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しおりを挟む『今日夜会える?』
朝也からのメールに碧はウキウキする。
朝也から弟の大地が今家に身を寄せている事の連絡から早、1週間とちょっと。
お互い仕事や用事なのでなかなか会えずやきもきしていたのだ。
『会えます。』
思わず顔が緩んでしまう。
「成田くん、顔が緩んでるぞー。」
「あっ」と声が出てしまう。
今はお昼休憩で日並と営業のメンバーで食堂に来ていたのだ。
「成田、彼女でもできたのかー?」と同期が聞いてくる。
「実はそうなんだ。」と返す。
(彼女じゃなくて彼氏だけど。)
「おおーやっとかー。」「いいなー!」「どんな子?」といろいろ聞かれ質問責めに合う。
適当に流しながら答えていく。
するとすぐに話題は他の営業の人に向けられる。
「えー同棲するの?」1人の営業がどうやら彼女と同棲するようだ。
「同棲ってメリットもデメリットもありますよねー。俺は前失敗した。」
(少しタイムリーな話題で気になる…)
「わかるわかる。やっぱり一緒にいると助かったり楽しい事もあるけど別れた時大変だよなー」「確かに」
「俺は同棲して、より彼女が大切になって結婚したけどな」と日並が言う。
人それぞれ違うんだな。と思いつつ俺と朝也さんはどうなんだろう。と考える。
もちろん好きな人と一緒に住める事は嬉しいとは思うけどいいとこも悪いとこも見られるわけだし…。
朝也さんにそう思われたらやだな。とも思う。
(あー俺のダメなとこだ。今日会うのに…。とりあえず同棲の話は考えるるのやめよう。前は流れで言ったのかもしれないし…。)
そこで碧は考えるのやめた。
そして仕事も終わり朝也と駅で待ち合わせをし軽い居酒屋に入る。
「今日もお疲れ様。」「朝也さんもお疲れ様です。」
と乾杯をする。
「ごめんね。弟があれで週末お泊まりできなくて」
と朝也が申し訳なさそうに言う。
「いや、仕方ないですよ。困ってるんですから。」
「俺は碧とゆっくりできる時間が減って寂しいよ?」
そう言って碧の手をすりっと触る。
碧はビクッと身体を揺らす。朝也に手を触られただけで身体が熱くなる。
「俺もですよ?」そう柔らかに微笑みながら返す。
「嬉しい。」
(ああ、この笑顔が見たかったんだ。)
その後は2人でいろんな話をしながら食事とお酒を楽しんだ。
(あぁ明日も仕事だ。そろそろ帰らなきゃなのに帰りたくないな。)
それに気づいたのか朝也が「ねぇ、俺さもっと一緒にいたい。」
「それは俺もですけど…。」
胸がきゅうと鳴る。
「ねね、碧。ラブホ行ってみない?」
「ええっ!?」
予想外の言葉にびっくりしてしまう。
碧はもちろんラブホなど行った事はない。
「明日朝タクシーで送るからさ。俺、碧が足りてないんだよ?」
こてんとあざとく朝也が言う。
(っ!?その顔は断れないないよ。)
「っ…。行きます…。」
「やった。嬉しい。何するとこかわかってるよね?」
とニヤッと悪い顔して耳元で囁く。
「~…っ!?もう!」
この後の事を想像してしまい、顔が赤くなるのを感じそう返すので精一杯だった。
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