異世界で夢の人気者に!帰りたくないんですけど!

だましだまし

文字の大きさ
上 下
2 / 7

ただの不運でした

しおりを挟む
「えと…聖女召喚ってやつですか?」
「「「「「は?」」」」」

とりあえず笑顔で人々の方を向いて尋ねたというのに意味わからんって視線がお返事だった。

「えっと…あなたは何故ここに…?我々はこちらのユニコーンの召喚をしていたのですが…」
中央の神々しい馬を示して言われた。でしょーねぇ!?
「いや…考え事しながら道を歩いてたら穴に落ちたっぽくって…気付いたらここでした」

私の返しにザワザワヒソヒソ…いや、私悪くないからね?いや、よそ見してたから悪いのか?
お互い気不味さマックスな中
「あ"ーーー!!!」
と叫び声が響く。
どうしたどうしたと声を上げた見るからに魔法使いな黒っぽいローブを着た人に皆が集まって行ったので私もと近くに行くと「時空に穴が空いてたかも…」と泣きそうな声でその人は言った。

とりあえずお茶でも…とファンタジー世界のイメージ通りの豪華な客室に案内され、しばし待たされ受けた説明によると、ユニコーン召喚の魔法陣に一部書き間違いがあったらしい。
「ただ…その…そちらの世界からも見える穴だったはずなので…何故突如空いた穴なんかに入ってみようと思われたのでしょうか…?」
どうやらぼんやり歩いてなければ避けられたらしい。
「足元の穴だったみたいで…考え事してたから気付かなかったんですよー」
アハハと返す。

沈黙。
めっちゃ気不味い沈黙。

その後私は魔力があるのかどうか等、色々検査やチェックをされたが特に変わった所もない一般人と判断された。
すんごい魔法が使えるとか特殊なスキルがあるとかの定番チート、何にも無かった。

そして、とりあえず時空の穴を開けた責任が異世界側にあるって事で、当面はお城の客室で生活保証するかわりに出歩いたりウロウロするなと言われた。

ヒャッフー!!働かなくていいの!?ダラダラしてていいの!?ラッキー!!


…なんて思ったのは1日だけ。
せっかくの異世界なのに見物も出来ない。
与えられた部屋が広いから室内で運動も出来ちゃうだけにバルコニーくらいしか外に出られない。
言葉は通じるけど文字は読めなかったから本も読めない。
当然ゲームも何もない。

恐ろしいほど暇な生活は3日で飽きた。


「死ぬ!暇過ぎて死んじゃう!」
ご飯を持って来てくれた赤茶の髪をした侍女さん?メイドさん?に必死で訴えかける。
「では…マヤさんは刺繍などはされますか?必要な物を揃えますよ?」

刺繍…ぬぅ…裁縫は苦手だけど何もやること無いよりマシかもしれない…。

「じゃあそれ、お願いします…」
「分かりました。ではこちらを下げる時にお持ちしますね。用意して参ります」

運ばれた食事を取る。
普通に美味しいけど…何かちょっと物足りない。
でも実家暮らしでロクに料理なんかしてなかったから何をどうすればもっと美味しくなるのかなんかさっぱり分からない。
あとそろそろお米が恋しい。
3日かぁ…お父さんとお母さん…心配してるかなぁ…。
あ、ヤバい。ちょっと帰りたい。

今日のお昼ごはんはちょっぴり塩っぱく感じ…るような涙は流してないのだけど、モソモソと食べた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波
ファンタジー
小さい時から、様々な召喚獣を扱う召喚士というものに、憧れてはいた。 そして、遂になれるかどうかという試験で召喚獣を手に入れたは良い物の‥‥‥なんじゃこりゃ!? 個人的にはドラゴンとか、そう言ったカッコイイ系を望んでいたのにどうしてこうなった!? これは、憧れの召喚士になれたのは良いのだが、呼び出した者たちが色々とやらかし、思わぬことへ巻き添えにされまくる、哀れな者の物語でもある…‥‥ 小説家になろうでも掲載しております。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23

王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル

ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。 しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。 甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。 2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。

その国が滅びたのは

志位斗 茂家波
ファンタジー
3年前、ある事件が起こるその時まで、その国は栄えていた。 だがしかし、その事件以降あっという間に落ちぶれたが、一体どういうことなのだろうか? それは、考え無しの婚約破棄によるものであったそうだ。 息抜き用婚約破棄物。全6話+オマケの予定。 作者の「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹が登場。というか、これをそっちの乗せたほうが良いんじゃないかと思い中。 誤字脱字があるかもしれません。ないように頑張ってますが、御指摘や改良点があれば受け付けます。

ライバル悪役令嬢に転生したハズがどうしてこうなった!?

だましだまし
ファンタジー
長編サイズだけど文字数的には短編の範囲です。 七歳の誕生日、ロウソクをふうっと吹き消した瞬間私の中に走馬灯が流れた。 え?何これ?私?! どうやら私、ゲームの中に転生しちゃったっぽい!? しかも悪役令嬢として出て来た伯爵令嬢じゃないの? しかし流石伯爵家!使用人にかしずかれ美味しいご馳走に可愛いケーキ…ああ!最高! ヒロインが出てくるまでまだ時間もあるし令嬢生活を満喫しよう…って毎日過ごしてたら鏡に写るこの巨体はなに!? 悪役とはいえ美少女スチルどこ行った!?

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

処理中です...