元男子高校生が貴族の令嬢に転生しましたが…どうやら生まれた性別を間違えたようです

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第10話 ミランダもうすぐ18歳・ケイン14歳

ケイン ☆

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「ん……っ」

 項から差し入れられた細い指先に髪を掻き上げられ、親指でクニクニと耳介を嬲られる。
 ゾワゾワと背筋から悪寒が駆け上り、思わず漏らした熱っぽい吐息ごと、合わせた唇に吸い上げられた。

 ピチャ…

 唇の端から溢れる唾液も啜るような勢いで舌先を吸われ、僕は目の前の華奢な体躯にしがみつきながら舌を差し出して、希うように寄り添った。

 クチュクチュ…

 甘噛され、擦り合わされる舌先から体全体に快感が走り、口腔の中から耳奥で響く淫靡な水音に一層興奮を掻き立てられて、まだ幼い僕の性器が期待に昂ぶっていく。
 しかし未成熟な子供の性器はその欲望を放出する術を知らないため、ただただ昂りを溜め込んでいくのでもどかしく、蓄積されていく熱で体が火照ってたまらない。

「んちゅ…っ…ね…さまぁ…あつい…」

 長いキスの合間に、辛うじて発することができた言葉だったが、姉さまは僕の耳元で「クス」と小さく笑っただけで何も言わず、頬に口づけを落した。

 姉さまは、やたらとキスが上手い気がする。
 いや、キスだけじゃない。
 彼氏居ない歴=年齢の12歳にしては、こういうこと全般にどこか手慣れているような気がするのだが……一体どういうことなのか?
 これが才能ってやつなのだろうか?
 それとも僕には秘密にされてるけど、実はそういう相手が……

 考え出すと不愉快な結論に達してしまいそうな予感がしたが、ふと浮かんだ疑問も湧き上がりかけた嫉妬も、胸元に差し入れられた指先で固くなった乳首をコリコリ掻かれ、下着越しに性器を揉み込まれて霧散した。

「気を散らさないで、集中して?」

 まるで僕の思考を読んだみたいなセリフを耳元で、少し拗ねた様に囁かれてドキリと鼓動が跳ねると、両手で頭を固定され口を軽く開かされた。
 そして、覆いかぶさるように唇を食まれ、舌を挿入されると、僕は再び夢中になって舌を絡ませた。

「ふふふ……もっとよ。…あまい…」

 口の端を溢れる唾液を啜りながら欲情して頬を染める姉さまに見つめられると、胸がキュッとして、甘くて切なくて…幸せな気持ちになる。
 そして、トロトロに蕩けるような幸福感に浸りながら互いの温もりを分け合うと、一人ぼっちになった時の心細い気持ちが無くなっていくのだけど、快楽に弱い僕は心も体も責め立てられると、あまり長いこと耐えられない。

 そうして、口腔内で一番弱いところ…上顎のあたりを念入りに舌でなぞられ、同時に項や耳を指先でなで上げられると、嬌声すら奪われるように、貪られながら高みに昇らされた。


 僕は姉さまに求められ、貪られる様なキスでイカされるのも大好きだった。


 その後、絶頂の余韻でビクビクと震える体を受け止められ、姉さまの肩に寄り掛かりながらハァハァと息を切らせていたのだが、僕がうっとりとキスの余韻に浸っている間に背後に回られており、気が付くと

「あっ…あっ…あっ…だめ……」

 後ろから白魚のような指で乳首と性器を責められて、首筋から耳元を舐めしゃぶられ、もう何も考えられなくなっていた。

「ケイン、きもちい?」

 耳元で囁かれながら姉さまの甘い香りに包まれて、背中にもたれた姉さまの柔らかいおっぱいとその中心の尖りが擦れる刺激を感じると、敏感な僕の体はソレだけでイキそうになる。

 僕とあんなエロいキスをしながら乳首を勃たせてたなんて考えると、鼻血が出そうなほど興奮しちゃうじゃないか。

 その上、すっかり性感帯として開発された乳首を転がされ、固く昂ぶった性器を扱かれしまえば、もう…もう…昇天待ったなしですわ。

 男として、いくら相手が年長な姉だとしても、いつまでもヤラれっぱなしでは情けないと思わなくもないが…
 大体にして、この体は感度が良すぎるのだ。

 男なのにロクに開発もしてない乳首責めでビクビクしちゃう体なんて、誰得!?
 こんなん、快楽耐性の低い陰キャ中二病の魂を持つ僕が耐えられる訳無いじゃん!

 そう思った所で、『どこもかしこも感じちゃう♡』BL総受け体質という呪いを変えられる訳もなく…
 自分で姉さまの体を可愛がりたいと思うのに、いつもいつも何度もイカされてグズグズになり、最終的に「もうらめぇ…」とすすり泣きながら許しを請うのだ。

 姉さまとの戯れも、7:3位の比率で攻守が変わるのだが、もちろん僕が7責められている。
 しかし、時々逆転出来る3の時は本当に嬉しかったのだけども…責められるのも実は嫌いじゃない…というか、執着されてる気がして嬉しかった。

 まあ、姉さまとイチャイチャ出来るなら、もうどっちでもアリに調教されたとも言えるけど…深く追求はしない

 あまり認めたくなかったが…根本的に僕はM属性なのかもしれないし…もちろん姉さま限定で。
 いくら受け体質でも、ここは譲れん。
 だって、僕が涙や喘ぎ声を堪えながら、ビクビクと震えて快感に耐える僕の耳元で

「ふふふ、ケイン、かわい」

 なんて、鼓膜も震えるほど至近距離で熱っぽく囁く艶のある声も好きだったから。

 すみません、快楽に弱くて。
 きもちいこと、好きすぎてごめんなさい。
 エロ可愛い姉さま大好きで申し訳ありません。

「んぁっ…ねえさま…ねぇさま……だいすき…もっと……ンぁっ!」

 耳朶を甘噛されながら、グリグリと昂ぶった性器を揉みしだかれ、胸を弄られている内に徐々に快楽が高まって…ゾワゾワと快感が腰を駆け上がっていく。
 絶頂が間近に迫っていることを感じて、全身に力が入っていく。

「あっ…あっ…もう、イクっ…!!」

 僕は姉さまに導かれるまま、高みに登ろうとしていたのだが……突然ゾクリと背筋に駆け上った悪寒で飛び起きた。




「…………え、アイザック……先生?」

 一瞬、自分がどこで何をしていたのか理解ができず、突っ伏していた机から体を起こしてキョロキョロと見回すと、思った以上に近い所で目が合った家庭教師の名前を呟く。
 先生は、僕の耳元に顔を寄せた体勢のまま動くこともできずに驚いているようだったが、一瞬目を左右に泳がせたと思ったら慌てて僕から離れて咳払いをした。

 …僕、変な寝言、言ってなかったよね…?

 完全にアカン夢を見ていた後ろめたさと、イキ場を失った息子から、もぞもぞと下半身が落ち着かない。
 幸い夢精する程ではなかったものの、その余韻がまだ残っていて、思わずやや前かがみになったまま、上体を起こすタイミングを見計らっていた。

 いくら男性教師相手でも、勉強部屋でうたた寝しながら夢精とか…、バレたら恥ずかしくて死ねる。
 まして、先生から父親や姉さまに報告が行くようなら、僕は一生地下牢で引きこもって世捨て人になる。

 なんてバカバカしい決意をしながらも、僕は不自然な動きに見えないよう、存在を主張している下半身が机の上から見えないよう、ジリジリと少しずつ体を机に寄せていく。

 よし、これだけ机にお腹をくっつけていたら、上から僕の下半身事情などわかるまい。

 僕は、椅子に辛うじてお尻を乗っけた状態で、自然な動きに見えるようゆっくりと机に両肘をついて、机の縁にお腹を寄せた。

 先生は、そんな僕に気づいているのか居ないのか、何事もなかったかのように、手に持ったテキストに視線を落とすと、僕の机の斜め前…少し離れた位置に置いてある、先生用の椅子に座った。

「いや、そろそろ私の授業を始めようと思ったのだが、気持ちよく眠っているようだったので……。
 肩を揺すって起こそうとしただけだ。
 取り敢えず寝起きの気持ちを切り替えるために、一度手洗いで顔を洗ってきなさい」

 授業と授業の合間の空き時間に居眠りをしてしまった僕を起こそうとしただけだったと言いながら窓を開け、先生は再び「コホン」と咳払いをした。

 ポカポカ陽気な日差しで、室温が高いと思ったらしい。

 落ち着いて僕の答を待つ中年男性教師の姿に申し訳ないと思い、心から謝罪して、その素敵な提案に前のめりに乗っかった。

 いや、体勢ではなく気持ちの話ね。

 当然体勢だって、このまま前かがみの状態で授業なんて出来るわけがない。

「すみません、お待ちしている間に、ついうたた寝してしまいました。
 起こして頂いて、ありがとうございます。
 仰るとおり顔を洗ってきますので、少々お待ち下さい」

 割と臨界点ギリギリの状態ではあったものの、最低限の貴族子弟らしい丁寧な言葉を心がけ、僕はアイザック先生に一礼して退室させてもらったのだが、焦って急ぎ過ぎたためか、洗面所に着く頃には汗ばみながらもじっとり濡れた首筋が急に気持ち悪くなってきた。

 もちろん…手洗いに駆け込んですぐ、強制的に欲望をブッパして最速で賢者モードに移行した事は、察しの良い読者の皆様には、言うまでもないだろう。

 そしてスッキリした気分で顔を洗い、首筋の汗を拭いながら…鏡に映る首元を寛げた自分の姿にちょっとした違和感を感じたが…僕は何も気づかなかった体で再び念入りに首筋をタオルで拭き上げてボタンを掛け直し、すぐに授業に戻っていった。

 部屋の中に入ると、すっかり換気された部屋の中は少し肌寒い位に空気が冷えていた。




 最初は隔離されての放置・飼い殺しとなることも覚悟していた。
 そうなったら、いずれ折を見て逃げ出せばいいとも思っていたので。

 しかし、優しい姉さまの提言により、ここに住むことになってから僕専用の教師が呼ばれ、貴族の子弟として最低限の勉強をさせてもらっている。
 侯爵家の子息としてお披露目されることなんてないと思うけど、この様ななんちゃって中世ヨーロッパ風の世界で教育を受けられる機会がどれ程貴重かなんて、僕は前世の知識として…この国の住民としてもよくわかっていた。

 高等な教育を受けられる贅沢…それはおよそ庶民には叶えられないモノだったし、いずれこの家を出された後でも何とか身を立てて生活していけるように備えたかった。

 なので、真剣に授業に臨む僕は、良い生徒だろうと自分で思う。
 前世ではあまり好きではなかった勉強だったけど、必要だと実感できれば真剣に取り組めるものなのだ。
 例え教科が、地理、歴史、社会情勢、外国語、算術、礼儀作法、魔術……などなど、微妙に馴染みのないものが含まれていたとしても、僕は真剣に授業を受けた。

 勉強を頑張って、姉さまに褒めてもらいたかった…という下心も否定しないが。

 とはいえ、学校ではなく個人的な家庭教師と二人っきりで授業が行われることに不安がなかったわけじゃない。
 この呪われた体質故に、密室で家庭教師もののAV (もちろん僕が襲われる方) みたいな展開はマジで避けたかった。
 なので、僕を襲うことが無さそうな先生たちを紹介された時、心の底から安堵したのだ。

 なぜなら、子育てを終えて一段落した有閑マダムの女教師や、孫の成長が何より楽しみというお年寄りの学者先生、嫁と子供が生きがいだという完全ノンケの大学講師たちで構成される教師陣で、僕はほんっとうに安心した。

 ちなみに、アイザック先生はノンケ講師枠に入る。
 30歳と男盛りの年齢であるものの、人の良さそうな知的な笑顔で、空き時間に嫁自慢やら息子自慢やらが止まらない、子煩悩な愛妻家なのだ。
 実家は兄が男爵位を継いでおり、先生はそこの3男坊だったそうで、大好きな歴史を研究するべく大学で講師として働きながら、バイトとして貴族子弟の家庭教師をして妻子を養っている。

 その彼は、今、教師の定位置である椅子に座って、何事もなかった様にテキストの書籍をパラパラと捲っていたが、心ここにあらずといった風情で、内容を理解しながら読んでいる様には見えなかった。

 しかし、僕の気配を察知して……すっかり冷静になった僕の姿に気づいて顔を上げると、優しそうな顔で微笑んだ。

「おかえり。 気分は悪くないようだね」

「すみません、お待たせしました。
 では、今日の授業をよろしくお願いします」

 優しく声を掛けてくれる先生に謝罪して、僕はそう言って一礼すると、静かにさっきまで座っていた椅子に腰掛ける。

 先程まで部屋に充満していた濃密な空気が霧散しており、開かれた窓から入り込む、爽やかな風を頬に感じて先生と目を合わすと、うっすら目元が赤く染まっていた様に感じたが、僕は何も気づかない素振りで微笑んだ。

 僕に微笑まれた先生が一瞬息を飲んだ気配を感じて、より一層微笑みが深くなり、心のなかで呟いた。


 ごめんね、先生。


 最近見かけるようになった、見知らぬ子息達や姉さま達の様子を思い出し、胸の奥にグルグルとトグロを巻くものの気配を感じながら、表情には一切出さないよう、気持ちを抑制する。

 僕も大概、この世界に毒されているのかも知れない。

 何事もなく授業を始めるアイザック先生の声を遠くに聞きながら、真剣に授業を受ける生徒の顔をして、机の下でギュッと両手を握りしめた。
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