕らえた蛇のようだ。

 「いや~俺の装備じゃなくって、こっちのクリスタルの....エリー?」
 クリスタル形態でふよふよと後方に浮いていたエリーが光に包まれると、人間形態に変化する「はい!私の服を選びに来ました!」
 ....流石はAI同士というべきか、何も違和感を感じていない、見た目で判断してはいけないのはわかっているが、身の危険を感じてしまうのは俺が未熟だからなのだろうか?

 「良い娘連れてるじゃない!摘み食いしようと思ってたのに、相手が居るんじゃダメねぇ」
 訂正しろ、居なくても駄目だろ。その太い腕でナニしようとしてやがった。

 「それじゃ、3階フロアにイイ服と下着があるわよぉん♪チョイスは任せてちょうだいな!」
 『フンガッ!』っと力を入れて踏ん張ったかと思うと、吹き抜けになっている中央の穴を飛び上がって、3階に着地した....どんな跳躍力してやがる。
 
 「こっちよ~!先に選んで待ってるからねぇん♪」上から手をフリフリ見下ろしている。
 誰か俺に教えてくれ。階段とは一体なんだったのか?垂直に8メートル飛び上がる為にはどれくらいの筋力が必要なんだろうか?

 「コレなんかどうかしら?」と見せてくる姿を視界に捉えながら、3階への階段を駆け上がる....身体が重い...なんで重力制御されてるんだ、体重が4倍位になっているようだ。
 おかしい...服を買いに来たのに、筋トレをしている。この店は客に何を求めているんだろうか?

  「あらん?中々イイ顔になったじゃない!アタシってば濡れちゃいそうよ!?」
 どこがだよ!と突っ込みそうになったが、藪蛇にならないようにしなければ、ミイラ取りがミイラになるわけにはいかない。
 【突っ込んでいたはずが、いつの間にか突っ込まれていたでござる...オウフ】などという事になりかねない。ビンビンになっているだろうアレに、俺の危険感知センサーがサイレンを鳴らしている。

 俺の純潔をこんな所で散らすわけにはいかない!!!絶対にだ!
 などと、一人称をやっている間に、エリーは着せ替え人形の如くホイホイ衣装を渡されては着替えてポーズを取っている....すごくイイ!
 「マスター!これなんかどうですか?腰までスリットが入ってるチャイナドレスっていうのはちょっと恥ずかしいですけど、大人の女って感じがしませんか?」

 スッとスリットから生足を覗かせて、妖艶に微笑むエリーには普段とは違う、蠱惑的な雰囲気が生まれていた。
 うむ、女性というのは、化粧や衣装や髪型一つでここまで様相を変えるものなのか。男冥利に尽きるというものだが、こうやって一人の女性に熱心なアピールを見せ付けられると、やっぱりグッとくるなぁ。

 輝く銀髪をバレッタで後ろに纏め、気持ち小さめなチョイスのチャイナドレスが、肉感的なボディラインを暴力的なまでに際立たせている。
 髪の銀に対して黒に赤いラインで縁取ったドレスは、妖しげな魅力を引き出している。
 白雪のように真っ白な肌と黒いドレスの共演、紅い光を宿す眼で薄く微笑み、チロリと濡れた唇を舐めるピンクの舌がエロスを演出する。
 大体、いつの間にメイクを施したのか知らんが、薄く引かれた紅いリップがあるだけでも印象が違うなんて、男にはわからない世界である。

 「アンジェ!良い仕事だな、流石はファッションリーダーを自称するだけある。そのドレスは買いだな!文句無しだぜ!」
 「まだまだねぇ?中身も大事なのよ?ほら」
 チラリとスリットから見えた紐と、際どいラインは鼻血ものだった....ご馳走様でした。【保存】しておこう。

 「コレでエリーちゃんのマスターも今晩は野獣よ!って何を言わせるのかしら!この娘ったら」
 照れ隠しになぜか背中を叩かれた俺は、弾き飛ばされて、激突した衣装棚(アダマンタイト製)に弾かれて、吹き抜けから1階に落下した。
 
 「アラアラ、やりすぎちゃったわん、ごめんねユートちゃん」
 は?弾き飛ばした本人が下で待っているだと!?化け物過ぎる。
 「あん!?誰が化け物だって?」「ソソ...ソンナコトカンガエテナイヨー」

 しまった。心を読まれたのも驚きだが、もう少しで地雷を踏むところだった。
 「勝負下着だってバッチリなんだから♪二人の性活もバッチリよ!」
 「この兵器さえあれば、マスターは私の虜ですよ!むふふふ!」

 ガシッっと掌同士を絡ませて友情を深める二人に軽く引いたのは内緒だ。
 女の友情...女漢女の友情?字にするとややこしいな。

 「金貨3枚で良いわよ。良い物を見せて貰ったお礼にオマケもあげるわ」
 差し出された手の上にあったのは【呪縛の糸】を投擲用にカスタマイズしたアイテムだった。

 「男の子は女の子に良い所を見せたいかもしれないけど、死んじゃったら意味が無いわ。危なくなったらコレを投げて逃げてきなさい。アンジェちゃん特製の【必中】仕様よ」
 手渡されたアイテムをギュっと握り締める。

 「ありがとう、約束するよ!必ず二人で無事に帰ってくるさ!」
 アンジェの手を強く握りお礼と共に握手する。
 「あ..あん!もう!て..照れるじゃないの!ユートちゃんったら、イキナリ男前なんだもの」
 ポっと頬を赤らめて、ヤダヤダと両手を頬に当ててクネクネし出す....うわ、きm「あんだって!?」
 
 「あ..アンジェちゃんカワイイなぁ、魅力的でみとれちゃいそうだなぁ」
 「あらん、そんな本当の事ばかり言っちゃやーよぉ!まぁ、自分でもこの上腕二頭筋のラインとか、この広背筋のから臀部に掛けてのクールな魅力は王都でも1.2を争う仕上がりだと思ってるけど...そんな褒められたら濡れちゃうわぁ~~~ん♪」

 ふう...危険回避したぜ。デンジャートラップはどこに潜んでいるか分からないな。

 「今度来る時は、二人の冒険譚を聞かせて頂戴な」
 「ああ、約束するよ」「アンジェさん!また遊びに来ますね?」

 笑顔で分かれた3人だったが、まだ昼間だというのに、そのまま宿に直行した俺とエリーは、翌日の昼まで部屋から出る事が無かった。

 夜の探求にも余念が無いユートであった.....見せられないよ!!!
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