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お互いの我儘
31話
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夕飯を食べ終えた私は、悠斗くんの隣の部屋でビデオ通話をする。
ビデオ通話をする相手はお父さん。
「もしもしお父さん、久しぶりだね」
「ごめんな、悠斗くんと一週間に一度くらい小春と話すって約束したのに今日が初めてになってしまって」
私は首を横に振って否定する。
だって私はお父さんが私のために頑張ってお仕事をしてくれていることを知っているから。お父さんは何も悪くない。
「それよりも聞いてよお父さん!」
私はこれをお父さんにずっと自慢したかった。
私は胸にぶら下がっているネックレスをお父さんに見せる。
「どうしたんだ? 綺麗なネックレスだな」
「これね、悠斗くんからのクリスマスプレゼントなんだ~」
私はこのネックレスをプレゼントされた時の事を思い出してつい頬が緩む。
「良かったな。悠斗くんに感謝しないとな」
「うん! 凄く感謝したよ」
「ごめんな。お父さん、小春にプレゼント渡せなくて」
「そんな謝らなくて良いよ。お父さんには私と悠斗くんが同棲することを許してくれただけで十分感謝してるんだから」
もしお父さんに同棲なんてダメだと言われていれば、私はこんなにも幸せになれなかった。
「小春には今まで寂しい思いをさせていたんだ。そんな小春のお願いを断るようなことはできないよ。それで悠斗くんは元気か?」
「うん。元気だと思うよ。今日も私の手料理を美味しいって言って食べてくれたもん」
「それなら良かった。それとだな」
お父さんは言葉を選んでいるのか、中々続きの言葉を言わない。
「一応、小春と悠斗くんはまだ高校生だ。同じ屋根の下で暮らしていれば、二人の思う気持ちは強くなっていくと思うが、しっかりと避妊はするんだぞ」
お父さんの言葉に、私の頬は赤くなる。
「ちょ、ちょっとお父さん! 私たちまだそう言ったことはしてないから!」
「そ、そうか……それなら良いんだが」
「そ、それに。心配しなくて良いよ。だって悠斗くんだよ?」
「そうだな。悠斗くんになら小春を任せられる。だって俺の自慢の娘が選んだ男なんだからな」
私は今まで悠斗くんに酷い事を何一つとしてされていない。それが何よりの証拠だ。
「そういえば学校は楽しいか?」
「うん。楽しいよ。悠斗くんも隣の席だし」
「隣の席なのか? それは良かったな」
「そうなの! 凄い幸運だよね。私こんな幸せで良いのかな?」
私がこの世で一番幸せなんじゃないかと思ってしまう。
「父親としては世界で一番の幸せ者になってほしいと思ってるから嬉しいよ。それに、小春は今まで辛い思いをしてきたんだ。まだまだ幸せになってもらわないと」
「良いの? 私が幸せになっても」
「幸せになっちゃいけない人なんて居ないよ。本当は不幸なんてあってはいけないんだ。だから俺は寂しい思いをさせてしまった小春に何度も謝っているんだ。親が自分の子供に嫌な思いをさせるなんてあってはいけないんだよ」
私はお父さんの言葉を聞いて。一人だったころの事を思い出した。
本当はお父さんと一緒に暮らしたい。でもお父さんを困らせるようなことはしたくなかった。
本当は凄く、凄く辛かった。毎晩抱きしめていたクマのぬいぐるみを自分の涙で濡らしていた。
こんなつらい思いをするなら生まれてきたくなかったって何度も思っては泣いた。
そんな辛い時の事を思い出していると、温かい水滴が私の頬をつたった。
「あ、あれ? 私、泣いてる?」
「ごめんな、辛かったよな。でも小春、強がらないでくれ。小春はどうせ俺に迷惑をかけたくなくて辛いって、弱音を言ってこなかったんだろうけど。でも、俺は小春に迷惑をかけられたいんだよ。娘の我儘なら喜んで聞いてあげるから。だから、もう強がる必要なんてないんだ」
その事を聞いて更に涙が溢れてくる。
「お、おとう、さん……わたし、辛かった。毎日、毎日……帰っても一人で、寂しさを紛らわすために、ぬいぐるみ、抱きしめてたけど……でも、やっぱり、お父さんが良いよ……」
私の頬をつたう涙を、私はもう自分自身では止められない。
その後も、ずっと、ずっと泣き続けた。
ビデオ通話をする相手はお父さん。
「もしもしお父さん、久しぶりだね」
「ごめんな、悠斗くんと一週間に一度くらい小春と話すって約束したのに今日が初めてになってしまって」
私は首を横に振って否定する。
だって私はお父さんが私のために頑張ってお仕事をしてくれていることを知っているから。お父さんは何も悪くない。
「それよりも聞いてよお父さん!」
私はこれをお父さんにずっと自慢したかった。
私は胸にぶら下がっているネックレスをお父さんに見せる。
「どうしたんだ? 綺麗なネックレスだな」
「これね、悠斗くんからのクリスマスプレゼントなんだ~」
私はこのネックレスをプレゼントされた時の事を思い出してつい頬が緩む。
「良かったな。悠斗くんに感謝しないとな」
「うん! 凄く感謝したよ」
「ごめんな。お父さん、小春にプレゼント渡せなくて」
「そんな謝らなくて良いよ。お父さんには私と悠斗くんが同棲することを許してくれただけで十分感謝してるんだから」
もしお父さんに同棲なんてダメだと言われていれば、私はこんなにも幸せになれなかった。
「小春には今まで寂しい思いをさせていたんだ。そんな小春のお願いを断るようなことはできないよ。それで悠斗くんは元気か?」
「うん。元気だと思うよ。今日も私の手料理を美味しいって言って食べてくれたもん」
「それなら良かった。それとだな」
お父さんは言葉を選んでいるのか、中々続きの言葉を言わない。
「一応、小春と悠斗くんはまだ高校生だ。同じ屋根の下で暮らしていれば、二人の思う気持ちは強くなっていくと思うが、しっかりと避妊はするんだぞ」
お父さんの言葉に、私の頬は赤くなる。
「ちょ、ちょっとお父さん! 私たちまだそう言ったことはしてないから!」
「そ、そうか……それなら良いんだが」
「そ、それに。心配しなくて良いよ。だって悠斗くんだよ?」
「そうだな。悠斗くんになら小春を任せられる。だって俺の自慢の娘が選んだ男なんだからな」
私は今まで悠斗くんに酷い事を何一つとしてされていない。それが何よりの証拠だ。
「そういえば学校は楽しいか?」
「うん。楽しいよ。悠斗くんも隣の席だし」
「隣の席なのか? それは良かったな」
「そうなの! 凄い幸運だよね。私こんな幸せで良いのかな?」
私がこの世で一番幸せなんじゃないかと思ってしまう。
「父親としては世界で一番の幸せ者になってほしいと思ってるから嬉しいよ。それに、小春は今まで辛い思いをしてきたんだ。まだまだ幸せになってもらわないと」
「良いの? 私が幸せになっても」
「幸せになっちゃいけない人なんて居ないよ。本当は不幸なんてあってはいけないんだ。だから俺は寂しい思いをさせてしまった小春に何度も謝っているんだ。親が自分の子供に嫌な思いをさせるなんてあってはいけないんだよ」
私はお父さんの言葉を聞いて。一人だったころの事を思い出した。
本当はお父さんと一緒に暮らしたい。でもお父さんを困らせるようなことはしたくなかった。
本当は凄く、凄く辛かった。毎晩抱きしめていたクマのぬいぐるみを自分の涙で濡らしていた。
こんなつらい思いをするなら生まれてきたくなかったって何度も思っては泣いた。
そんな辛い時の事を思い出していると、温かい水滴が私の頬をつたった。
「あ、あれ? 私、泣いてる?」
「ごめんな、辛かったよな。でも小春、強がらないでくれ。小春はどうせ俺に迷惑をかけたくなくて辛いって、弱音を言ってこなかったんだろうけど。でも、俺は小春に迷惑をかけられたいんだよ。娘の我儘なら喜んで聞いてあげるから。だから、もう強がる必要なんてないんだ」
その事を聞いて更に涙が溢れてくる。
「お、おとう、さん……わたし、辛かった。毎日、毎日……帰っても一人で、寂しさを紛らわすために、ぬいぐるみ、抱きしめてたけど……でも、やっぱり、お父さんが良いよ……」
私の頬をつたう涙を、私はもう自分自身では止められない。
その後も、ずっと、ずっと泣き続けた。
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