君と番になるその時は

鈴卜優

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幸せの行方

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事の始まりは些細な事だった。


湯浴みをし、寝室に行くといつもは起きているシオンが寝ていたのだった。

疲れているのかと思い、シオンをそっとベッドへ運ぶ。


まあそういう日もあるよな。と思うだけだったのだが、それは数日も続いたのだった。


シオンは朝起きると申し訳なさそうに謝るので避けられているわけではないらしい。


想いが通じた今、レイフォードは夜の情事を大切にしているしできるものならしたい。

でもシオンを起こしてまでしたいとは思わない。


シオンは変わらず愛を伝えてくれている。

レイフォードはもうシオンがいない人生は考えられない。


「シオン、どうした?食べないのか?」


今は共に朝食を食べている。それなのにシオンはあまりお皿に手をつけていない。

「あ、なんだか食欲がなくて…。」


「大丈夫か?」


「具合が悪いとかではないのです。」

「そうか。無理しなくていい。」


レイフォードはメイドのクララにシオンの体調を気遣うように指示をする。


そうして数日経った頃、クララから念の為、一度医者にかかったほうがいいと助言を受けたのだった。


(何か病気なのか…。)

クララによるとシオンは食欲がなく、活発なシオンが最近はぼーっとしすぐうとうと寝てしまうようだった。


「シオン、一度医者に診てもうおう。」

「そんな!?僕、なんともありませんよ?」

「いや、食欲がないのは気になる。念の為だ。」



そう言って王宮に医者に来てもらい診てもらう。

その間にもシオンに何かあったらと気が気じゃなかった。


「おめでとうございます。ご懐妊です。」


その言葉に2人はぴしっと固まる。


「な、なんだ?」

「この感じは2ヶ月と言ったところです。」


レイフォードはそう言われ不安から一気に喜びに変わる。



そしてシオンは泣いていた。

「レイフォード様との子ども?…嬉しい。」


そう言ってレイフォードを見て微笑んだ。


その顔を見てレイフォードはシオンを愛おしく感じる。


「シオンありがとう。愛している。」


そう言ってシオンに口づけを落とす。


「レイフォード様!お医者様の前ですよっ!」

顔を真っ赤にして焦っているシオン。


医者なんかどうでもいい。
今はシオンに愛の言葉を伝えたい。



愛などいらないと思っていた自分。


2人の愛の結晶がシオンのお腹に宿っている。


「俺は幸せだな。」



レイフォードはそう呟いたのだった。


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感想 2

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みんなの感想(2件)

ノア吉
2023.11.30 ノア吉

はじめまして
本日こちらの作品を見つけ最新話まで読まさせていただきました😊
シオン幸せになって良かったです
そして番になるだけでなく懐妊まで
どんな赤ちゃんが産まれてくるのか想像しながら読みとても幸せな気持ちにさせていただきました(*´ω`*)

鈴卜優
2023.11.30 鈴卜優

感想ありがとうございます🥹
子供の話もまた追加できたらと思いますので良かったら楽しみにしていてください!

解除
マイルアポ
2023.10.31 マイルアポ

2人が幸せになって良かったです^_^
番外編も楽しみにしています!!

鈴卜優
2023.11.01 鈴卜優

わ!マイルアポさん!今回も読んでくださりありがとうございます!!(^^)この後も楽しんでいただけるよう頑張ります!

解除

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