我が家に可愛い彼女がやって来た

月姫乃 映月

文字の大きさ
上 下
2 / 40
我が家に彼女がやって来た日

2話

しおりを挟む
 小春の敷布団を買いに行った帰り道、行きは雪が降っていたが、今は降っていない。だが雪が積もっていて歩きずらい。
 購入した敷布団は今日の夜には配達してくれるらしい。

「小春、滑らないようにだけ気を付けろよ?」
「うん、気を付ける!」
「てかその格好寒くないのか?」

 小春の格好はあの時と変わらず、口元をマフラーで隠しているだけ。手袋も耳当てもしていない。

「寒いよ?」
「なら何でスカートなんだよ、ズボンにしなよ。スカートで素脚丸見えなんて寒いに決まってるだろ」
「でもスカート可愛いじゃん?」
「寒さよりも可愛さ優先かよ……」

 寒さに弱い俺には到底考えられない思考をしているらしい。
 確かに可愛いけど……そのせいで体調を崩されても困る。
 
「そんなにスカートを穿きたいならタイツくらい穿けよ」
「悠斗くんは私のこの美脚を見たくないの?」
「自分で言うなよ……」

 小春の言うことは否定できない。
俺は小春の白くて長い綺麗な脚を一度見た

「だって自信あるんだもん」

 小春くらいのスタイルの良さなら誰でも自信を持てるだろう。
 それにしても綺麗な肌をしているな。

「まぁ自分に自信があるのは良い事だな」
「でしょ? 悠斗君もこんな可愛い女の子の彼氏なんだから自信もっていいよ?」

 小春の彼氏という肩書きは相当なものだ。
 小春の彼氏なら相当自信が持てる。それは間違いない。
 
「そうだな」

 そんな会話をしていると自宅が見えてきた。
 俺はカバンから家の鍵を取り出し鍵を開けた。
 
「ほら」
「ありがとう」

 俺は寒そうな小春を先に部屋に入れた。

「小春、暖房付けてくれないか? リモコンは机の上にある」

 暖房をつけていないリビングは物凄く寒い。小春のその格好だと更に寒いだろう。

「これだよね?」
「ああ、それだ」

 小春は俺に確認を取り、暖房をつけた。
 リモコンのボタンに暖房や冷房って書いてあるから確認しなくても良いはずなんだけどな。

「それで小春。敷布団どこに敷く? 空いてる部屋なら何処でも良いけど」

 まだ敷布団は届いていないが、先にどこに敷くのか決めておく。

「悠斗くんの部屋が良い」
「は? 俺の部屋?」

 俺はもう一度聞きなおしてしまった。

「うん。悠斗くんの部屋」

 俺の部屋にはこの敷布団を敷くくらいのスペースは十分あるが、他にも使っていないもっと広い部屋がある。でも掃除をあまりしていないから掃除しないといけなくなるけど。

「他の部屋じゃなくて良いのか?」
「嫌だ。一人だと寂しいもん」
「寂しいって……高二だろ?」
「そうだけど、悠斗くんと一緒の部屋が良いの。寂しいのはもう嫌だよ……」

 そうか、小春の父親は滅多に帰ってこないから小春は長い間家に一人だったのか。ならこれくらいの我儘は聞いても良いか。

「分かったよ。寂しがり屋だな」

 小春が寂しがり屋ということが分かって可愛いと思ってしまった。
 俺は一度自分の部屋に小春を連れて、どのあたりに敷くのか聞くことにした。
 
「ここら辺で良いか?」
「うん。悠斗くんの部屋ならどこでも良いよ」

 俺は自身のベッドの隣を指さして言った。
 
「これで悠斗くんと同じ部屋で寝れるね!」

 可愛らしい笑顔でそう言う小春。
 その笑顔を見るためならなんでもしてしまいそうだ。

「あ、そう言えば同棲するなら決めなくちゃいけないことがあるな」
「決めなくちゃいけない事?」

 俺と小春はリビングに戻り机を挟み向かい合って座った。
 
「悠斗くん。決めることって何?」

 小春がそう口にすると、俺は一枚の紙を小春に見えるように机の上に置いた。
 俺が出した紙には『料理』『洗濯』『掃除』『買い出し』と書いてある。

「今日から同棲を始めるわけだけど、役割分担をした方が今後楽だと思うんだ。勿論嫌になったらその時は交代すればいい」
「そうだね、役割分担は大切」

 そう、役割分担を決めておき事で厄介事や喧嘩などをしなくて済む。

「小春はこの中だとどれが良い?」

 俺は正直何の担当でも良いので小春に先に選ばせることにした。

「私は悠斗くんに手料理を食べてほしいから『料理』と『買い出し』が良いな」

 小春は紙に書かれた『料理』と『買い出し』を指さしながら言った。俺は毎日料理しているとはいえ、そこまで料理が上手いというわけではないのでありがたい。

「じゃあ俺は残りということで。交代してほしいと気が合ったら遠慮なく言え。体調が悪い時とかな。疲れてる時でも言ってくれればやるよ」
「ありがとう。悠斗くんもその時は言ってね」
「ああ、そうするよ」

 とりあえず役割分担は決まった。
 それともう一つ確認しておかなきゃならないことがある。

「それともう一つ。学校では俺達が同棲していることは内緒にしよう」
「うん。分かった、私と悠斗くんだけの秘密だね。付き合ってることも内緒?」

 正直俺はそのことは言っても言わなくてもどちらでもいい。
 小春と付き合うと決めた瞬間に学年中の男子を敵に回す覚悟はした。

「それは小春の好きにしていいよ」
「じゃあ内緒が良い。秘密の関係ってやつ?」

 小春は自身の唇に人差し指を当ててそう言った。何この子超可愛いんですけど。こんな可愛い子と秘密の関係とかもっとしたい。だけどそんなこと言ったら流石に引かれてしまう。
 どうやらこれで俺は学年中の男子を敵に回さなくて済むことになった。

「分かった。じゃあ秘密にしよう」
「うん! あ、そういえばお弁当はどうするの? 学校で食べるお弁当。それも私が作るで良いの?」

 学校には学食があるが、俺は学食は使わずに弁当を持参している。隣の席に座る小春はそのことを知っているらしい。
 小春もたまに弁当を持参している。

「いや、弁当くらいは自分で作るよ」
「そう? でも私が作りたいな」
「でも面倒くさいだろ? そこまでしてもらわなくても」
「悠斗くんの為ならそれくらい全然平気だよ? それに言ったじゃん。私、悠斗くんに手料理食べてほしいって」

 それでも弁当は毎日必要になるし、朝早くから用意しなければならない。毎日は任せられない。

「分かった。じゃあ月曜日と水曜日、金曜日は小春が作ってくれ。残りの曜日は俺が作る。大丈夫だ、こう見えて料理はちゃんとできるから」
「分かった! 悠斗くんの手作り弁当楽しみにするね」

 小春は元気よく笑顔でそう言った。
 俺の手作り弁当を食べれるからという理由でこんなに喜んでくれる人が居るのか。結構嬉しいものだな。
 それなら俺も小春の期待に応えられるように頑張らなければいけないな。

「ああ、楽しみにしておけ。俺も小春の手作り弁当楽しみにしてる」
「うん。楽しみにしててね!」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。

ながしょー
青春
 ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。  このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

切り札の男

古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。 ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。 理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。 そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。 その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。 彼はその挑発に乗ってしまうが…… 小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

とあるアプリで出題されたテーマから紡がれるセカンドストーリー❤︎

砂坂よつば
青春
「書く習慣」というアプリから出題されるお題に沿って、セリフが入っていたり、ストーリーが進む予測不可能な小説。第2弾は新たな物語ラブコメでお届け!! 主人公、高校1年生 輪通 萌香(わづつ もえか)が屋上でクラスメイトの友達と昼食を食べながらグランドを眺めていると、萌香好みの男子生徒を発見!萌香は彼と両思いになって楽しくも甘酸っぱい?青春高校生活を送ることが出来るのだろうか運命やいかに––––!? ※お題によって主人公が出てこない場合もございます。 本作品では登場する様々なキャラクターの日常や過去、恋愛等を描けてたらと思っています。小説家になろうとカクヨムの方でも同じ内容で連載中!※ いくつかのお題をアルフォポリス限定で執筆予定です。

Missing you

廣瀬純一
青春
突然消えた彼女を探しに山口県に訪れた伊東達也が自転車で県内の各市を巡り様々な体験や不思議な体験をする話

俺と代われ!!Re青春

相間 暖人
青春
2025年、日本では国家主導で秘密裏に実験が行われる事になった。 昨今の少子化は国として存亡の危機にあると判断した政府は特別なバディ制度を実施する事により高校生の恋愛を活発にしようと計ったのだ。 今回はその一組の話をしよう。

処理中です...