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披露宴
しおりを挟むあの事件から芋づる式にオスカー子爵と計画を立てていた貴族達が捕まりやっと落ち着いた日々が戻ってきていた。
シオンとレイフォードは幸せな日々を噛み締めなるべく時間がある時は一緒に過ごすようにしていた。
これと言った不安はないはずなのに…
(レイフォード様、今日も口付けだけしかしてくれなかった…。)
もしかして僕に魅力はないのかも。
2人は順調に愛を深めているのに最後まで致してないのだ。
シオンは今日こそ今日こそはと思いベッドに入っているが、おやすみの口付けだけで終わってしまう。
もちろん不満とかではないのだが、どうして?という疑問が残ってしまう。
「どうした?シオン眠れないのか?」
モゾモゾと動くシオンをレイフォードが気にしている。
「あ、少し眠れなくて…」
「ほら、おいで。」
そう言ってレイフォードはシオンを胸の中に入れる。
うぅ。レイフォード様優しい。
(もしかしてしたいと思っているのは僕だけ…?)
レイフォードの心地いい心音を聞いてシオンはそのまま寝落ちしてしまう。
自分から言うのは勇気がいる。そう思った。
______________________________
「シオン、綺麗だな。」
「ありがとう、アレン兄様。」
今日は待ちに待った披露宴。
国内外のたくさん貴族や要人達が出席している。
ある程度挨拶やセレモニーが終わりシオンはアレン兄様と話していた。
「レイフォード殿下とうまくやれているみたいだね?」
「?はい。大事にしてくださっています。」
「はは、そうだろうね。さっきから殿下がチラチラとシオンを見ているよ。過保護なんだね?」
「え?」
そう言われ要人達と話をしているレイフォードの方をみると目が合った。そしてそのまま笑顔を向けられる。
「ははは、無愛想だと思っていたが、さすが我が弟。」
アレンは2人を交互に見て笑顔で笑っている。
「もう!お兄様!」
「政略結婚だからと心配していたが、よかったよ。シオン、言葉を尽くしなさい。どんなに愛し合っていても言葉にしなければ伝わらない事もある。…秘訣だよ。」
(わ、アレン兄様。僕の心の中を見られてるみたいだ。)
言葉にして伝える…。
「はい、わかりました。」
そしてシオンはレイフォードを眺める。
自分の色をつけてレイフォードの正装はとてもかっこよかった。
こうやって想い合うことができたんだ。
小さな不安をなくしていきたい。
夜に話してみよう。
そう思っていると背後からポンと肩を叩かれた。
振り返るとずいぶんと久しぶりに会ったお父様がいた。
「あ、お父様…。」
「久しいな、シオン。綺麗だ。お前の母にそっくりだな。」
今日来ている事はわかってはいたが、言葉は交わさないと思っていた。
「お久しぶりです…。」
「幸せそうだ。よかった…」
そう笑顔で言ってくれた。
自分に向けられた笑顔は初めてでシオンは思わずポロッと涙が溢れた。
「っ!?シオン…。どうしたんだ?」
「いえ、お父様の笑顔が見られて嬉しくて…。」
すぐにシオンは涙を拭う。
「お父様は僕を嫌いだと思っていましたから…。」
「そ、そんなわけないだろう!」
父はとても焦っていた。
そしてゆっくりとシオンの手を握る。
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