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艶やかな君は
しおりを挟む今日はウィンザード皇国、特産のワイン解禁日。
国中の民は毎年パーティーを開きその年のワインを楽しむ日である。
かくしてシオンと2人で今年のワインを開け部屋で飲むことにしたのだ。
今年は豊作で味わい深いフレッシュなワインに2人は気づかぬ内に一本開けていた。
「ん~ふふふ、美味しいですね~」
シオンは少しニコニコとして上機嫌だ。
成人したばかりのシオンはまだ数回しかお酒を飲む機会がなく心配していたが、案外いける口なのかもしれない。
…と思っていたがどうやらそうではなかったみたいだ。
「ふふ、レイフォード様どうぞ?」
そう言ってシオンはふらふらとしながらワインを注ぐ。
「お、おい。俺がやる。お前はもうやめとけ。」
「んえ?…~やだもん。」
や だ も ん ?
ぷくっと頬を膨らませ潤んだ瞳でレイフォードをかわいく睨んでいる。
「っう…」
破壊力は抜群だ。
シオンは元々美人だが、今は頬が赤く瞳が潤んでいてどこか艶かしく色気を放っていた。
(誰にも見せられないな。これは。俺以外の前ではあまり飲ませすぎないようにしなくては。)
そんな事をレイフォードは悶々と考えていた。
「も~…レイフォード様考え事?」
「あ、いや。お前は酔うとタチが悪いな」
「んー…?」
レイフォードの言葉が聞こえてないのかシオンはレイフォードの肩にもたれかかってきた。
「シオン?」
シオンはすでに目を閉じていた。
「…シオン、寝るならベッドへ行こう。」
「ふふふ、レイフォード様大好きっ」
酔っているのだろう。それでもこれにはレイフォードもやられてしまう。
レイフォードは襲ってしまいたい欲に駆られたが、シオンは酔っている。
手を出すなど邪道だ。
そう思い直し素早くシオンを抱き上げベッドへ連れて行く。
そして布団をかけてやり頭を撫でる。
「おやすみ、シオン。」
そして額に口付けを落とす。
すると、シオンは目を開けこちらをじっと見てくる。
「…?」
「もっと…」
シオンは口付けをねだる。
レイフォードはすかさず唇に口付けを軽くする。
「んっ…」
シオンの熱い息とその色気のある表情にレイフォードの理性はギリギリだった。
「ほら、終わりだ。寝ろ。」
そう言い放ちシオンの横にごろんとする。
「…レイフォード様のばか。」
シオンが普段言わない口調に思わずシオンの方を見ると泣きそうな顔をしていた。
「っどうしたんだ?」
「…誘ってるんです…。」
その言葉にレイフォードの理性はついに切れてしまった。
「後で泣いて文句を言うなよ?」
「言いません…っんん」
レイフォードはシオンの唇に齧り付き余す事なくシオンを愛していく。
「んんっあ、…はぁ、…あぁん、…」
「っ…たまらない…」
そして夜は更けていく…———————
(ああ、なんて可愛くて危険な生き物なんだ。)
レイフォードはシオンの寝顔を見ながらそう思ったのだった。
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