命の値段

切愛

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5章 喜びと悲しみ

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それから国全体を上げたパレードが始まった。
大虐殺犯のロベリアの女は死に、再び国土に平和が舞い戻った、と多くの彼女が赴かなかった土地の衛兵は喜び踊っていた。

彼女を模した人形が各地で燃やされ、石を投げられたり切りつけられたりした。

その中には「あー彼奴を俺が殺してりゃあなあ!
200000ゴールドは俺のもんだったのになぁ!
それにしても恋人がいた病院の医者に不意打ちであっさり殺されるなんて、随分つまんねぇ死に方したもんだなぁ!全く戦闘したこともねぇ奴に殺されるなんて、大したこと無かったんじゃねぇの?」と言う者もいた。

彼女に殺された衛兵達の弔いも盛大に行われた。
彼らに家族を殺され嘆き悲しむ者達は首都に飾られた彼女の首を自ら切りつけたり投げ飛ばしたりしている人間もいた。


──そんなお祭り騒ぎから少し遠い、静かな山奥の病院にて。

「そんな、何があったんですか?!
全部、全部話してくださいよ!
なんで僕がこんな高額な治療を受けているんですか?!どこからそんな金が出てきたんですか?!
…彼女は、彼女はどこですか…」

「…分かっている、全て話すよ」

医者は重い重いその口を開け、ありのままを話した。
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