異世界で夢の人気者に!帰りたくないんですけど!

だましだまし

文字の大きさ
上 下
7 / 7

全て元に…にさせない!

しおりを挟む
目が覚めるとちょっと固いベッドの上。
カーテンに囲まれ腕には点滴。
あ、ここ病院だな、とすぐ気が付いた。

周りに誰もいないのでナースコールを押して自分で看護師さんを呼ぶ。
意識障害が無いことを確認され、すぐに来た医師の診察を受けているとバタバタと両親がやって来た。

「このアホタレ!!!気をつけろ!!!」

何がどうなって病院にいるのか聞くと私は3日ほど行方不明になっていたらしい。
コンビニに行くと言ったまま帰らず心配した両親は捜索願まで出していた。

で、昨日の昼間にマンホールに落ちて気絶してる私が見つかったのだそうだ。

蓋が少し割れて躓きそうな穴が空いていたらしいが落ちるほど開いていたわけでないので何故そこに居たかは不明らしい。
取り替え時に発見され、特に外傷もなかったが意識がないので病院に運び込まれ、身元確認の時に届けが出てる人間と判明。
親も今朝私の入院を知ったのだと言った。

当然なんでマンホールの中にいたのかと問われたが私も落ちる感覚はあったけど分からないと答えておいた。
流石に異世界言ってましたなんて言えない。
夢かもしれないし。

一通り検査をされ、脱水すら見られないので即退院オッケーとなり看護師さんの手によって入院着を着せられていたので身に着けていた衣服を返してもらう。
その中に小さな宝石が付いた見知った首飾りがあった。

異世界で初めてもらったファンからのプレゼントだ。
向こうの世界で幸運のお守りだという水滴のようなモチーフに小さな宝石が嵌められた銀の首飾り。
嬉しくて毎日身に着けてるうちに着けるのが習慣になっていた。
2ヶ月間、あまりに毎日着けていたから元の世界から着けていたと思われたのかもしれない。
コレだけ取り上げられていなかったようだ。

「宝石は魔法に干渉するから駄目です!」

持っていこうと貴金属を手にしていた時に言われた言葉を思い出す。
帰還魔法の説明を受けた時、ユニコーンへの返礼品があるから元通りの時間から数分ずれるかもしれないが大きな誤差は無いし元の位置に戻ると聞いた。
なのに3日も行方不明になってマンホールの中にいたのは…もしかしてコレのせい?
鎖をつまみ持ち上げると窓からの光を受けてキラキラ輝く。

夢じゃなかったと教えてくれる。

「私、売れっ子漫画家だったのになぁ~」
なんてポソリと呟くと
「いい夢見てたんだな」
と少し疲れの浮かぶ顔した父親が笑いながら頭に手をのせた。

「私、あと一本漫画を賞に出す。それが全然ダメだったら就職するよ」

コンビニに行くと家を出たあの時から3日しか経ってないはずなのに、明らかに少し老けた両親に向かって気付けばそう口にしていた。

「約束よ!?」
「聞いたからな?」

うわっ!自分でも意識せず出た言葉なのにシッカリ聞かれてた!ヤバい!


しかし、約束の一本はよくある展開なのに実感がこもって感じると、人気雑誌で初めて佳作を取ることに成功し、なんと相談出来る担当者も付いた。
今はデビューに向けて担当さんにダメ出しを受けながら新作に取り組んでいる。

人生が好転したの漫画の内容は実体験って事は秘密だ(笑)
タイトルは
「異世界で夢の人気者に!帰りたくないんですけど!」








読了ありがとうございました!
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波
ファンタジー
小さい時から、様々な召喚獣を扱う召喚士というものに、憧れてはいた。 そして、遂になれるかどうかという試験で召喚獣を手に入れたは良い物の‥‥‥なんじゃこりゃ!? 個人的にはドラゴンとか、そう言ったカッコイイ系を望んでいたのにどうしてこうなった!? これは、憧れの召喚士になれたのは良いのだが、呼び出した者たちが色々とやらかし、思わぬことへ巻き添えにされまくる、哀れな者の物語でもある…‥‥ 小説家になろうでも掲載しております。

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23

その国が滅びたのは

志位斗 茂家波
ファンタジー
3年前、ある事件が起こるその時まで、その国は栄えていた。 だがしかし、その事件以降あっという間に落ちぶれたが、一体どういうことなのだろうか? それは、考え無しの婚約破棄によるものであったそうだ。 息抜き用婚約破棄物。全6話+オマケの予定。 作者の「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹が登場。というか、これをそっちの乗せたほうが良いんじゃないかと思い中。 誤字脱字があるかもしれません。ないように頑張ってますが、御指摘や改良点があれば受け付けます。

ライバル悪役令嬢に転生したハズがどうしてこうなった!?

だましだまし
ファンタジー
長編サイズだけど文字数的には短編の範囲です。 七歳の誕生日、ロウソクをふうっと吹き消した瞬間私の中に走馬灯が流れた。 え?何これ?私?! どうやら私、ゲームの中に転生しちゃったっぽい!? しかも悪役令嬢として出て来た伯爵令嬢じゃないの? しかし流石伯爵家!使用人にかしずかれ美味しいご馳走に可愛いケーキ…ああ!最高! ヒロインが出てくるまでまだ時間もあるし令嬢生活を満喫しよう…って毎日過ごしてたら鏡に写るこの巨体はなに!? 悪役とはいえ美少女スチルどこ行った!?

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。

下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。 豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。 小説家になろう様でも投稿しています。

指令を受けた末っ子は望外の活躍をしてしまう?

秋野 木星
ファンタジー
隣国の貴族学院へ使命を帯びて留学することになったトティ。入国しようとした船上で拾い物をする。それがトティの人生を大きく変えていく。 ※「飯屋の娘は魔法を使いたくない?」のよもやま話のリクエストをよくいただくので、主人公や年代を変えスピンオフの話を書くことにしました。 ※ この作品は、小説家になろうからの転記掲載です。

処理中です...