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序章ー転移ー
03 追放されるだけで三話かかる作品って珍しいのか珍しく無いのか分からん。
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いやぁあああああああああああッ!!
と、心の中で叫びながら、恐る恐る顔をあげる。
そこにある王様の顔は……
ものすごく苦々しかった。
ていうか、さっきまでクールキャラやってたのに結局雑魚キャラとか、とんだ赤恥だ。色々やったのに損した。
例えばこれが“レベル0から成り上がる何たらかんたら”という作品の中の出来事だとしたら、俺の恥ずかしい心情まで筒抜けなので余計死にたくなる。
まぁ、ここは現実だからあくまで想像だが……。
「……うーむ。レベルが“0”という事は、これから努力しても能力は上がらないということ。魔王軍との戦に投じても、生きて帰って来れるかどうか……」
王様がぶつぶつ言っているが、結局の所役立たずをどう穏便に追放させるか悩んでいるだけだろう。
何故ならどんなに強力な能力を持っていたとしても、無事に帰れる保証なんて無いのだから……。
「……うむ。決めた。君は魔王軍との戦いに参加しなくとも良い。ここから立ち去って構わんぞ」
やっぱり追放するんじゃねぇか。
やり方はだいぶ穏便だし、めちゃくちゃ疎まれる感じでは無かったが、こんな遠回しに戦力外通告されても割と傷つく。
「安心しろ! 魔王は俺が倒すからな!」
左の人に肩を掴まれそう言ってもらうも、俺は殆ど放心状態だった為耳に入らない。
しかし、辺りでコソコソ話している騎士達の声は気になって仕方が無かった。
「では……君、彼を門まで送ってあげなさい」
王様が指定した騎士が、鎧を鳴らしつつ傍に寄る。
だいぶくぐもった声で「こっちだ」と言われ、項垂れつつもその通り行動した。
大扉を抜けると廊下があり、かなりの広さと奥行があったが、今はそれを堪能出来る心の余裕は無い。
いや、マジでこれからどうなるんだ俺?
「……災難、でしたね。まさか召喚に巻き込まれてしまうなんて」
「……え?」
思わぬワードに、思わず聞き返す。
「貴方だけ他の方のステータスが明らかに違います。恐らく何かの拍子に召喚に巻き込まれてしまったと考えるのが妥当かと」
成程。確かに小説サイトでもその手の作品は沢山ある。
しかし俺は何の証拠も無いが、そうでは無いという引っかかりのようなものを感じていた。
煮え切らない感傷を覚えていると、耳障りで聞いたことの無い笑い声が響いてくる。
「ぶぁはははっ! なるほどなるほど。貴様、勇者ですらないのか!」
力無く振り向くと、そこには見てくれだけは美少年な貴族が仁王立ちしていた。
……なるほど。
小説においては主人公に感情移入し易いように、こういった性格の悪いキャラを出す事がある。個人的には王様がその枠に収まることが多い印象だが、あの人はあんまり性格悪そうじゃないので、明らかにこっちがその枠だろう。
と、そんな謎の納得に何度か頷いていると、目の前の貴族君が胡乱気な目でこちらを見てくる。
「な、なんだ貴様。何を頷いている?」
「いやまぁ……お前も不憫なヤツだなぁと……」
「どういう意味だ!?」
無論、現実であるこの世界においては、神である筆者によって作られた性格ではなく、両親や周りの環境により構築された性格であると思われるが……。
やはり、どの世界でも“こういうの”は居るのだろう。俺自身、小学校や中学似通っていた時も、馬が合わないだけで突っかかれた経験もある。
「妙なヤツだ。ぱっとしない顔に傾いた服装、我がディッセル王国の王城に入るに最も適してない癖に、勇者というだけで踏み入れてくるとは……まぁ、実際は勇者ですらなかったがな」
その言葉に、俺は眉をぴくりと動かす。
「おいおい、こっちだって来たくて転移して来たワケじゃないっての。んな事言うならとっとと元の世界戻せや。ま、どーせ無理なんだろうけど」
「なんだ、この俺に向かってその口の聞き方は。痛みを持って教育してやろうか?」
「んだとコラ。お前こそこの勇者に向かって何様だよ。言っとくけどお前らが勝手に非勇者呼ばわりしてるだけでホントの事は分かってないんだからな」
「口だけは減らんようだな! いいだろう、貴様は絶対に勇者などでは……」
「お、お二人共その辺で……」
そこまで口にした所で……。
大地を揺るがす大揺れが、俺たちに襲いかかった。
と、心の中で叫びながら、恐る恐る顔をあげる。
そこにある王様の顔は……
ものすごく苦々しかった。
ていうか、さっきまでクールキャラやってたのに結局雑魚キャラとか、とんだ赤恥だ。色々やったのに損した。
例えばこれが“レベル0から成り上がる何たらかんたら”という作品の中の出来事だとしたら、俺の恥ずかしい心情まで筒抜けなので余計死にたくなる。
まぁ、ここは現実だからあくまで想像だが……。
「……うーむ。レベルが“0”という事は、これから努力しても能力は上がらないということ。魔王軍との戦に投じても、生きて帰って来れるかどうか……」
王様がぶつぶつ言っているが、結局の所役立たずをどう穏便に追放させるか悩んでいるだけだろう。
何故ならどんなに強力な能力を持っていたとしても、無事に帰れる保証なんて無いのだから……。
「……うむ。決めた。君は魔王軍との戦いに参加しなくとも良い。ここから立ち去って構わんぞ」
やっぱり追放するんじゃねぇか。
やり方はだいぶ穏便だし、めちゃくちゃ疎まれる感じでは無かったが、こんな遠回しに戦力外通告されても割と傷つく。
「安心しろ! 魔王は俺が倒すからな!」
左の人に肩を掴まれそう言ってもらうも、俺は殆ど放心状態だった為耳に入らない。
しかし、辺りでコソコソ話している騎士達の声は気になって仕方が無かった。
「では……君、彼を門まで送ってあげなさい」
王様が指定した騎士が、鎧を鳴らしつつ傍に寄る。
だいぶくぐもった声で「こっちだ」と言われ、項垂れつつもその通り行動した。
大扉を抜けると廊下があり、かなりの広さと奥行があったが、今はそれを堪能出来る心の余裕は無い。
いや、マジでこれからどうなるんだ俺?
「……災難、でしたね。まさか召喚に巻き込まれてしまうなんて」
「……え?」
思わぬワードに、思わず聞き返す。
「貴方だけ他の方のステータスが明らかに違います。恐らく何かの拍子に召喚に巻き込まれてしまったと考えるのが妥当かと」
成程。確かに小説サイトでもその手の作品は沢山ある。
しかし俺は何の証拠も無いが、そうでは無いという引っかかりのようなものを感じていた。
煮え切らない感傷を覚えていると、耳障りで聞いたことの無い笑い声が響いてくる。
「ぶぁはははっ! なるほどなるほど。貴様、勇者ですらないのか!」
力無く振り向くと、そこには見てくれだけは美少年な貴族が仁王立ちしていた。
……なるほど。
小説においては主人公に感情移入し易いように、こういった性格の悪いキャラを出す事がある。個人的には王様がその枠に収まることが多い印象だが、あの人はあんまり性格悪そうじゃないので、明らかにこっちがその枠だろう。
と、そんな謎の納得に何度か頷いていると、目の前の貴族君が胡乱気な目でこちらを見てくる。
「な、なんだ貴様。何を頷いている?」
「いやまぁ……お前も不憫なヤツだなぁと……」
「どういう意味だ!?」
無論、現実であるこの世界においては、神である筆者によって作られた性格ではなく、両親や周りの環境により構築された性格であると思われるが……。
やはり、どの世界でも“こういうの”は居るのだろう。俺自身、小学校や中学似通っていた時も、馬が合わないだけで突っかかれた経験もある。
「妙なヤツだ。ぱっとしない顔に傾いた服装、我がディッセル王国の王城に入るに最も適してない癖に、勇者というだけで踏み入れてくるとは……まぁ、実際は勇者ですらなかったがな」
その言葉に、俺は眉をぴくりと動かす。
「おいおい、こっちだって来たくて転移して来たワケじゃないっての。んな事言うならとっとと元の世界戻せや。ま、どーせ無理なんだろうけど」
「なんだ、この俺に向かってその口の聞き方は。痛みを持って教育してやろうか?」
「んだとコラ。お前こそこの勇者に向かって何様だよ。言っとくけどお前らが勝手に非勇者呼ばわりしてるだけでホントの事は分かってないんだからな」
「口だけは減らんようだな! いいだろう、貴様は絶対に勇者などでは……」
「お、お二人共その辺で……」
そこまで口にした所で……。
大地を揺るがす大揺れが、俺たちに襲いかかった。
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