我が家に可愛い彼女がやって来た

月姫乃 映月

文字の大きさ
上 下
30 / 40
お互いの我儘

30話

しおりを挟む
「ねぇ、悠斗くん」

 私は夕飯を食べながら悠斗くんの名前を口にして読んだ。
 
「ん? 何?」

 私は今日の出来事、篠原くんに私達が付き合っていることを話した時に、一つ疑問に思ったことを悠斗くんに聞いてみることにした。

「私と悠斗くんって、お似合いのカップルに見えないのかな?」
「ど、どうしてそんな事聞くの?」
「今日篠原くんに私達が付き合ってることを言っても信じてくれなかったでしょ? だから私達お似合いじゃないのかなって不安になっちゃって」
「あー、それはね」

 悠斗くんの不安そうな表情は少し和らいだ。

「小春が可愛すぎて俺なんかが付き合えるわけないと思ってたからだよ」
「私が? 可愛いの?」
「うん。可愛いよ。俺にはもったいないくらいね」
「ぎゃ、逆じゃなくて? 私に悠斗くんはもったいないんじゃないの?」

 私が悠斗くんに勿体ないくらい可愛いわけがない。むしろ私には悠斗くんがもったいないくらいカッコいいと思ってる。本当に私なんかに悠斗くんの彼女が務まるのかな? って毎晩布団に入るたびに思う。

「そんなわけないじゃん。可愛くて料理も凄く上手で優しい小春は、俺にはもったいないよ」
「悠斗くんだってカッコいいし料理上手だし優しいじゃん」

 悠斗くんが作ってくれるお弁当はすごく美味しいし、クリスマスにプレゼントをくれたり、転びそうになる私を助けてくれたり、急にお家に押し寄せて同棲してくれないかって言っても快くオッケーしてくれたし、初めて会った時からカッコよくて好きになっていた。そして席が隣同士になって、近くで悠斗くんを見ているうちに大好きになっていた。

「そう? そう言ってくれると嬉しいよ。それに、他人からお似合いの恋人同士に見られなくても俺は小春と居られるならそれで幸せだよ」
「わ、私もすごーく幸せだよ! 悠斗くんと一緒に居られるだけで幸せなの!」

 私は悠斗くんに私と居るだけで幸せ、という嬉しすぎる言葉をもらってついはしゃいでしまった。

「だから誰かからそう言われても気にする必要なんてないんだよ」
「そうだね。悠斗くんの言う通りだ!」

 悠斗くんは優しく微笑むと、机に並べている肉じゃがを箸で掴み口へ運んだ。
 
「美味しい!」
「ありがとう」

 悠斗くんは私の手料理を食べるたびに美味しいって言ってくれる。それに私はありがとうって返す。
 もし悠斗くんと出会っていなければ。今頃、家で私一人寂しくご飯を食べていたと思う。
 ずっとこの幸せが続いてほしい。
 高校を卒業したらなるべく早く悠斗くんと結婚したい。そして今よりも賑やかな家庭を築きたい。
 仕事から帰って来た悠斗くんを玄関でお帰りって出迎えて、美味しいご飯を用意して、子供たちと一緒に楽しい会話をしながら食べて、土日は家族全員でどこかにお出かけして~。
 そんな物凄く楽しくて幸せな想像をしながら、私も肉じゃがを一口食べる。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。

ながしょー
青春
 ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。  このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

切り札の男

古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。 ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。 理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。 そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。 その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。 彼はその挑発に乗ってしまうが…… 小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

とあるアプリで出題されたテーマから紡がれるセカンドストーリー❤︎

砂坂よつば
青春
「書く習慣」というアプリから出題されるお題に沿って、セリフが入っていたり、ストーリーが進む予測不可能な小説。第2弾は新たな物語ラブコメでお届け!! 主人公、高校1年生 輪通 萌香(わづつ もえか)が屋上でクラスメイトの友達と昼食を食べながらグランドを眺めていると、萌香好みの男子生徒を発見!萌香は彼と両思いになって楽しくも甘酸っぱい?青春高校生活を送ることが出来るのだろうか運命やいかに––––!? ※お題によって主人公が出てこない場合もございます。 本作品では登場する様々なキャラクターの日常や過去、恋愛等を描けてたらと思っています。小説家になろうとカクヨムの方でも同じ内容で連載中!※ いくつかのお題をアルフォポリス限定で執筆予定です。

Missing you

廣瀬純一
青春
突然消えた彼女を探しに山口県に訪れた伊東達也が自転車で県内の各市を巡り様々な体験や不思議な体験をする話

俺と代われ!!Re青春

相間 暖人
青春
2025年、日本では国家主導で秘密裏に実験が行われる事になった。 昨今の少子化は国として存亡の危機にあると判断した政府は特別なバディ制度を実施する事により高校生の恋愛を活発にしようと計ったのだ。 今回はその一組の話をしよう。

処理中です...