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我が家に彼女がやって来た日
6話
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四限が終わり昼休みになった。目の前の机に小春が作ってくれた弁当を広げながら欠伸をする。
早起きをしたせいで今日はいつもよりも多く欠伸をしてしまう。
「どうしたんだよ、今日は一段と眠そうな顔してんな」
そう話しかけてきたのは俺の前の席に座る、#篠原翔琉__しのはら かける_#。
俺の唯一と言っていいであろう男子の友達だ。
篠原はこの学校では結構なイケメンである。だが何故か彼女は居ない。
篠原とは小学校に通っていた頃からの友人であるため、俺は篠原に相当な信頼をおいている。
篠原の他に親しい友人は居ないため、どうしても篠原の事を信頼してしまう。
信頼しすぎることはあまり良くないのは分かっているんだけどな。なんでも話せる友人も必要だ。
「いつもよりも早起きしたんだよ。一時間早く」
小春に起こしてもらったとはいくら篠原でも言うことはできない。
同棲の事は俺だけの問題じゃない。小春と俺の問題なのだから。
「だから授業中も寝てたのか。数学で分からないところ聞こうと思って後ろ向いたらお前寝てるし」
「別に問題は全部解き終わってたんだから良いだろ」
今日の数学は担当の教師が休みで、プリントを解くだけだった。
頭はあまり回らなかったものの、そこまで難しい問題ではなかったので直ぐに解き終えて目を瞑っていた。
「いや、お前ってなんで授業中に寝たりしてるのに頭良いんだよ」
「授業聞かなくても教科書をちょっと見れば理解できるし」
「俺にも少し分けてくれよ、その頭脳」
「じゃあ勉強すればいいだろ」
そう言いながら小春の作ってくれた弁当を食べる。
味は言うまでも無く美味しい。
大きな唐揚げに綺麗な卵焼き、それに健康を気遣ってか、自分では絶対に入れない野菜も入っている。
「おー、お前の今日の弁当美味そうだなー。一口くれよ」
その弁当を見て篠原はそう言った。
「いいぞ」
俺は篠原に弁当を差し出した。
篠原は自身の箸で卵焼きを掴み、食べた。
「おー、美味い! これお前が作ったのか⁉」
「ああ、俺が一人暮らしなことくらい知ってるだろ?」
「そうだったな」
小春には申し訳ないが、小春に作ってもらったなんて言えないから許してほしい。
「でもお前って前そこまで料理は上手くないって言ってなかったっけ?」
「それ結構前の事だろ。それから上手くはなったはずだ」
「まぁそうか。それよりあと二日で冬休みだぞ。早く二日経たねぇかなぁ~。それとクリスマスな」
小春とのクリスマスデートはイヴにすることにしたため、三日後にデートする。
あと三日後に初めてのデートができる。それもあんな可愛い彼女とだ。嬉しさと緊張が交互に襲ってくる。
「今年こそは彼女とクリスマスデートしたかったのになぁ~」
「お前普通にモテるし告白とかされないのか?」
「されるはされるけど、俺好みじゃないんだよ」
少し前に篠原から直接聞いたが、篠原は年上好きなのだ。
「年上の人からは告白されないのか?」
「全くな。何故か同級生からしか告白されないんだよ」
「同級生から告白されるだけ良いだろ。贅沢言うな」
「そうかもしれないけどよー」
「お前から告白すればいいだけじゃねぇか」
告白されないならすればいい。篠原ならできるはずだ。
俺なら絶対にできないけど。
「そうだけどよぉ~。まぁ今年は諦めるか。来年は絶対に可愛い彼女作る!」
篠原は来年の目標を堂々と言った。
俺は視線を篠原から隣へと向ける。
隣には自分で作った弁当を美味しそうに食べている小春、俺の彼女の姿がある。
「おい、お前まさか一之瀬さんを狙ってるのか?」
「どうしてそうなる。ただ見ていただけだろ」
俺のその言葉は俺と小春の関係を知っていない人からすると気持ち悪かったかもしれない
だとしても見ただけで狙っていると思われるのはどうかと思う。
「確かに一之瀬さんはめちゃくちゃ可愛いけどお前には無理だ。高嶺の花すぎる」
篠原は俺の肩に手を置きながらそう言った。
言ってやりたい。小春は俺の彼女だってことを。でも言えない。
「知ってるよ、それくらい」
勿論、小春と付き合ってるからといって俺と小春が釣り合っているとは思わない。
俺と小春が付き合うなんて普通に考えてありえないことだろう。
「なぁ、一之瀬さんって彼氏いないのかな?」
俺も小春から告白される前までは小春には既に彼氏が居ると思っていた。
「さぁ、そういった噂は聞かないからな」
「でもあれだけ可愛いんだから逆に彼氏いないのが不思議だと思わないか?」
「別に可愛いから、カッコいいから彼氏彼女が居ないといけないわけじゃないだろ」
「確かにそうだな。それより早く食おうぜ、時間無くなる」
篠原はそう言って自分の弁当を俺の席の上に置いた。
「自分の席で食えよ」
「そんなこと言うなよ。ほら、さっきのお返しだ」
そう言って篠原は自身の弁当から卵焼きを差し出してきた。
篠原の卵焼きも、小春に負けないくらい美味しかった。多分篠原の親が作ったと思うけど。
「それで、今年のクリスマスイヴも俺の家来るか? ケーキくらいならあるぞ」
篠原は毎年クリスマスイヴに俺を家に招待してくれる。
「ごめん、今年は用事がある」
だが今年はそれよりももっと大切な用事がある。
「は? マジ? まさかデートとか言わねぇよな」
「彼女とかではないから安心しろ」
「それなら良いけど。絶対お前よりも先に彼女作ってやるからな!」
「はいはい、頑張ってください」
俺は篠原との会話を適当に流し、空になった弁当を片付ける。
すると俺のスマホに一件の通知が入った。
『美味しかった?』
小春からだ。どうやら弁当の感想を聞きたいらしい。
あの弁当を食べて美味しくなかったと答える奴はいったいどんな舌をしているのか知りたいくらい美味しかった。
「うん、美味しかったよ。ありがとう」
『良かった。明日の悠斗くんのお弁当も楽しみにしてるね』
明日は俺が弁当を作る日だ。
美味しく作れるかは分からないが、失敗しないようにだけは気を付けなければ。
「あまり期待しないでくれよ?」
俺がそう返信すると同時に昼休み終了のチャイムが鳴った。
早起きをしたせいで今日はいつもよりも多く欠伸をしてしまう。
「どうしたんだよ、今日は一段と眠そうな顔してんな」
そう話しかけてきたのは俺の前の席に座る、#篠原翔琉__しのはら かける_#。
俺の唯一と言っていいであろう男子の友達だ。
篠原はこの学校では結構なイケメンである。だが何故か彼女は居ない。
篠原とは小学校に通っていた頃からの友人であるため、俺は篠原に相当な信頼をおいている。
篠原の他に親しい友人は居ないため、どうしても篠原の事を信頼してしまう。
信頼しすぎることはあまり良くないのは分かっているんだけどな。なんでも話せる友人も必要だ。
「いつもよりも早起きしたんだよ。一時間早く」
小春に起こしてもらったとはいくら篠原でも言うことはできない。
同棲の事は俺だけの問題じゃない。小春と俺の問題なのだから。
「だから授業中も寝てたのか。数学で分からないところ聞こうと思って後ろ向いたらお前寝てるし」
「別に問題は全部解き終わってたんだから良いだろ」
今日の数学は担当の教師が休みで、プリントを解くだけだった。
頭はあまり回らなかったものの、そこまで難しい問題ではなかったので直ぐに解き終えて目を瞑っていた。
「いや、お前ってなんで授業中に寝たりしてるのに頭良いんだよ」
「授業聞かなくても教科書をちょっと見れば理解できるし」
「俺にも少し分けてくれよ、その頭脳」
「じゃあ勉強すればいいだろ」
そう言いながら小春の作ってくれた弁当を食べる。
味は言うまでも無く美味しい。
大きな唐揚げに綺麗な卵焼き、それに健康を気遣ってか、自分では絶対に入れない野菜も入っている。
「おー、お前の今日の弁当美味そうだなー。一口くれよ」
その弁当を見て篠原はそう言った。
「いいぞ」
俺は篠原に弁当を差し出した。
篠原は自身の箸で卵焼きを掴み、食べた。
「おー、美味い! これお前が作ったのか⁉」
「ああ、俺が一人暮らしなことくらい知ってるだろ?」
「そうだったな」
小春には申し訳ないが、小春に作ってもらったなんて言えないから許してほしい。
「でもお前って前そこまで料理は上手くないって言ってなかったっけ?」
「それ結構前の事だろ。それから上手くはなったはずだ」
「まぁそうか。それよりあと二日で冬休みだぞ。早く二日経たねぇかなぁ~。それとクリスマスな」
小春とのクリスマスデートはイヴにすることにしたため、三日後にデートする。
あと三日後に初めてのデートができる。それもあんな可愛い彼女とだ。嬉しさと緊張が交互に襲ってくる。
「今年こそは彼女とクリスマスデートしたかったのになぁ~」
「お前普通にモテるし告白とかされないのか?」
「されるはされるけど、俺好みじゃないんだよ」
少し前に篠原から直接聞いたが、篠原は年上好きなのだ。
「年上の人からは告白されないのか?」
「全くな。何故か同級生からしか告白されないんだよ」
「同級生から告白されるだけ良いだろ。贅沢言うな」
「そうかもしれないけどよー」
「お前から告白すればいいだけじゃねぇか」
告白されないならすればいい。篠原ならできるはずだ。
俺なら絶対にできないけど。
「そうだけどよぉ~。まぁ今年は諦めるか。来年は絶対に可愛い彼女作る!」
篠原は来年の目標を堂々と言った。
俺は視線を篠原から隣へと向ける。
隣には自分で作った弁当を美味しそうに食べている小春、俺の彼女の姿がある。
「おい、お前まさか一之瀬さんを狙ってるのか?」
「どうしてそうなる。ただ見ていただけだろ」
俺のその言葉は俺と小春の関係を知っていない人からすると気持ち悪かったかもしれない
だとしても見ただけで狙っていると思われるのはどうかと思う。
「確かに一之瀬さんはめちゃくちゃ可愛いけどお前には無理だ。高嶺の花すぎる」
篠原は俺の肩に手を置きながらそう言った。
言ってやりたい。小春は俺の彼女だってことを。でも言えない。
「知ってるよ、それくらい」
勿論、小春と付き合ってるからといって俺と小春が釣り合っているとは思わない。
俺と小春が付き合うなんて普通に考えてありえないことだろう。
「なぁ、一之瀬さんって彼氏いないのかな?」
俺も小春から告白される前までは小春には既に彼氏が居ると思っていた。
「さぁ、そういった噂は聞かないからな」
「でもあれだけ可愛いんだから逆に彼氏いないのが不思議だと思わないか?」
「別に可愛いから、カッコいいから彼氏彼女が居ないといけないわけじゃないだろ」
「確かにそうだな。それより早く食おうぜ、時間無くなる」
篠原はそう言って自分の弁当を俺の席の上に置いた。
「自分の席で食えよ」
「そんなこと言うなよ。ほら、さっきのお返しだ」
そう言って篠原は自身の弁当から卵焼きを差し出してきた。
篠原の卵焼きも、小春に負けないくらい美味しかった。多分篠原の親が作ったと思うけど。
「それで、今年のクリスマスイヴも俺の家来るか? ケーキくらいならあるぞ」
篠原は毎年クリスマスイヴに俺を家に招待してくれる。
「ごめん、今年は用事がある」
だが今年はそれよりももっと大切な用事がある。
「は? マジ? まさかデートとか言わねぇよな」
「彼女とかではないから安心しろ」
「それなら良いけど。絶対お前よりも先に彼女作ってやるからな!」
「はいはい、頑張ってください」
俺は篠原との会話を適当に流し、空になった弁当を片付ける。
すると俺のスマホに一件の通知が入った。
『美味しかった?』
小春からだ。どうやら弁当の感想を聞きたいらしい。
あの弁当を食べて美味しくなかったと答える奴はいったいどんな舌をしているのか知りたいくらい美味しかった。
「うん、美味しかったよ。ありがとう」
『良かった。明日の悠斗くんのお弁当も楽しみにしてるね』
明日は俺が弁当を作る日だ。
美味しく作れるかは分からないが、失敗しないようにだけは気を付けなければ。
「あまり期待しないでくれよ?」
俺がそう返信すると同時に昼休み終了のチャイムが鳴った。
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