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国境へ
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「間もなく検問に入る」
ローウェンが私の耳元でソッと囁いた。
私は、ギュッと手を握りしめて気合いを入れる。
緊張で顔が強ばってしまうのは仕方ないことだと思う。
ローウェンも私の緊張感が伝わったのか、手を包み込んで、おでこにチュッとキスを落とした。
「そんなに緊張してると却って疑われちゃうからね?力抜いて」
ニコリと微笑む顔に、キュンと胸に突き刺さる。
ローウェンは本当にカッコいい!
「う、うん」
私は、握っていた手を広げて、ブラブラとさせて緊張がほどけてることに気付いた。
やっぱり、ローウェンがいると落ち着くな。
何となく大丈夫って思えるから不思議。
検問には、イリードの兵士がかなり多くいて、検問に時間をかけていたけど、カーゴイルの商会はやはり有名で、検問も簡易的なものだった。
ただ男性の髪と瞳のチェックは細かく見ていて、ローウェンの茶髪は染めていることに気付かれていなくてホッとした。
そんなわけで、無事に検問を通過し、国境を超えることができた。
「わぁ!ついにアルソードに着いたのね!」
私は、歓声を上げた。
ついに、私達は、イリードを抜け出せたのだった。
私は、まだアルソード国を何も知らないけど、ローウェンが住んでる国だと思うと、楽しみだなって思った。
どんな人達が住んでいるのか、どんな食べ物があるのか、異世界のこの国で、私は生きていく覚悟が出来ているとはまだ言えないけど、好きになる努力はしていきたい。
とりあえず、大きな都市まで行って、ローウェンの伝手を頼りに働かせてもらって、お金を稼がなきゃね!と
働く意欲も湧いてきた。
アルバートが御者を引き受けてくれてるので、馬車の荷台には、私とローウェンの二人きりだ。
冒険者二人のうち、1人ずつ配置されるはずだったけれど、ローウェンが私と二人きりがいいとグズったので、こういう配置となった。
冒険者の二人は、苦笑いしていたけど、ちょっとホッとしていたようにも見えたのは、ローウェンが貴族だからかなって思う。
「ローウェン、今から向かうところは大きな都市だったりする?」
「ああ、中央にあるこの国一番の大都市だから、かなり大きいよ」
「わぁ、じゃ私でも働けるとこありそうね!」
私が嬉しそうに言うと、ローウェンがピクリと固まってしまった。
「ローウェン?私が働くの難しいかな?」
「あ、んー?そういえば、伝手を紹介するって言ってたね。レイナはどんな仕事をしたいの?」
「できれば、医療に関わる仕事につきたいけど、ここは怪我をすると教会に行くと言ってたし、あまり私が役に立つことは難しいと思うの。だからとりあえず、働かせてもらえるところがあるのであれば極力文句は言うつもりないのよ」
ローウェンが、フムフムと頷いて、ニコリと笑った。
「レイナにいい仕事があるよ」
「ほんと?どんな仕事?」
「僕のお嫁さん」
「!?」
「僕と結婚して欲しい」
それって、プロポーズ?
「お、お、落ち着いて!」
「落ち着くのはレイナだよ」
クスリと笑うと、ローウェンが私の両手を握った。
「僕は、本気だよ。君を一時も離したくない。君が望む物は僕が全部叶えるよ。ただ、外に働かずに、僕の側にずっと居て欲しいんだ」
ローウェンは、真剣だった。
私を望んでくれている・・。
ローウェンが私の耳元でソッと囁いた。
私は、ギュッと手を握りしめて気合いを入れる。
緊張で顔が強ばってしまうのは仕方ないことだと思う。
ローウェンも私の緊張感が伝わったのか、手を包み込んで、おでこにチュッとキスを落とした。
「そんなに緊張してると却って疑われちゃうからね?力抜いて」
ニコリと微笑む顔に、キュンと胸に突き刺さる。
ローウェンは本当にカッコいい!
「う、うん」
私は、握っていた手を広げて、ブラブラとさせて緊張がほどけてることに気付いた。
やっぱり、ローウェンがいると落ち着くな。
何となく大丈夫って思えるから不思議。
検問には、イリードの兵士がかなり多くいて、検問に時間をかけていたけど、カーゴイルの商会はやはり有名で、検問も簡易的なものだった。
ただ男性の髪と瞳のチェックは細かく見ていて、ローウェンの茶髪は染めていることに気付かれていなくてホッとした。
そんなわけで、無事に検問を通過し、国境を超えることができた。
「わぁ!ついにアルソードに着いたのね!」
私は、歓声を上げた。
ついに、私達は、イリードを抜け出せたのだった。
私は、まだアルソード国を何も知らないけど、ローウェンが住んでる国だと思うと、楽しみだなって思った。
どんな人達が住んでいるのか、どんな食べ物があるのか、異世界のこの国で、私は生きていく覚悟が出来ているとはまだ言えないけど、好きになる努力はしていきたい。
とりあえず、大きな都市まで行って、ローウェンの伝手を頼りに働かせてもらって、お金を稼がなきゃね!と
働く意欲も湧いてきた。
アルバートが御者を引き受けてくれてるので、馬車の荷台には、私とローウェンの二人きりだ。
冒険者二人のうち、1人ずつ配置されるはずだったけれど、ローウェンが私と二人きりがいいとグズったので、こういう配置となった。
冒険者の二人は、苦笑いしていたけど、ちょっとホッとしていたようにも見えたのは、ローウェンが貴族だからかなって思う。
「ローウェン、今から向かうところは大きな都市だったりする?」
「ああ、中央にあるこの国一番の大都市だから、かなり大きいよ」
「わぁ、じゃ私でも働けるとこありそうね!」
私が嬉しそうに言うと、ローウェンがピクリと固まってしまった。
「ローウェン?私が働くの難しいかな?」
「あ、んー?そういえば、伝手を紹介するって言ってたね。レイナはどんな仕事をしたいの?」
「できれば、医療に関わる仕事につきたいけど、ここは怪我をすると教会に行くと言ってたし、あまり私が役に立つことは難しいと思うの。だからとりあえず、働かせてもらえるところがあるのであれば極力文句は言うつもりないのよ」
ローウェンが、フムフムと頷いて、ニコリと笑った。
「レイナにいい仕事があるよ」
「ほんと?どんな仕事?」
「僕のお嫁さん」
「!?」
「僕と結婚して欲しい」
それって、プロポーズ?
「お、お、落ち着いて!」
「落ち着くのはレイナだよ」
クスリと笑うと、ローウェンが私の両手を握った。
「僕は、本気だよ。君を一時も離したくない。君が望む物は僕が全部叶えるよ。ただ、外に働かずに、僕の側にずっと居て欲しいんだ」
ローウェンは、真剣だった。
私を望んでくれている・・。
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