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しおりを挟む「ちょっ朝也さ…んっもう帰らなきゃっ…」
口付けを落としてくる朝也に碧は言う。
「えー…。もっと一緒にいたいのに。」
今日は日曜日。明日は仕事なので碧はいつも夕飯を食べて帰るようにしている。
そして朝也との付き合いは半年を迎えていた。
(また1週間…長いな…。)
碧はこの時間になると朝也から離れがたくなるのだ。
「…。じゃああとちょっとだけ。」
そう言うとぎゅっ朝也に抱き締められる
「碧をこのまま閉じ込めてしまいたいよ」
その言葉に碧の胸はきゅっとなる。
(そうしてもいいと思うなんて。俺どうかしてる。)
朝也への気持ちは大きくなるばかりだ。
2人で少し抱擁していると
ピンポーンと家のインターホンが鳴る。
(誰だろ。こんな夜の時間に。)
「誰だろ?」朝也も知らないようだった。
朝也はインターホンのモニターを見にいくと「げっ!」と声を出した。
そしてそのままイヤホンのボタンを押していた。
「何?帰れ。」
「頼むよ~朝兄。とりあえずあげて~」
(…朝兄??)
朝也はふーと息をつき碧に向き直る。
「ごめん、碧。今から弟がくる。」
困ったようにそう言う。
(弟!?弟さん何かあったのかな?)と内心焦るが「大丈夫です。もう帰りますし。」と返す。
弟がいる事にびっくりしたがもう帰らなきゃ行けなかったし。そう思い、碧は帰る準備に取り掛かる。
するとすぐガチャとした音が聞こえてきた。
朝也とともにリビングに入ってきたのは少し朝也より背が低く、金髪の無造作な刈り上げヘアに腕にはタトゥーが入ってる少しヤンチャそうな感じの男性だった。
「っっ!?誰?!めっちゃ綺麗…。え?朝兄の?」
(あっゲイの事知ってるのかな?顔立ちもすこし朝也に似てる…。弟さんも違う系統だけどかっこいい。)
「あ、俺は…」「この人は俺の恋人だよ。」
碧の言葉を遮り朝也が言う。
戸惑いもなく紹介してくれ碧は喜びを感じた。
「こんにちは。」微笑みながらそう言う。
「えぇー!?綺麗すぎるっ。弟の大地です。」
ウキウキした目でこちらを見てくる。
「おい、大地そんな見るな。穢れる」
「ちぇっなんだよー穢れるってー。」
なんだかんだ仲は良さそうだ。
「あ、朝也さん。俺もう行きますね?」
「あー、ごめんね?駅まで送るよ。」
「弟さん来てますし、ここで大丈夫です。」
朝也は少し渋っていたが、玄関まで見送ってくれた。後ろから弟さんが手を振っている。
それにぺこっとお辞儀をする。
「じゃあまた来週だね。あとで連絡するから。
」
「はい。俺もします。」
そうするとちゅっと口付けが落ちてきた。
不意打ちに顔がかぁと赤くなる。
「はー、帰したくない。」ぼそっとそう聞こえた。
(嬉しい。もっと一緒にいたい。)
後ろ髪引かれながら碧は朝也の家をでる。
朝也さんに前に言われた同棲って本気かな?
付き合いも長くなってきたしずっと一緒にいたいと思う。そして何より日曜に帰る時間がとてつもなく嫌だと感じる。
同棲してみたいという気持ちが碧から湧いてくる。
(…ちゃんと考えなきゃ。)
そう思いながら駅へと歩いていった。
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