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お互いの我儘
33話
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「お待たせ。篠原、奈那子先輩」
「遅れてごめんなさい」
篠原にショッピングモールに誘われた土曜日。
集合は現地集合となった。
「いいよ、いいよ。一分しか遅れてないし。ね、翔琉」
「ああ、一分くらい遅れただけで謝るなよ」
遅れた原因としては、クリスマスイヴの時と同じだ。
俺と手を繋いでいる小春は、謝るなと言われつつも頭を下げる。
「じゃあ行こうか」
奈那子先輩がそう言い、翔琉に手を差し出した。
その手を翔琉は握る。
そうだよな。恋人同士だもんな。
「ほら、ぼーっとしてないで行くぞ」
「あ、ああ」
俺は小春と手を繋いだまま、並んで歩き出す。
ここのショッピングモールに来るのはあの日、小春のクリスマスプレゼントを買いに来た時以来だ。
まさか小春と二人っきりで来るよりも先に篠原とその彼女とダブルデートで来るとは思わなかった。
店内には沢山の人が居るには居るが、俺が前に来た時よりかは少なく感じる。
「まずどこに行こうか。小春ちゃんと悠斗くんは何処か行きたい場所とかある?」
「俺は特に」
「私も特にありません」
「じゃあ服見に行かない? 私、翔琉に服選んでほしいし」
「え? 俺に?」
翔琉が驚くと、奈那子先輩は軽く頷く。
「俺は良いよ。一之瀬さんと悠斗も良いよな?」
俺と小春は同時に頷く。
俺たちが向かう服屋は二階にある。エスカレーターで二階まで上がり、目的の場所まで向かう。
白を基調としたお洒落な服屋は俺に場違いだと思い知らせてくる。
店内に入ると、小春が俺の服を軽く引っ張る。
「どうかしたの?」
「ね、ねぇ。悠斗くん。私も、その、悠斗くんに服選んでほしいな」
上目遣いで頼んでくる小春の頼みを、俺は断ることができない。
小春の願いはできるだけ聞くと心に決めている。
けれど俺のファッションセンスは絶望的にない。本当にないのだ。
「い、良いんだけどさ。俺、ファッションセンスとか無いから小春の喜んでくれる服選べないかもしれないけど、良い?」
「うん! 私は悠斗くんが選んでくれた服なら喜んで着るよ!」
「分かった。じゃあ小春に似合う服、頑張って探すよ」
と言っても、小春ならここに置いてある服どれを着ても似合ってしまうだろう。
「ねぇ、奈那子ちゃん。これ似合うんじゃない?」
店内には俺たちしかいないため、翔琉の声が聞こえてきた。
「俺も探さないと」
俺は店内をじっくりと一周する。
小春は絶対に可愛らしい服が似合うはずだ。
「小春。これなんてどう?」
俺は小春に白色のブラウスと薄ピンク色のフレアスカートを渡した。
「うん! ちょっと試着してみても良いかな?」
「良いと思うよ」
「じゃあしてみるね。ありがとう、悠斗くん」
そう言って小春は試着室へと向かって行った。
「遅れてごめんなさい」
篠原にショッピングモールに誘われた土曜日。
集合は現地集合となった。
「いいよ、いいよ。一分しか遅れてないし。ね、翔琉」
「ああ、一分くらい遅れただけで謝るなよ」
遅れた原因としては、クリスマスイヴの時と同じだ。
俺と手を繋いでいる小春は、謝るなと言われつつも頭を下げる。
「じゃあ行こうか」
奈那子先輩がそう言い、翔琉に手を差し出した。
その手を翔琉は握る。
そうだよな。恋人同士だもんな。
「ほら、ぼーっとしてないで行くぞ」
「あ、ああ」
俺は小春と手を繋いだまま、並んで歩き出す。
ここのショッピングモールに来るのはあの日、小春のクリスマスプレゼントを買いに来た時以来だ。
まさか小春と二人っきりで来るよりも先に篠原とその彼女とダブルデートで来るとは思わなかった。
店内には沢山の人が居るには居るが、俺が前に来た時よりかは少なく感じる。
「まずどこに行こうか。小春ちゃんと悠斗くんは何処か行きたい場所とかある?」
「俺は特に」
「私も特にありません」
「じゃあ服見に行かない? 私、翔琉に服選んでほしいし」
「え? 俺に?」
翔琉が驚くと、奈那子先輩は軽く頷く。
「俺は良いよ。一之瀬さんと悠斗も良いよな?」
俺と小春は同時に頷く。
俺たちが向かう服屋は二階にある。エスカレーターで二階まで上がり、目的の場所まで向かう。
白を基調としたお洒落な服屋は俺に場違いだと思い知らせてくる。
店内に入ると、小春が俺の服を軽く引っ張る。
「どうかしたの?」
「ね、ねぇ。悠斗くん。私も、その、悠斗くんに服選んでほしいな」
上目遣いで頼んでくる小春の頼みを、俺は断ることができない。
小春の願いはできるだけ聞くと心に決めている。
けれど俺のファッションセンスは絶望的にない。本当にないのだ。
「い、良いんだけどさ。俺、ファッションセンスとか無いから小春の喜んでくれる服選べないかもしれないけど、良い?」
「うん! 私は悠斗くんが選んでくれた服なら喜んで着るよ!」
「分かった。じゃあ小春に似合う服、頑張って探すよ」
と言っても、小春ならここに置いてある服どれを着ても似合ってしまうだろう。
「ねぇ、奈那子ちゃん。これ似合うんじゃない?」
店内には俺たちしかいないため、翔琉の声が聞こえてきた。
「俺も探さないと」
俺は店内をじっくりと一周する。
小春は絶対に可愛らしい服が似合うはずだ。
「小春。これなんてどう?」
俺は小春に白色のブラウスと薄ピンク色のフレアスカートを渡した。
「うん! ちょっと試着してみても良いかな?」
「良いと思うよ」
「じゃあしてみるね。ありがとう、悠斗くん」
そう言って小春は試着室へと向かって行った。
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