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溢れる気持ち
しおりを挟むシオンは気持ちを伝え自分の気持ちがはっきりする。
まだこれから先長いのだからいつかレイフォードに少しでも好きになってもらえたらそれでいいと思っている。
「クラリス、僕ウィンザードに嫁いでよかった。」
「まあそれはよかったです!私もシオン様に仕える事ができて幸せです。」
「今日は午後から孤児院だよね?」
「はい。あっあとシオン様、予定通りであればもうすぐで発情期ですよね?念の為、抑制剤を持っていくようにお願いします。」
「あ、そうだった。必ず持っていくね。」
Ωは3ヶ月に1度発情期というのが訪れる。αを誘惑してしまうフェロモンが出るため、発情期になると抑制剤を服用する。
発情期間中は部屋に篭るのが決まりだ。
(嫁いでから毎日が刺激的だったから忘れてた。気をつけないと。)
とは言ってもシオンにはかなり頑丈なネックガードが付いている。
「クラリスには番になりたい人いるの?」
「ふふふ、秘密です。」
顔真っ赤にしながらクラリスは誤魔化している。
「でも番になるとαもΩもお互いにしか発情しなくなりますし、本当特別ですよね。」
「…そうだね。」
正直に言えばレイフォード様には自分のフモンにしか反応して欲しくない。
シオンは初めての恋にいっぱいいっぱいだ。
「それでは行きましょうか?」
シオンは手元の抑制剤を自分のポケットに入れクラリスと共に部屋をでる。
孤児院に着き、シオンは早速子供達と庭で遊んでいる。
「シオン様、今日にこにこだね~?」
そう女の子に言われる。
「え~そうかな?」
「うん。いつもよりにこにこしてる。」
「ふふ。」
「ねー向こうであそぼー?」
周りにいろんな子が集まってシオンの手を引いている。
みんながシオンを引き走り出すと3歳の男の子レオが遅れてしまいそのまま転んでしまった。
すぐに痛みで大声で泣く。
「わー、レオ痛かったね。大丈夫かな?」
すぐに起こしてやり、砂を払う。
少し擦ってしまい血がでていた。
「うぇぇーん、痛いよ~」
シオンは抱き上げてやりそのままシスターの元へ向かう。
「すみません、シスター。レオが転んでしまって、手洗い場で傷口を洗ってきますね。」
「あらまあ。大丈夫かしら?」
「軽く擦ってしまったようです。僕が一緒に行きますね。」
「では、レオをお願いしますね。」
そしてクラリスにも声をかけ少し離れた手洗い場に向かう。
手洗い場でレオの傷を洗い流し、持っていたハンカチで傷を結んであげる。
「レオ、大丈夫かな?痛いの痛いの飛んでけ~」
そう言うとレオをすっかり泣き止み笑っている。
「シオンさまぁ、ありがと。」
そしてシオンはレオの手を引き戻ろうとしたその時、後ろから突然、口を塞がれる。
「ううっ」
「動くな、子供に危害を加えるぞ!」
(怖い!でもレオが危ないっ!)
口を塞がれその手にシオンはゾワっとする。
「うわーん、シオン様。」
「黙れ!クソガキ!」
シオンは身を捩り、顔を背けてたその瞬間手が口から外される。
「や、やめて下さい!この子には危害を加えないで!」
「ならお前は大人しく俺についてこい。そしたらこいつは逃してやる。」
男は仮面をつけていて大柄だった。
「わかりました。ついていきます。だからどうかこの子は…」
レオは目の前で堪えるようにしている。
「シオンさまぁ…ひっく」
「ほら、行け!ガキ!」
「レオ、早く戻って。僕は大丈夫だから。」
レオは泣くのを堪えちらちらとシオンを見ながら元の道へ戻っていく。
(きっと、レオが伝えてくれる。)
孤児院は塀で囲まれており、表門の入り口には護衛が待機している。すぐに伝わるだろう。
(…レイフォード様。)
そうしてシオンは手を縄で縛られ裏門から馬車へ乗せられたのだった。
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