可愛いあいつは男の娘

ケセラセラ

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側に居たい

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部活の終わり、荷物を取りに教室に戻ると、井上翔の勉強机がやけに目に入る。

今日1日ずっと意識していた。だけど、井上は、何かを言いたげに見つめてくると、嫌いだとか、こっちを見るなと言われるのかと恐れ、目が合わせられない。

こっちに向かって来られるとつい逃げてしまった。

俺は、井上の机の前まで行くと、昨日のことを思い出した。
「ーごめん。はぁ、俺はバカだ」
昨日の勝手な振る舞いで泣かせてしまったこと、今日は、勇気が持てなくて逃げ回っている。無様だなぁ。


「山崎、俺の机に何か用か?」

居ないと思っていた相手の声が聞こえ、俺はビクンと震えた。

きっと、昨日のことをボロカスに言いに来たのだろう。そうだ、井上には文句を言う権利がある。俺は逃げてはいけない。
俺は覚悟を決めた。

決めてはずだったが、井上を前にすると勇気がショボンと落ち込んだ。
やはり無理だ。
俺は、言いたいことを言って逃げるように背を向けると、井上が逃げるなと言う。
しかし、井上は怒ってはいるようだが、嫌ってはいないようだった。
俺が側に居ないとおかしくなる?
それは、告白のように聞こえてしまうのは俺の都合がいい解釈なのだろうか?

つい可愛いと誉めると、赤くなって怒ったが、どの顔もいちいち可愛い過ぎる。
井上は、俺をどうしたいのだろう?

もう可愛いくて、抱きしめてキスをしたくなっているのは、俺の反省が足りないのだろうか?
でも、こんな気持ちになるのは井上が可愛い過ぎるのが悪いのではないだろうか?

そうだ、井上が悪い。

抱きしめてもいいか聞いて見よう。
ダメと言われた。
キスしてもいいか聞いて見よう。
やっぱりダメか。
翔と呼んでもいいか聞いてみた。
いいと言ってくれた。

翔、翔、ショウ。


はぁ、やっぱり俺は堪え性のない男だ。
抱きしめるのはダメと言われたのに、我慢が出来ない。

「ショウ、好きだ。ずっと側に居させてくれ」
抱きしめながら、耳元で囁くとショウは耳を真っ赤にさせて、怒った顔になったかと思ったら、口元がニマニマしたり、百面相になっている。


俺は、この素直じゃないこの男が俺のところまで落ちてくるのは、そう遠い未来ではないと確信した。

「はぁ、やっぱり可愛いな、キスしてもいいか?」
「ば、バカ!き、聞くなよ」
え、聞かなくてもしてもいいという許可か?

思ったよりも待たなくても良さそうだな、と俺は嬉しくなり、翔の顎を上に向けさせると、ペロリと唇を舐め、翔の文句を言いそうに口を開けた瞬間に舌を差し入れた。
初めての経験だが、どうしたら翔が気持ちよくなってくれるんだろうと考えながら、舌を絡めてみたり、ツンツンと刺激したり、翔の様子を伺いながらキスを深めていくと、翔は、呼吸が少しずつ荒くなり、目がトロンとしてきた。
たまに、声がかすかだが、刺激すると漏れ出てる。

腰に俺は、つい膨張した息子を押し付けてしまったが、翔はビクンと快感に震えたようだった。

うっ、やり過ぎただろうか?
翔の色気が半端なく、俺はここで翔の全てを奪ってしまいそうだ。
しかし、高校の教室なんて、いつ誰が来るかわからない。
このキスも見られたらかなりヤバいだろう。

俺は、理性を総動員して、翔から離れた。
翔は、まだ夢心地のようで目がトロンとしたままだ。
おい、俺を煽ってるのか?
翔の扇情的な色気に俺はかなりキツイ。

「翔、悪いな。帰るか?」
俺が無理して冷静を装って聞くと、翔はパッと目を見開いて、見る見る顔を赤くしたり青くしたりとかなり忙しい。

多分、色んなことを考えているのだろう。
口をパクパクさせて、何か文句を言おうとしては失敗してるらしい。

はぁ、俺をどれくらい惚れさせたら気がすむんだよ。
ーもう、何を言われても、離れてやれないな。

俺は、可愛い翔の額にチュッとキスを落とし、文句を言う翔を宥めながら、幸せな気持ちでこれからの2人の未来を想像して優しく微笑んだ。



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