上 下
18 / 35

18

しおりを挟む
「ディディ…何か痩せた?」
「お兄様…わかります?」

短期遠征からセルディが帰るまでの一週間近く…お母様の『協力』は半端なかった。
(私は頑張るって言ったんだけどな…)
ちょっとどころかスパルタだった。
本当は痩せてほしかったのかと思うほどに。

まず運動だと強い風の中を走る羽目になった。
風はもちろんお母様の魔法。
どっちに向かおうが常に向かい風。逆風。しんどい。
休もうとすると背中をピンポイントで逆の風が押す。
「ディディ、頑張るのよ~」
なんてニコニコと笑顔で手を振られたら何となく頑張らなきゃいけない気になる。

そして食事。
肉は鶏肉、ササミや胸肉ばかり。
スープは美容に良いからと手羽先で出汁を取ったというもの。
サラダは主にトマト、ブロッコリーなどドレッシングやマヨネーズは無しで私が食べられるもの。
そしてパンは消え、変わりに蒸したジャガイモにバターでなく塩。
甘いモノはフルーツのみだがベリーや柑橘系が大半でたまにキウイフルーツがあるかなって状態。
お茶の時間には例の苦ーい緑茶を出される。

今まで朝はクロワッサンから始まりアフタヌーンティーは欠かさずプチドルチェを堪能。
フルーツといえばマンゴーにバナナなど南国系の物が中心で、バターや生クリームたっぷりの玉子料理やスープ、柔らかぁい霜降りステーキ大好き♡

な、食生活で運動もロクにしてなかった私だもの。
効果は超テキメン!
お母様の美容レクチャーもありやつれた感じも無く見事に一回り小さくなった。
一週間で。
一週間で!(大事な事だから二度言う)

短期間に見た目が変わるほど痩せるなんて思ってもなったしそんなつもりも無かった。
デブって言っても前世の日本では時々見かけた程度で、何もテレビで見る海外の人みたいな極端なデブでは無かったハズだ。
ぽっちゃりって言うと厳しいけどワガママボディなら許されるかな的な…このくらいの体型なら看護師さんにもいたしセーフ!とか思ってる程度のデブだったのに!
一週間で!結果出る程の!ダイエット!

多分そんなダイエット、人はとは言わない。

「じゃあ俺も協力するよ!魔法もダイエットに良いと聞いたことがあるし一緒に訓練しようぜ」
「えーーーーー!これ以上動くの!?」
「え?聞いた感じ食事と走り込みだけだろ?まだまだやる余地あるじゃないか」

我が兄ながら美形に育ったなぁ~なんて遠い目をしながらお母様に少し似ているキレイな笑顔を見て思わず遠い目をしてしまった…。

お兄様…なんか若干脳筋になってないかしら…辛い。

でも魔法がダイエットに良いのは確かだろう。
お母様を守るために必死で訓練していた時、私は普通に痩せていた。
今と変わらない量を食べてたって事は年齢を考えると今より食べてたと捉えてもいいんじゃなかろうか。
それでも体型は普通でセルディと大差なかったのだ。

「じゃあ同じ威力の水魔法をぶつけて相殺しあおうか。魔力訓練より効率的だし結構しんどいぞ」
ニコニコと提案してくるセルディ。
5日間とはいえ遠征訓練行ってたよね?疲れてないの?

「お兄様は帰ったばかりですし明日からでも「大丈夫!今日は移動しかしてないからさ!」

心配したのにセリフ被せられたー!そして私が大丈夫じゃないわよー!今でも辛いのにやりたくないー!

そんな心の叫びなんか露知らず「遠慮するな」とスチルのようにキレイな笑顔を向けてくれるお兄様…。
ニコッと返すと1つ頷き、私の腕を引いてタウンハウスの訓練場兼中庭に連れて行こうとするじゃないか。

私の笑顔は『わかった!遠慮しないわ』と脳内変換されたらしい。
正解は『断りたいの!分かって!』なのに。
双子だけどこういったテレパシー無効なの辛い。

こうしてお兄様には結果にコミットする某有名ダイエットジムも真っ青のスパルタダイエットを強いられたのだった…辛い。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢なのかヒロインなのか、まずはそこからが問題だ

霜月零
恋愛
 わたし、マルガレーテ・フォンディーヌ伯爵令嬢は、生死の境を彷徨った拍子に前世を思い出した。  わたしは、前世で好きだった乙女ゲームのヒロインに転生していたのだ。  だが、ちょっと待って欲しい。  わたしは、本当にヒロインなのか?  前世のわたしはweb小説も好きだった。  中でも悪役令嬢が主人公の物語が好きで、軽く三桁は読み漁ったと思う。  悪役令嬢が主人公の物語では、ヒロインは大抵お馬鹿で自業自得で悲惨な目に合う。  もしかしてわたしは、乙女ゲームのヒロインじゃなく、悪役令嬢の物語の当て馬ヒロインだったりしないかしら。  わたしは乙女ゲームのヒロインなのかそうじゃないのか、まずはそこから調べることが必要だと思う。  破滅の未来を引き寄せない為にね! ※小説家になろう様等、他サイト様にも掲載予定です

悪役令嬢役を頼まれたので頑張ってはいるものの、何だか雲行きが怪しいですわ

えながゆうき
恋愛
 この世界を救って欲しいとそそのかされた少女は、『この世界が救われるのなら』と言う強い思いから、ゲーム内で悲惨な最期を遂げる悪役令嬢、『イザベラ・ランドール公爵令嬢』に転生することを決意した。    その答えにほくそ笑む依頼主。    だがしかし、イザベラ・ランドール公爵令嬢には、知る人ぞ知る、開発者の悪ふざけ裏設定が施されていた!?  ゲームの裏まで知り尽くす知識チートと公式チートが、それまでシナリオ通りに進んでいた『ゲームとよく似た世界』をぶっ壊す! 「大丈夫。まだワンアウトよ」 カクヨム、アルファポリスに投稿しています。ワンテンポ遅れて小説家になろうにも投稿予定。

強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します

天宮有
恋愛
 私は魔法が使える世界に転生して、伯爵令嬢のシンディ・リーイスになっていた。  その際にシンディの記憶が全て入ってきて、彼女が苦悩していたことを知る。  シンディは強すぎる魔力を持っていて、危険過ぎるからとその力を隠して生きてきた。  その結果、婚約者のオリドスに婚約破棄を言い渡されて、友人のヨハンに迷惑がかかると考えたようだ。  それなら――この強すぎる力で、全て解決すればいいだけだ。  私は今まで酷い扱いをシンディにしてきた元婚約者オリドスにやり返し、ヨハンを守ろうと決意していた。

えっ、これってバッドエンドですか!?

黄昏くれの
恋愛
ここはプラッツェン王立学園。 卒業パーティというめでたい日に突然王子による婚約破棄が宣言される。 あれ、なんだかこれ見覚えがあるような。もしかしてオレ、乙女ゲームの攻略対象の一人になってる!? しかし悪役令嬢も後ろで庇われている少女もなんだが様子がおかしくて・・・? よくある転生、婚約破棄モノ、単発です。

【完結】乙女ゲームのヒロインに転生したけどゲームが始まらないんですけど

七地潮
恋愛
薄ら思い出したのだけど、どうやら乙女ゲームのヒロインに転生した様だ。 あるあるなピンクの髪、男爵家の庶子、光魔法に目覚めて、学園生活へ。 そこで出会う攻略対象にチヤホヤされたい!と思うのに、ゲームが始まってくれないんですけど? 毎回視点が変わります。 一話の長さもそれぞれです。 なろうにも掲載していて、最終話だけ別バージョンとなります。 最終話以外は全く同じ話です。

醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます

ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。 そして前世の私は… ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。 とある侯爵家で出会った令嬢は、まるで前世のとあるホラー映画に出てくる貞◯のような風貌だった。 髪で顔を全て隠し、ゆらりと立つ姿は… 悲鳴を上げないと、逆に失礼では?というほどのホラーっぷり。 そしてこの髪の奥のお顔は…。。。 さぁ、お嬢様。 私のゴットハンドで世界を変えますよ? ********************** 『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』の続編です。 続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。 前作も読んでいただけるともっと嬉しいです! 転生侍女シリーズ第二弾です。 短編全4話で、投稿予約済みです。 よろしくお願いします。

処刑される未来をなんとか回避したい公爵令嬢と、その公爵令嬢を絶対に処刑したい男爵令嬢のお話

真理亜
恋愛
公爵令嬢のイライザには夢という形で未来を予知する能力があった。その夢の中でイライザは冤罪を着せられ処刑されてしまう。そんな未来を絶対に回避したいイライザは、予知能力を使って未来を変えようと奮闘する。それに対して、男爵令嬢であるエミリアは絶対にイライザを処刑しようと画策する。実は彼女にも譲れない理由があって...

悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。 女神『はい、あなた、転生ね』 雪『へっ?』 これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。 雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』 無事に完結しました! 続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。 よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m

処理中です...