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「準備はどぉ?」
卒業パーティから半月。
いつぞや4人で行って食べそこねたカフェのワッフルをテイクアウト仕様にしてもらい、それを差し入れに今日はメロウェイ家のタウンハウスに遊びに来ている。
一緒に来たディーダを応接室に残し、勝手にルフィナの部屋に顔を出すと思った通りルフィナが驚いてくれた。
彼女は今、王城のシエルナード王子の宮へ引っ越す準備で忙しい日々を送っている。
式はまだ先だが王子妃教育もあるので今月の末から城で暮らすのだそうだ。
「ライラ!もう到着してたのね!気付かなかったし誰も教えてくれなかったわ!」
「私が驚かしたいから秘密にしてってお願いしたの」
笑いながら伝えると「もうっ!」と言いつつ笑ってくれた。
ルフィナが気付かなかったのも無理はない。
お隣のシャーメ伯爵家が引っ越しをするので家の近くを荷馬車や人がずっと出入りしている状態なのだ。
王城から程近く、立地の良いこの高位貴族のタウンハウスが集中する区画から立ち去る事になった原因に先日の卒業パーティの事があったからなのは言うまでもない。
あのあと、レリアンのルフィナに対する嫌がらせや強奪行為などが実は王家に筒抜けだったことが判明した。
正確にはシエルナードとの婚約が内定してから、それ以降の行動が全て残されていたのだ。
そして、シャーメ伯爵夫人がしてきたメロウェイ子爵夫人への行動も問題視された。
レリアンが、王妃の姪であるルフィナへ横暴を繰り返すようになった根底には、シャーメ伯爵夫人がレリアンの幼少期からメロウェイ子爵夫人に対して横暴な振る舞いをしていたことにあると判断されたからだ。
シャーメ伯爵家の血筋は夫人にある。
その為、伯爵家の責任は重いとされ、子爵への降格、領地の半分近くの返納、メロウェイ家へ慰謝料の支払い、夫人は10年間、レリアンは25年間修道院へ通い貧民救済活動をすることが科された。
また、2人共期間中に何か問題を起こせば刑罰を科された後に戒律の厳しい修道院へ送られる事が決まっている。
夫であるシャーメ伯爵改めシャーメ子爵は婿養子で立場が弱かったのと、彼自身は問題行動をしておらず妻を諌める姿が度々目撃されていた為、文官として働いているレリアンの兄を後継とするときにはしっかりと再教育し、母の影響を取り除き今後清廉潔白な貴族家になるよう申し付けられたらしい。
レリアンのお兄さんは父親に似て気が弱く大人しい人なので多分大丈夫だろう。
「ディーダが応接室で待ってるわ。ワッフルもあるし早く来てね」
本を仕分けていたルフィナにそう言い残して、先に応接室に戻る。
部屋でワッフルの箱を開けている時だった。
「やあ、もう来ていたんだね」
片手を上げてにこやかに入ってきたのはシエルナード王子だ。
「久しぶり…でございますっ!」
「俺は昨日ぶりだなっ」
「ちょっ…ディーダ!」
慌てる私にシエルナード王子が見慣れた笑顔で言う。
「あぁ、ライラ、いいんだよ。私的な時間だから」
私はシェルが王子と知ってから初めて会う。
ディーダは前々通りだけど正直いうと本当の身分は王子だった友人とどう接していいか分からなかった。
「ライラ、私的な時は以前と同じ様に話し、接してくれて大丈夫だよ。呼び名も公的な時で無ければ愛称の「シェル」で構わない。一応「王子」ってのは付け足して貰うことになるけど。ディーダにもそう伝えてるんだ」
「そーゆーことぉ~♪ライラ、気にし過ぎなんだって!」
カラカラ笑うディーダは気にしない過ぎだと思う。
実はディーダはあの初めてのクラス合同ダンス演習のあった日にシェルが王子だと伝えられたそうだ。
当時、王家はなるべく早く学内でシエルナードの護衛を任せられる人材を探していた。
そんな中、共にいる期間はまだ短いがディーダを信用置ける人物とシェルが判断し、結果いつの間にか内密で調査され、入学時から将来の進路に騎士を希望していたので素質チェックという名目で知らぬ間に実力テストを受けさせられ、知らぬ間に合格していたため学内での護衛に選ばれたらしい。
その説明と任命があったのであの日2人は遅れてきたのだ。
「ディーダは既に見習い騎士として城に来ているが…上手く切り替えるよね!」
「まーな!たまに近衛騎士のいる所でシェル王子って言いそうになったりもしてるけど!」
「それは駄目でしょ…」
「それは正式に騎士に任命されてからにして欲しいなぁ」
「任命後ならいいの!?」
「いいよ」
「んじゃ気を付けるのもあと少しだな!」
「いやいやいや…」
「お待たせっ!」
皆で笑い合っているとルフィナが来た。
「なになに?何の話し?」
シェル王子とディーダが説明している間に私は紅茶を皆に淹れる。
「わぁ!ライラ、ありがとう」
嬉しそうに微笑むルフィナ。
「…美味しいね。ライラはお茶を淹れるのが上手だったんだね」
シェル王子は一口飲んで感嘆の声を上げた。
「ライラも頑張って練習したんだよな!本当に上手くなったよ!」
「皆ありがとう!」
そう、ディーダは特に練習に付き合ってくれた。
私がメロウェイ家の陞爵を先に知っていた理由。
それは卒業後の進路で迷っていた時にルフィナに侍女になる打診を受けたからだ。
近々家が陞爵するので専属侍女を持ちたいこと。
まだ陞爵前なので公然には出来ないこと。
今いる侍女は恐らく母の専属になる為、折角なら気心知れている私に頼みたいこと。
もし働き難いと思うことがあれば遠慮なく辞めて良いこと等…。
伯爵位になれば伯爵家の中でも上位になるメロウェイ家。
その令嬢なら確かに専属侍女は必要だろうし、ルフィナに仕えるなら悪くない。
むしろ楽しく過ごせそうだと了承したのだ。
まさか実は王子妃の専属侍女だったなんて夢にも思わなかったが…。
従姉妹とはいえ、しがない男爵令嬢である私に本当に務まるか心配だったけど、話し相手や相談相手を主とする侍女として迎えたいから信頼出来る相手がよい、だから大丈夫だと説得され、ルフィナの結婚と同時に城に上がり仕えることになっている。
だが、必要ないとは言われていたがせめてもと家の侍女の役割もこなしてくれている使用人に侍女の仕事の基礎とお茶の淹れ方だけは教えてもらったのだ。
「そうだ。今私が住んでるのは王子宮なんだけどさ、王太子妃が産んだ御子が王子だったから3年以内に王弟宮へ引っ越すんだ」
「え!?いつ!?」
「お産まれになったの!?」
「それ、話していいのか?!」
爆弾発言に思わず声がハモる。
「しー…3日前にね。でもまだここだけの話で秘密だよ?」
シェル王子曰く、王族は産まれて一週間経ってから誕生とされるらしい。
万が一産後すぐに亡くなれば祝賀の祭から一転して哀悼のため自粛する事になる。
それを防ぐ為に母子共の健康状態を確認してから発表するそうだ。
「その頃にはさ、君たちも式を挙げた後だよね?」
思わぬ質問にチラっとディーダを見る。
「あ…あぁ…半年後にあるお前達の挙式の1年後に挙げようと思ってるけど…」
ディーダも私をチラっと確認しつつ言うのでコクコクと頷いておいた。
「なら王弟宮に2人の暮らす部屋も用意して問題なさそうだね」
「じゃあ子供は2年ほど経ってから考えましょうか」
ルフィナがほんのり頬を染め微笑みながらシェル王子に告げる。
シェル王子も少し赤くなりながら「そうだね」だなんて返している。
ディーダは全くワケが分かってない様子だ。
「いや…乳母にする気じゃない…」
多分私は真っ赤だ。
「さすがライラ!よく分かったわね」だなんてルフィナはクスクス笑っている。
「ディーダは私の専属護衛騎士でライラは私の妃の専属侍女だから出仕が楽だよ?」
ニコニコと冗談めかして言うがこれはシェル王子の中で確定している時の言い方だ。
「乳母は流石に断りたいー!!!責任重大過ぎー!!!」
私の不安な叫びは仲良しの笑い声に解けていくのだった。
卒業パーティから半月。
いつぞや4人で行って食べそこねたカフェのワッフルをテイクアウト仕様にしてもらい、それを差し入れに今日はメロウェイ家のタウンハウスに遊びに来ている。
一緒に来たディーダを応接室に残し、勝手にルフィナの部屋に顔を出すと思った通りルフィナが驚いてくれた。
彼女は今、王城のシエルナード王子の宮へ引っ越す準備で忙しい日々を送っている。
式はまだ先だが王子妃教育もあるので今月の末から城で暮らすのだそうだ。
「ライラ!もう到着してたのね!気付かなかったし誰も教えてくれなかったわ!」
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ルフィナが気付かなかったのも無理はない。
お隣のシャーメ伯爵家が引っ越しをするので家の近くを荷馬車や人がずっと出入りしている状態なのだ。
王城から程近く、立地の良いこの高位貴族のタウンハウスが集中する区画から立ち去る事になった原因に先日の卒業パーティの事があったからなのは言うまでもない。
あのあと、レリアンのルフィナに対する嫌がらせや強奪行為などが実は王家に筒抜けだったことが判明した。
正確にはシエルナードとの婚約が内定してから、それ以降の行動が全て残されていたのだ。
そして、シャーメ伯爵夫人がしてきたメロウェイ子爵夫人への行動も問題視された。
レリアンが、王妃の姪であるルフィナへ横暴を繰り返すようになった根底には、シャーメ伯爵夫人がレリアンの幼少期からメロウェイ子爵夫人に対して横暴な振る舞いをしていたことにあると判断されたからだ。
シャーメ伯爵家の血筋は夫人にある。
その為、伯爵家の責任は重いとされ、子爵への降格、領地の半分近くの返納、メロウェイ家へ慰謝料の支払い、夫人は10年間、レリアンは25年間修道院へ通い貧民救済活動をすることが科された。
また、2人共期間中に何か問題を起こせば刑罰を科された後に戒律の厳しい修道院へ送られる事が決まっている。
夫であるシャーメ伯爵改めシャーメ子爵は婿養子で立場が弱かったのと、彼自身は問題行動をしておらず妻を諌める姿が度々目撃されていた為、文官として働いているレリアンの兄を後継とするときにはしっかりと再教育し、母の影響を取り除き今後清廉潔白な貴族家になるよう申し付けられたらしい。
レリアンのお兄さんは父親に似て気が弱く大人しい人なので多分大丈夫だろう。
「ディーダが応接室で待ってるわ。ワッフルもあるし早く来てね」
本を仕分けていたルフィナにそう言い残して、先に応接室に戻る。
部屋でワッフルの箱を開けている時だった。
「やあ、もう来ていたんだね」
片手を上げてにこやかに入ってきたのはシエルナード王子だ。
「久しぶり…でございますっ!」
「俺は昨日ぶりだなっ」
「ちょっ…ディーダ!」
慌てる私にシエルナード王子が見慣れた笑顔で言う。
「あぁ、ライラ、いいんだよ。私的な時間だから」
私はシェルが王子と知ってから初めて会う。
ディーダは前々通りだけど正直いうと本当の身分は王子だった友人とどう接していいか分からなかった。
「ライラ、私的な時は以前と同じ様に話し、接してくれて大丈夫だよ。呼び名も公的な時で無ければ愛称の「シェル」で構わない。一応「王子」ってのは付け足して貰うことになるけど。ディーダにもそう伝えてるんだ」
「そーゆーことぉ~♪ライラ、気にし過ぎなんだって!」
カラカラ笑うディーダは気にしない過ぎだと思う。
実はディーダはあの初めてのクラス合同ダンス演習のあった日にシェルが王子だと伝えられたそうだ。
当時、王家はなるべく早く学内でシエルナードの護衛を任せられる人材を探していた。
そんな中、共にいる期間はまだ短いがディーダを信用置ける人物とシェルが判断し、結果いつの間にか内密で調査され、入学時から将来の進路に騎士を希望していたので素質チェックという名目で知らぬ間に実力テストを受けさせられ、知らぬ間に合格していたため学内での護衛に選ばれたらしい。
その説明と任命があったのであの日2人は遅れてきたのだ。
「ディーダは既に見習い騎士として城に来ているが…上手く切り替えるよね!」
「まーな!たまに近衛騎士のいる所でシェル王子って言いそうになったりもしてるけど!」
「それは駄目でしょ…」
「それは正式に騎士に任命されてからにして欲しいなぁ」
「任命後ならいいの!?」
「いいよ」
「んじゃ気を付けるのもあと少しだな!」
「いやいやいや…」
「お待たせっ!」
皆で笑い合っているとルフィナが来た。
「なになに?何の話し?」
シェル王子とディーダが説明している間に私は紅茶を皆に淹れる。
「わぁ!ライラ、ありがとう」
嬉しそうに微笑むルフィナ。
「…美味しいね。ライラはお茶を淹れるのが上手だったんだね」
シェル王子は一口飲んで感嘆の声を上げた。
「ライラも頑張って練習したんだよな!本当に上手くなったよ!」
「皆ありがとう!」
そう、ディーダは特に練習に付き合ってくれた。
私がメロウェイ家の陞爵を先に知っていた理由。
それは卒業後の進路で迷っていた時にルフィナに侍女になる打診を受けたからだ。
近々家が陞爵するので専属侍女を持ちたいこと。
まだ陞爵前なので公然には出来ないこと。
今いる侍女は恐らく母の専属になる為、折角なら気心知れている私に頼みたいこと。
もし働き難いと思うことがあれば遠慮なく辞めて良いこと等…。
伯爵位になれば伯爵家の中でも上位になるメロウェイ家。
その令嬢なら確かに専属侍女は必要だろうし、ルフィナに仕えるなら悪くない。
むしろ楽しく過ごせそうだと了承したのだ。
まさか実は王子妃の専属侍女だったなんて夢にも思わなかったが…。
従姉妹とはいえ、しがない男爵令嬢である私に本当に務まるか心配だったけど、話し相手や相談相手を主とする侍女として迎えたいから信頼出来る相手がよい、だから大丈夫だと説得され、ルフィナの結婚と同時に城に上がり仕えることになっている。
だが、必要ないとは言われていたがせめてもと家の侍女の役割もこなしてくれている使用人に侍女の仕事の基礎とお茶の淹れ方だけは教えてもらったのだ。
「そうだ。今私が住んでるのは王子宮なんだけどさ、王太子妃が産んだ御子が王子だったから3年以内に王弟宮へ引っ越すんだ」
「え!?いつ!?」
「お産まれになったの!?」
「それ、話していいのか?!」
爆弾発言に思わず声がハモる。
「しー…3日前にね。でもまだここだけの話で秘密だよ?」
シェル王子曰く、王族は産まれて一週間経ってから誕生とされるらしい。
万が一産後すぐに亡くなれば祝賀の祭から一転して哀悼のため自粛する事になる。
それを防ぐ為に母子共の健康状態を確認してから発表するそうだ。
「その頃にはさ、君たちも式を挙げた後だよね?」
思わぬ質問にチラっとディーダを見る。
「あ…あぁ…半年後にあるお前達の挙式の1年後に挙げようと思ってるけど…」
ディーダも私をチラっと確認しつつ言うのでコクコクと頷いておいた。
「なら王弟宮に2人の暮らす部屋も用意して問題なさそうだね」
「じゃあ子供は2年ほど経ってから考えましょうか」
ルフィナがほんのり頬を染め微笑みながらシェル王子に告げる。
シェル王子も少し赤くなりながら「そうだね」だなんて返している。
ディーダは全くワケが分かってない様子だ。
「いや…乳母にする気じゃない…」
多分私は真っ赤だ。
「さすがライラ!よく分かったわね」だなんてルフィナはクスクス笑っている。
「ディーダは私の専属護衛騎士でライラは私の妃の専属侍女だから出仕が楽だよ?」
ニコニコと冗談めかして言うがこれはシェル王子の中で確定している時の言い方だ。
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